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月が泣くとき

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書き溜めた詩を まとめています。
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#創作大賞2024

サハラ砂漠にて サミューに捧ぐ

今 星を見て思う
私が こんなにも 遠くに来た理由

もう二度と遭わないだろう人たちを
忘れないでいることの難しさを
憂いを

この無数の星に託すためだ

生きることは
忘れることと
無関係ではない

砂に落ちてゆく ひとつぶの流星に
自分の息吹をなぞらえて

願わくば
この 今見ているイメージが
私の中に
染みついて
なくならなければ いいのに

あなたを 忘れたくない、と思う

無題

解き放たれている
なのに
気持ちだけ ついていかなくて

過ぎた時間を
思い返して

喉の奥に
涙だけが つまる

刹那主義者の言い訳は
#詩 #詩を書く

ゆきさき

暗闇に灯る 明かりが
かする匂いが
雑踏に消されてゆく

懐かしい音が
あの時とか
あの時とか
あの時を
連れてくる

誰にも邪魔されることはない

いつだって
安心するほど
わたしは ひとりだ

途絶えることを 恐れないで
ただ前を向いて歩き続ける

あの時とか
あの時とか
あの時を

忘れてゆきながら
忘れてゆきながら

終わりに向かう
#詩 #詩を書く #オールカテゴリ部門

ブルサにて

いつか 朽ちようとも
普遍は
変わらなく私のそばにあり
ただ 過ごすことのたいくつと 素敵は
時々 空虚をみる

トルコ ブルサにて

漁港にて

遠く遠くの
大きな大陸の端の
小さな漁港で

わたしは
船に揺られている

うみねこのなく声と
潮騒だけ

船を降りたら

きっとアイスクリームを食べよう
とびきり大きいのを
とびきり甘いのを
とびきり色鮮やかなのを

3つ食べよう

楽しくなるとそれでいいんだ

ときおり 意味を考える

それは
とてつもなく 無意味なこと

夜明けの砂漠

夜がしらんできた

私のほかに在るものは
今 ここにいることの不思議と
どこまでも続く 有限の砂と
やすらかな星と
安堵

そして孤独
#詩 #詩を書く#ポエム#記憶

廃墟

いましがた 
誰も近寄らない 学校のプールに

冷たくなった水に

つまさきだけ 浸してみて

かつては
騒々しいほどの
整列された泳ぎを
けたたましい 笛の音を

ここであっただろう事を
反芻してみる

そう昔のことではないのに
つい最近のことなのに

枯葉が一枚
浮かんでいるだけで

ここは もう 廃墟と化したんだな、と

次の夏が来るまで
なにをして 過ごそうか
#詩 #詩作#詩を書く

遠くにいる人へ

鷺色の目をしたあなたの
さりげない誠実さや

陽気さに
絶対の戒律に

わたしは
祝福をあげたい
#詩 #詩を書く#ポエム