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雲南日本商工会通信2023年6月号「会長の挨拶」

 去る5月19日の雲南日本商工会総会にて、小職が引き続き会長職をさせていただくことになりました。これで何年目になるのだろうかと過去の記録を調べてみたところ、宮本会長から引き継いで任せていただいたのが2013年のことでした。早いものであっという間に10年が経ってしまっています。言わば今年は節目の年でもあるということになります。
 
 会社経営の場合、企業理念や経営方針が必ず必要になります。“社会貢献”“社員の幸せ”“顧客第一”“安全第一”“地球環境を守る”などなど。会社全体の大きな目標を掲げ、社員のベクトルを一つの方向にすることが経営として最適になるとされているからです。そしてその理念に沿って経営方針を立てます。明確な経営方針があることによって、社員はさらに具体的な仕事の方法を取捨選択できるようになります。
 会社のトップ、経営者や上長は、常に理念や方針を念頭に置いて社員を育てたり管理したりしていくことで組織がまとまり、結果として会社に利益がもたらされることになります。利益は会社にとって非常に重要な部分ですが、理念が無く、利益だけを追い求めた会社は長続きしないのが世の中の常となっています。
 そして、経営者にもタイプがあります。理念や方針を打ち立てて、具体的な方法はある程度上長や社員に任せるタイプ。具体的な方法まで全て注視し、細かい部分まで指示をするワンマンタイプ。どちらが良いとも言えませんし、その業種や経営者のやり方にも左右されます。部下にある程度任せるタイプの場合、放任とも取れるので効率が悪くなることも多々あります。また、やる気のない社員は文句も言われずにただいるだけで給料がもらえればサボり癖が付き、無駄な給料を払うことにもなりかねません。このタイプで比較的うまくいく方法は、ただ放任にするのではなく、結果を求めてその結果に対する評価をちゃんとしてあげることです。
 ワンマンタイプの場合、その経営者に能力があって、社員が指示通りに動けばその成果は経営者の思うとおりに上がっていくでしょう。しかしながら上司の言うことだけ聞いてそれをこなすだけで給料をもらえても会社の発展につながるでしょうか? それでは社員の自分で考える力を削がれ、あとを任せられる社員が育ちません。やはりその場合でも会社の理念を伝え、軸がぶれないことを社員に伝え続けることが重要なポイントとなってくるはずです。
……などと偉そうに語ってはいますが、実は私もそんな基本的なことがなかなかできずに日々頭を抱えているのが現実です。
 
 さて、話は大きく逸れましたが、雲南日本商工会という小規模な組織は、団体の利益が目的ではなく、“雲南省に在住または関わりのある方々を幸せにする”という理念を持っています(私が勝手に持っているだけですが)。
 相変わらず仕事には追われながらも、最近は小さなところにたくさんの幸せを感じ、穏やかな気持ちで日々を送れているように感じています。そんなふうに自分が変わってきたのは単に歳を重ねたからではなく、商工会の皆さんとともにこの地で暮らしてきたことや、周りのいろいろな方にお世話になってきたことが大きな要因であり、皆様に大変感謝をしています。そこに少しでも報いるべく、微力ながらも皆様に幸せになっていただけるようお手伝いさせていただけることが、自分のさらなる幸せだろうと感じています。
 
 最近車を走らせていると、街中で“不忘記初心”という看板や横断幕をよく見かけます。10年目の節目に、もう一度初心に立ち返ってこんなご挨拶とさせていただきます。
 皆様今後ともよろしくお願いいたします。

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