小さな怪獣

凍てついた朝
葉についた 霜柱を
しゃりしゃりと
踏み付けて

怪獣になった気分で

ぺたんこのランドセルの男の子は

勇ましく
誇らしく

遊歩道をゆく

わたしは ベランダで
その一部始終を
じっと見る

お湯を沸かして
あたたかいお茶を飲もう
身体の芯の部分に
ぬくもりを
届けて

ぺたんこのランドセルの男の子の

近い未来を
しばらく 想像してみる

どうか
怪獣にはなっていませんように、と

心穏やか というのは
どんなだったろう

思い出せない

ささやかな一日が
また はじまる

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