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記憶の中の波間にゆれる

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2023年6月の記事一覧

無題

記憶が
自分を支配して

なんにもないことに
どうしようもなく
そわそわして

いい大人なのに

落ち着けない理由は

孤独が
自分にもたれかかる

ああ、そうか
わたしは 独りなのか
今までも
これからも

いい大人なのに

秘密とてんとう虫

てんとう虫をみつけた
あ、これが ななほしてんとう虫か

ななつ 点々があるんだぞって
いつも 公園で寝ているおじさんが

言ってた

本当だ
ななつ 点々がある

小さいんだ
わたしと同じ

わたしの事も 小さい人だっておかあさんが

言ってた

てんとう虫をみつけた事
誰にいおうかな

おかあさんには内緒にしたい
公園で寝ているおじさんにも
内緒にしたい

だって 小さくな

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小さな怪獣

凍てついた朝
葉についた 霜柱を
しゃりしゃりと
踏み付けて

怪獣になった気分で

ぺたんこのランドセルの男の子は

勇ましく
誇らしく

遊歩道をゆく

わたしは ベランダで
その一部始終を
じっと見る

お湯を沸かして
あたたかいお茶を飲もう
身体の芯の部分に
ぬくもりを
届けて

ぺたんこのランドセルの男の子の

近い未来を
しばらく 想像してみる

どうか

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がらんどう

がらんどうの中に
あなたはいる
わたしはいる

泡をふくみたいに
しんとした水に潜るみたいに

時として
いずれまた
ねじまき時計の

散文詩じみた
言葉尻をすくい上げて

わたしたちは
がらんどうの中にいる

押しやる残像も
鈍った感情も
得てして

がらんどうの中にいる
#詩 #詩を書く#ポエム#詩作

向日葵

向日葵の
まばゆい黄色と
種がぎっしり詰まったあの感じが
突然 恋しくなって

私はいますぐ
大きな 向日葵がほしい

窓の外の
寒空を 恨めしく睨みつけて

わたしは あの人に
わざとらしい笑みを返す
ほしいものは
手に入らない

あの人も
向日葵も

それを懐かしむ時間さえも
#詩 #詩作#詩を書く#ポエム

孕む

はじまりは
唐突で

まるで 音が消えたよう

重い頭を
とりとめの無い言葉で
うめつくして

やりすごそうと
試みる

繋ぐ命を
宇宙と 呼んでしまえたらとても 楽だけど

大袈裟すぎる

わたしの一部を
あなたに分けてあげよう

白い粉雪を
木の香りを
イメージを

わたしの一部を
あなたに分けてあげよう

きっと 近い未来
逢えると 信じて

わたしは
生き続けよう

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無題

老いることは
変化に臆病になることだと

あの人たちは かつて 言った
わたしは 独り
鼻歌をうたう

変化は 求めていない

あの人たちが 朽ちる時
そばで ただ見つめる事

きっとわたしは 泣かないだろう

いつもどおり
わたしは 生きる

あの人たちの
言った事実のもと
#詩 #詩作#詩を書く#ポエム

還る

ようやく
ようやく ここまで
来ることが出来た

朽ち果てて
もぬけの殻になって
風化して
冷えて
流れて

地球の一部に

ようやく
ようやく ここまで
還ることができた

めぐりめぐって
あなたは
生まれるだろう

あなたは
生まれて 死ぬ

原理や
摂理の

傲慢さと
合理的で簡潔な答えが

美しくて
泣けてくる

ようやく
ようやく ここまで

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半分の魂で 僕はうたう

半分の魂で
僕はうたう

赤いハンカチで
あなたの眼を
優しくぬぐう時

明るい未来が
僕らには 必要だからと
約束をした

覚えているだろうか

半分の魂は
あなたが 持って行ったこと

ときに 縛り付けた
ようやく 奏でた一小節

僕は
僕らは うたう

半分の魂でもって
#詩 #詩作#詩を書く#ポエム