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アマチュアのような無邪気さでプロの仕事をまっとうする

クリエイティブな仕事の神髄に触れたことについて

お願いしていた我が家の表札ができ上がりました。制作してくださったのは、ISANAの代表で家具職人・家具デザイナーの中川雅之さんです。

キッカケは、我が家のリビングテーブルテレビ台を依頼している中で、「表札も作れませんか?」と厚かましくもお願いしたことでした。

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元々は表札は作っていなかったので、ダメもとでお願いしてみました。前々から我が家以外にも表札の依頼はあったらしく、そろそろ作ろうかなと思っていらっしゃったそうで、今回チャレンジしてくださることになったのです。

「今まで取り組んだことがなく、断り続けていたことにトライしてくださったことにまず感謝しなければいけないね」とボクと妻。テーブル、イス、ソファーなどなど、いろいろと注文を受けている中で、同時進行でまったく未知の表札に取り組むのは簡単なことではないはずです。それでも、引き受けてくださったことには重ね重ね感謝したいと思っています。

中川さんは本当に木を大切に扱われるデザイナーさんで、木を見るまなざしは子どもをみるように温かく、また子どものように無邪気に制作物に関してお話してくださる方なので、その愛と情熱に我が家は深い信頼を置いています。

ボク個人としてはひと工夫が好きなので、小技がきいているというか、あまり目につかないところにも気を使っている、その気配り、言葉は悪いですが変態なところが好きなんです。

たとえば、天板を支える箇所も工夫しなくても問題ないのに、あえてひと手間を掛けていたり、目を凝らすとこだわりがつまっていて、それを目にするとたのしく作られていることが分かるんです。

また、そのことに触れると満面の笑みでこだわりを語ってくれて、こちらも聞くのがたのしくて話しがなかなか尽きません。ついつい工房に長居してしまいます。打ち合わせは時間通りには終わらず、ご迷惑をお掛けすることも多々ありました。現在進行形なので、あります、が正確か。

惜しみなく考えつづける

当初は木を活かした、木をベースにした表札にする予定で打ち合わせをしていたのですが、野ざらしというか外に掲げることを考えると、強度と耐久性に乏しくなるので方向転換をすることに。

デザイナーの中川さんが得意とする木ではなく石(スレート)をベースにすることにしました。文字で記せばわずか数文字ですが、素材を変えるのも勇気が必要だったと思うし、あまり触れていない素材を選ぶのに時間も頭も使ったはずです。

石といえどもカタチ、色、見栄え、手触り、と特長は様々ですからね。その中から耐久性があって、かつ我が家に合うモノを探すのは、宝探しみたいなモノで大変だったと思います。

オシャレでありながらも華美ではない。地味ではなくシック。我が家の個性を捉えた土台に加えて、名前のフォントもまたツボを押さえたモノを用意してくださいました。それも漢字、ひらがな、カタカナバージョンと、ここでも手間暇を惜しまずに、たくさんのサンプルを見ることができました。家族みんなで、あれがいい、これがいい、と選ぶたのしさ、難しさを味わえてよかったです。

一緒に作っていくたのしさ

表札が完成したので、お次は設置。というわけで昨日、我が家で実際に取り付ける位置決めを行いました。ここでも事前に建築事務所さんと何が最適なのかを考えてくださっていました。

外壁に取り付けるバージョン、店舗のように杭を打ってそこに取り付けるバージョン、庭木に引っかけて吊るすバージョンと、何パターンものプレゼンがありました。

「こうするのでいいですよね?」と予め決めたことを伝えられて了承を得るカタチも、それはそれで一つの正解だと思います。でも、我が家は家族も、家族以外も、みんなで作る家づくりが基本スタンス。「これはどうですか?」と提案してもらえると選ぶたのしさと難しさが感じられて、今回もいくつか候補を持ってきてくれたことがうれしかったです。

場が様変わりする要素とは?

取り付け可能な数パターンのうち、最初は外壁と表札の間に木を入れて設置する案で行こうということになりましたが、最終的にはボク、デザイナーの中川さん、建築事務所さんが表札を置いたり、遠くから眺めたり、設置環境を考慮したり、わしゃわしゃした結果として直接表札を外壁に取り付けることになりました。

設置場所も、強度を確保できて、照明、インターホン、ポストと、既にあるモノを邪魔しない位置に決まりました。

日はさしていたものの、風は強く冷たく、やや震えながらの打合せでしたが、たのしくクリエイティブだったので全く苦になりませんでした。久しぶりにいい時間を過ごせて、幸せな気持ちに。

打ち合せって、なんか退屈で窮屈じゃないですか。だいたいにおいて。でも、そこに情熱とか、クリエイティビティとか、思いがあると、ワクワクして会話がはずむ場に様変わりするんですよね。改めて、その楽しさを実感しましたし、しかめっ面して硬い表情でするもんじゃねえな、とも再確認できました。

そう思えたのもデザイナーの中川さんと建築事務所さんが下準備を、入念に打ち合わせを重ねてプレゼンしてくれたからなんですよね。アマチュアのような無邪気さでプロの仕事をする。まさに、その言葉に相応しい仕事ぶりを見させてもらい、畑こそ違いますが身の引き締まる思いになりました。

また、こんなことも考えました。作ってもらっている。やってもらっている。それをただ眺めているだけか。それともその中から何かを学んだり、感じたりできるか。職業に関係なくそこが大事なのかなと思った、午後のステキなひと時でした。

来週の設置作業もたのしみだ。表札がついた家の表情はもちろん、なにを感じ、なにを得られるか。胸の高鳴りが止まらない。

おもいのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!

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