クラウドファンディング
こんにちは!
毎度ご無沙汰しております。
大分県佐伯市で1000円+投げ銭で宿泊できるゲストハウスを経営している『ポンコツオーナー』のなかむらです。
先日、うっかり2周年を迎えてしまいました!ありがとうございます。
そうなんです、さんかくワサビは2019年10月にオープンしたのです。
オープンしてから2年も経つと、オープン当初の大変さを忘れがちですが、振り返ってみると
「事業を始めるのってこんなにも大変なことなのか・・・」と何度も挫けそうになったことを思い出します。
大変なのにはいろいろな要因があったと思います。
・起業自体が初めてで、何から始めたらいいのかちんぷんかんぷん
・借入れに対するビビリ(利率とか知らない単語ばかりだし、そもそも返せるイメージが湧かない)
・誰に相談しても決めるのは結局自分、という責任
・基本的にお金が足りない
などなど・・・
本当に、あの頃の自分はよく頑張ったなぁと思います。
まぁでも、自分のやりたいことに向かって自身がしゃかりきに頑張るのは当然だし、理解できます。
(その時の私は「投げ銭で泊まれるゲストハウスやってみたくてしかたない症候群」になっていましたので、もう症状を抑えるには「やってみる」しかなかったのです)。
でも周りの人たちにとっては所詮「他人事」。
なのにも関わらず、周りの人たちの支えがすごかった。
「事業計画書って一体なに?」
「宿泊業ってどんな許可がいるんだ?」
「地元水道工事の業者を紹介して欲しい」
「できれば佐伯の木材を使いたい」
「内装工事の人手が足りないから一緒にやらない?」
などなど・・・次から次に湧いてくる私の疑問や課題、依頼に
書類を集めてくれたり、
人を紹介してくれたり、
関係機関を教えてくれたり、
SNSで呼びかけてくれたり。
本当にあの時の皆さんの協力体制ったら、すごかった。
渦中にいるからこそ感じられる熱量ではなく、
例え客観視することができたとしてもあの熱量は、すごかった。
その熱量を可視化するもののひとつが、クラウドファンディングでした。
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貯金していた100万円。
借り入れをした600万円。
新規で起業する人向けの補助金などを入れても750万円くらいの軍資金。
物件の改装に必要なのは950万円。あと200万円足りない。
これ以上、尻込みする訳にはいかない。(私はこの時すでに「ゲストハウスやりたい」と言い始めてから長い間、具体的に物事を進めることができずに突っ立っている状況だった)
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「進めなきゃ」と焦る気持ちが大きかったと思う。
当時の投稿を見返すと「やらなきゃってわかっています」とか「できていなくてごめんなさい!」と誰も責めていないのに焦っている言い訳のような文言ばかり。あぁ情けない。
焦ると、こんなに周りが見えなくなって、自分を守るために必死になってしまうんだ・・・と恥ずかしい。
今すぐにでもそれらの投稿を《非公開》に設定したくなるけど、これは敢えて《公開》にしておきます。
さてさて、皆さんの本気が可視化されて、嬉しいような逃げ出したいような、今でも顔が燃えるように熱くなる私のクラウドファンディング。
クラウドファンディング開始を報せる当時のFacebookの投稿は『シェア59件』。私にとって異様な光景でした。
正直、目標額達成すると思っていなかった。
250万円もの大金、出どころがわからなすぎる。
私が1年間本業と副業をこなして、頑張って働いて貯めてやっと…100万円。
3週間で250万円なんて想像がつかなかった。
自分で「挑戦する!」と言いながら全然意味が分かっていなかった。
クラウドファンディングのサイト上では
「〇日目に目標の〇%を達成していると、最終的な成功率が〇〇%です!」など統計上の確率や
「SNSでシェアをしましょう!」
などアドバイスが表示されていたけど、俄かには信じがたかった。
自信がないし、本当にとても難しいことだと思っていたから。
途中経過をくる日もくる日も実況してくれた友人の投稿。
「あと6日なのに67%しか集まっていない」と、すごく焦ったのを覚えている。
自分一人ならまだしも、たくさんの人の気持ちを背負ってしまった気がして、すごく申し訳ない気持ちにもなった。
だけど、数日後なぜか目標金額に達成した。
17日間で250万円の目標額に達した。
目標額に達した後も支援は集まり続け、最終的に
232名の方々から2,744,500円のご支援が集まった。
その当時、私の頭の中では「すげー!本当に集まっちゃった!」と実感のないバカみたいな感想しかなかったです。
そして、毎日続く開業に向けた準備に追われ、ゆっくりと考えることも、相手の立場になって考えることも多分できていませんでした。
本当に、当時は自分が突き進むことしか考えていなかった。
「会う人会う人にまずお礼を言う」そんなことくらいしかまともに気が回っていなかったと思います。
そのくらい、大変なことが起きていたんだと思います。
起業するって、
みんなに助けてもらうって、
資金を調達するって、
本当にすごいことです。
まず、人に「起業したい」と言うことが勇気のいること。
自分が名案だと思うことを人に言って、否定されたり、笑われたりしたら?
「これで合ってる?」と不安を抱えながらも進んでいく毎日。
起業をする時に、正しい順序や決まったフォーマットはないのだということをやってみて初めて理解しました。
「開業してからがスタート」なのは分かっているけれど、まずは開業するので精一杯。
私の効率の悪さもあったのでしょうが、とにかく初めての起業は大変で、周りの人たちからの励ましや、助けがないと絶対になし得なかった人生の一大イベントでした。皆様本当にありがとう。
そんな起業から2年が経ち、コロナ禍でもどうにかこうにか経営が続けられています。
今では起業や新しいことする人を応援する側の立場になりました。
現在、佐伯市ではクラウドファンディングがとってもとってもとっても盛んに行われています。
去年は開業やフリースクール開設や老舗のカフェの薪ストーブを修理するための資金調達がクラウドファンディングで行われました。
どの事業も目標金額に達成し、それぞれの目指していた場所でキラキラと輝いています。
かなりすごいことだと思います。
インターネットの発展により、情報発信や受信が簡単にできるようになったからと言って、大切なお金まで簡単に動かせるか、と言ったらそうではありません。
そこにはまず、
「やってみたい」と挑戦する気持ち
「できるかわからない」という不安をやり込める意志や
人に「協力をお願いします」と言える素直さがないとできないのです。
そして、打たれる心と緩める財布の紐を持った支援者がたくさんいないと成り立たない。
「クラウドファンディング」という横文字を、私は正直、どこかなめていました。
だけど、人がクラウドファンディングの実行者となって、突き進んでいく姿を見ていると、気付かされることが山ほどあります。
自分が実行者として進んでいた時には見えなかった遥かに膨大なものが見えてきます。
これを見ることができるのは実行者がいてくれるからです。
自分の「やってみたい」ことの内容を他者にもわかるように、伝えてくれているから。
もちろん資金調達が目的です。
だけど、実行者が銀行の融資や身内からの借入で資金調達を済ませることができたら私たちはその人の「やってみたいこと」に参加(支援)するどころか気持ちを覗くことすらできないのです。
あーすっきりした。
最近、クラウドファンディングの応援やお手伝いをしていたら、外野の人たちから「なかむらはクラウドファンディングの手伝いをして実行者から目標金額の30%の手数料をもらっているらしい」という噂がまわったみたいです。
その噂を聞いた時には正直「はぁ?実行者から一銭ももらってねーし!ふざけんなし!」と年甲斐もなくちゃんといかりました。
でも冷静に考えたら外野の人たちには私がなぜここまでクラウドファンディングに協力をするのかを理解できるような説明をしていなかった。
そりゃ「お金もらってんでしょ」って考えに至るのも理解できます。
私の説明不足。反省。
ごめんね、外野たち。
今回、こうして文章にするきっかけをいただきました。噂も悪くないね!
噂ってどす黒くて嫌なイメージだけど、中を覗いて取り出してみたら意外と単純明快な人間の心理でできていました。蓋をせずに明るいところに出してみてよかった。この文章が外野の人たちにとって夜明けみたいな存在になれたらいいな。
・・・『外野の夜明け』
これ言いたかっただけです、すみません。
私がお手伝いしているクラウドファンディングは、公開前から相談に乗ったり、一緒に考えたり、その人の心のうちを全部出し切ってもらうためにたくさん話をしてできあがったものばかりです。
みんなに愛され、ずっとずっと続いてほしいものばかりです。
だから「他人の金集めて…」とか「支援してやったのに」とかそんな世知辛いこと言わずにみんなで温め続けて欲しいのです。
せめてこの町の人たちには。
よりよいゲストハウスにするために使います。例えば、宿泊のお客さん向けの近隣ごはん屋さんマップを作ってみたり。