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記憶の中の波間にゆれる

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2023年4月の記事一覧

綺麗な夕暮れと初恋の記憶

途方にくれるほど綺麗で
泣けた

夕暮れの帰り道

自転車を
なるべく ゆっくりと走らせて

幼かった自分と
重なり合う

思い出すのも
息がつまるほど

あなたに
まっすぐだった

十四歳の
初恋の記憶
#詩 #詩作#記憶#ポエム

せめぎあう

昼間と夕方の間の
薄い月を隠す雲のような

ちょっと 無神経な
場にそぐわない

あの人の血と

ゆらゆらとみなもをなでる海藻のような
いつの間にか蒸発してしまいそうな
わたしの血が

せめぎあい

おいそれと
あなたを造る
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

さまよう

ここにあるのは

菜の花と
荒れ地と
渇いた風と

わたし

ゆきさきを 決めてから
家を出るべきだったと後悔して

何マイルも 歩く
綿ぼこりのようなわたしは

アコースティックギターを
背中に背負って
荒れ地をゆく

少しだけ かっこつけて

口笛をふきながら
ゆきさきを捜す
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

イメージ

透明な潮騒に
溶けてゆく
裸足になって

あるいは

海猫の
けたたましい鳴き声が
頭の中を覗いている

秘密は
いつしか
秘密ではなくなる

終えた旅を
振り返りながら

また新しい旅にでなければいけない

目前にある
歪曲した
持て余した時間を
刹那と呼んで

いつまでも続かない嘘に
君は 泣く
#詩 #詩を書く#ポエム#詩作