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#創作大賞感想 わたしの子宮は胎児を殺す。
著者:めぐみティコさん
衝撃的なタイトルに、開く手が戸惑う。
大好きなnoterさんの、久々の更新だ。
だけど、これは、これまでと違う。
めぐみティコさんは私が大好きなnoterさんで、普段は面白おかしいエッセイを書く人、というイメージだっだ。
ヒゲが生えた話とか、きのこの山とたけのこの里はどっちがテッペンか、とか、いつも読み手を楽しませてくれる。
まだ私がエッセイを書き始めたばかりの頃。
恥ずかしがって服を脱げずにパンツ1枚残している頃に、すでにティコさんは全裸でダンスを踊っていた。
その頃のティコさんのプロフィールにはずっと「不妊治療」の文字が書かれていた。だけどこれまではそれについて触れることはあまりなかった。
毎日面白いことを書いていたティコさんが、「書く」ことに本気で向き合うため、毎日更新を一度辞めた。しばらく潜ると宣言して、ご自分と向き合う日々を過ごしていた。
私はあちこちで常々語るほど、ティコさんのことが大好きで、毎日noteをひらくたびにそこにティコさんがいないことに寂しさを感じていた。
そしてティコさんは戻って来た。
このエッセイを引っ提げて。
ティコさんの覚悟と熱を前に、深呼吸をしてからこのエッセイをひらいた。
不妊治療について、ティコさんは包み隠さずに語る。
ティコさんはその当時のことを文字にする。
大丈夫。義父が亡くなったばかりだ。きっと、わたしの子宮に、今度は夫の子どもとして戻ってくる。
その感傷の安っぽさに、このときのわたしは気がついていなかった。わたしは義父の死さえ、自分が妊娠するために用意された装置だと思っていたのだ。
こんな思いを1人で抱えて吐露するティコさんに、今すぐ駆け寄って背中に手をあてたいと思った。
そんなこと彼女は1mmも求めていないのは分かってるし、余計なお世話なのは重々承知だけど、画面の向こうにいる彼女が全部書ききるまで、何かしたいと思った。(もちろんその時点では書ききっているのだけれど)
彼女の身に次々と起こること。
その道のりは、想像を絶する。
私なんかが容易に感想を書いていいものか、戸惑いも正直ある。
でもティコさんの魂の叫びを見て、このまま何も言わずに触れずに過ぎ去ることなどできなかった。
『ティコさんが届けたい人に届くように』
それにはまず、大勢の人に読まれる必要がある。
治療したからといって、誰もが我が子を抱けるわけじゃない。
治療のさなかにいたときですら、そんなことは知らなかったし、自分がそうなるとは疑いもしていなかった。
確かに語りにくいことではある。
でも、治療を始める前に知識としてではなく、当事者の言葉として知っていたのなら、万が一のときの立ち直りは違っていたのではないか。
数百万円単位の現金を失い、10kg分の贅肉が増えたのは自分だけじゃないと分かっていたら、あそこまで孤独ではなかったのではないか。
誰も語らないのなら、わたしが書くしかないと思った。
書いて、一旦の区切りをつけて、先に進んでいこうと思った。
だから、同じように不妊治療が実らず絶望の淵にいて、身動きが取れない人を想定して「必要な人に届いたらいい」と考えていた。
その想定を遥かに超えて、いろいろな立場の方に読んでいただけた。
私にできることは少しでも多くの人に、この作品が読まれるようにすること。
そして、ティコさんという人がエッセイストとしてデビューして、多くの人にコトバを届けられるようにすること。
ティコさんのことを知らない人に彼女のことをもっと知ってもらいたい。彼女は「書くことに選ばれた人」だから。
創作大賞応募作が代表作であることは間違いないのだけれど、それだけじゃないこともあわせて紹介したい。
私は面白ろおかしいティコさんが好きだった。
でも今は、作家めぐみティコを心から好きだと宣言する。
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