ペンと旅【岡山編】

旅について

旅に出たくなった。人間は制限がかかると、途端に制限されたものが恋しくなる生き物だ。外出自粛の今、ボクは旅への思いが強くなっている。

ボクの旅。それは、いつもペンとフットボールと一緒だった。旅をしたいと言いながらも、基本的には出不精。面倒くさい性格だと思う。

フットボールが仕事になり、チーム遠征に帯同して全国各地を飛び回れたのは、いまにして思えばラッキーだったと思う。

旅に出られない今だからこそ、おうち時間で旅を振り返ってみたい。

【岡山編】

晴れの国でフットボールとアートに魅了された

岡山と言えば、桃太郎ではないだろうか。駅前にも銅像が鎮座している。最近のボクの中では、お笑い芸人の千鳥さん。漫才も面白いけど、ロケの達人としても知られている。朝日放送制作『今ちゃんの「実は…」』のワンコーナーの美女探しでは、千鳥の旨味が堪能できる。お時間のある方は、ぜひご賞味あれ。

岡山にはチームに帯同してから何度も訪れているが、岡山市内の印象は正直なところ薄い。スタジアムが駅から近かったり、スタジアムグルメが充実していたり、サポーターの勢いがあったり、J2に同時参入したので浅からぬ因縁もあった。

同期なので常に動向が気になるチームであり、切磋琢磨しながらJ2の舞台を戦っていたように思う。実際、試合も勝ったり負けたり。フォーメーションも岡山の3-4-2-1に対して4-4-2で対峙したので、サイドの綱引きが興味深かった。いかにイニシアチブを握るか。両指揮官の頭脳戦を堪能できた。

迷い込んだ美観地区

岡山市内は素敵なカフェを一軒見つけたくらいで、それほど動き回っていない。市内よりも倉敷市の記憶が強い。倉敷駅前の少しくたびれたアーケードの先に、あんな世界が広がっているとは。美観地区に迷い込んだ感動は忘れようとしても忘れられない。

ボクが生まれ育ったまちも、昭和レトロな雰囲気を大切にしていた。だからだろう、川沿いで遊んだ子ども時代を思い出した。そんなこともあり、いまだに脳裏に焼き付いているのかもしれない。いたるところがフォトジェニックで、何枚写真を撮ったことか。今でいうインスタ映えのスポット満載だった。お土産に買ったストールは、いまだに重宝している。

アート空間になったまちに圧倒された

倉敷も心に刺さったけど、それをはるかに上回るのが瀬戸内国際芸術祭。ちょうど芸術祭の開催時期と試合が重なり、後泊だったので試合翌日に会場に足を運べた。向かう電車自体がアートになっていて、ボクのテンションは上がりっぱなしだった。

会場の最寄り駅に着き、改札を抜けた瞬間に飛び込んできたアート作品の数々。駅からまちに向かうと、次々に個性的な作品と出会うことができた。まち自体をアート空間にしてしまった、その迫力にただただ圧倒された。

展示スペースも工夫されていて路地を入った先の民家に作品が並んでいた。おそらく展示スペースに向かう、その行程も作品の一部で、計算され尽くされていたのだろうと思う。

往時は活気のあったストリップ小屋、キャバレー、美容室などなど、いまはそこにひっそり佇んでいる建物も趣があって、アート作品よりも目をひかれたモノがあった。もちろん昔から生業を続けているお店もあり、そこにもふらっと立ち寄れる雰囲気もよかった。

サッカーはもちろん、まちからも様々な刺激をもらった。それがボクにとっての岡山だ。そういえば、チームがJFLに在籍していた時には、福山市にも訪れていた。笠岡陸上競技場まで路線バスに揺られながら向かった。Jリーグチームのように駅からシャトルバスが運行されていないのは不便だけど、そのぶんだけまちの景色を味わうことができた。煌びやかではない舞台にも、そこに相応しいたのしみ方があるのだ。

おもいのままに。続けます。今日も呼吸ができた。ありがとう!

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