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こころの中の「ごめんね」のゆくえ

今朝、3歳9ヶ月の娘が再び寝室に行ったなと思ったら、夫の悲痛な叫びが聞こえてきた。
「痛い痛い痛いっ!」
との。

まぁ、大袈裟なとも思ったが、どうやら話を聞くと、娘がパパを起こそうと指で目を突いたらしい。
今まで、母を起こすために顔を引っ掻いて怒られたり、髪を引っ張って怒られたりしてきたので、想像は固くない。

パパと娘で解決してほしいと、内心思いつつも、夫はふてくされて寝てしまったので、私が娘と話をした。

起きて欲しかったこと、パパと遊びたかったことを聞き、目や顔は大事だからやめてほしいこと、パパは眠りたかったこと、どうやったら気持ちよく起きられるかなと、考えてみようと、言った。

ら、ポロッと出てきた。

「ごめんなさい」

普段、ごめんなさいを言いなさいとあまり言わないのだが(言葉より気持ちを大事にしたいため)、自分から出たのはいい機会だと思って、「ママに言ってもパパには伝わらないから、パパに言いに行こうか」と言ってみた。

寝ているパパを起こすと、恨みがましく傷?を見せてくる夫。それを見て、面白いことを言ってごまかす娘。
「言いたいことがあるんでしょ」と促すと「ニャニャニャニャ。ニャー」と猫になった。
「パパ猫語わからないから、ちゃんと言ってほしいなー」と夫。
「ねむいから」と言う娘。

しびれを切らし「2人でお話ししてきて」と去ろうとすると、娘が泣きながら追いかけてきた。

結局、曖昧なまま、夫は出勤準備をし始め、シャワーを浴びに行った。

その間。
娘は私に寄りかかり、「言えないの。急に眠くなっちゃうのー」と呟いた。「どうして……」
ああ、娘なりに緊張してるのだな。
「ごめんねって、言いたいんだけど言えないときあるよねー。ママもドキドキして言えないときある」と言ってみる。
「でも実はさ、勇気だして言ってみた方がすっきりするんだよー」と打ち明け話みたいな口調で言ってみる。

しばらくして、別のことをしている時だと思う。
「言ってくるよー」と玄関に向かう夫の背中をみて、急いで追う娘。
私は聞いてしまった。
「あ、ごめんねが……」と呟いて走り出したこと。

言わなきゃなと、思ってるんだ。

でも……。
目の前にすると言えなくて。またニャー語で話す。
私の方から、娘が謝りたくて追いかけてきたことを夫に話す。
照れ隠しに、Yシャツに挿したペンを奪い取り、そうこうするうちに早くでないといけない時間に。
夫も気持ちは伝わったよと、優しくいってきますをする。
いってらっしゃい。笑顔で送りだせはした。

結局、娘の口からは言えなかった。

まぁ、気持ちは伝わったからいいか。

やっちゃったな、ごめんね言わなきゃいけないなと、感じていたことが嬉しかった。
夫も許してくれたし。

言葉だけ言えばいいやと思わずに、伝えたい気持ちがあるからこそ、さらりと言えないときがあるということ。
このこころの葛藤が、大事だな。
心が動くときがあって。揺さぶられて悩んで。
それで、いつか言えるときがくるといいな。
そんな風に思っていた。

だから、その後はクッキー作ったりお面作ったり、ご飯食べたり、娘と大忙しですっかりと忘れていたのだ。ばたばたとねんねの絵本読んでる時にパパが帰ってきた。

寝ようというとき、ふともう一度パパが寝室に顔を出した。
娘が「ごめんね」と言った。
いきなり「ごめんね」と。

パパも、すぐに察して「うん、いいよ、ありがとう!」と。

その後はもう、娘は照れてごまかして。
でも、パパが行った後「伝わった」と言ったのを、私は聞き逃さなかった。ずっと、伝えたかったんだね。
良かったね。
「パパに言えて、どうだった?」
と聞いてみたら、
「楽しかった」と答えた娘(笑)。

まだまだ3歳9ヶ月。

でも。
こんなに感情が育ってるんだな。

娘の成長を感じた1日だった。


追記。
次の日、娘は起きると、いの一番にパパを起こしに行った。そんなことはほとんどないのに。いつもはまず、ママをたたき起こすのに。
それも、優しく、いろんな話をしながら。可愛い声で「おきておきて」と言いながら。(母は寝たフリしながら聞いていた)
そして穏やかに起きる父娘。
普段は絶対ママじゃなきゃやだというおトイレも、パパを呼んだ。

自分なりのやり方で、パパと仲良ししようとしている!

自分からパパに歩み寄ろうとする娘に少し感動しながら、起きるタイミングを逃す母であった。



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