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感染予防のための休憩時間の制限について(社会保険労務士 舘野聡子氏より回答)

【質問】
新型コロナウイルスの感染防止による休憩時間の自由利用について (匿名)

会社が入っているビルにて、コロナウイルス感染者が出ました。
ビル全体の消毒は終わっていますが、弊社の対応としては感染の恐れがある濃厚接触者が出入りした可能性のある、同ビルのレストランフロアの使用を休憩中に控え、自席で昼食をとるように通知しております。
もちろん、上記に関して就業規則に明文化していないですし、休憩時間に従業員を拘束することがいかがなものかと思っておりますが、万が一感染した場合のリスクを考え、やむを得ない対応をとっております。
このような対応をとった際のリーガルリスクや企業が行うべき安全配慮についてご教授いただければ幸いです。


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【回答】

館野さん

社会保険労務士 舘野聡子氏より回答

休憩時間の自由利用については、労働基準法第34条第3項で「使用者は休憩時間を自由に利用させなければならない」としているため、レストランフロアの利用の制限をすることについての懸念があるのではないかと推察いたします。通達(昭22.9.13 発基17)には、「休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的をそこなわない限り差し支えないこと」とあります。
今回新型コロナウイルスの感染防止という観点から、一時的に制限することは合理的であると解されます。よって、現段階の運用で労基法第34条の休憩に関連して問題が発生する可能性は低いと考えます。

また従業員の感染予防という観点から、利用を制限することは安全配慮義務の履行としても評価されるべきところだと考えます。ただし、会社の要請を無視してレストランフロアを利用したことで会社として、その従業員に不利益をあたえるようなことは行き過ぎと判断されトラブルになる可能性があります。
就業規則等の記載については、今後も継続的にレストランフロアの利用を禁じることを定めるということはあまり現実的でないかと思います。(他にも感染場所が発生した場合に適応できない)仮に定めるとして、「原則として事業所内での休憩とする」ということを定めるのであれば、変更が必要となります。原則を定めるとして例外はどうするか、どのような場合に認めるかなど、運用方法を含めて検討する必要があります。


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