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『Cyberpunk2077』を待望する

何について書くのか

CD PROJEKT REDによる完全新作『Cyberpunk 2077』が2020年4月16日に発売される事が分かった。そこで、ここではなぜこの作品に期待すべきなのか4つのポイントごとに説明する。

Wicher3を手掛けたスタジオによる最新作

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『Cyberpunk2077』のデベロッパーはあまり日本では知られていないCD PROJEKT REDというポーランドの会社だ。もともと海外ゲームのローカライズやゲームのダウンロードプラットフォームを運営していた会社だが、何よりこの小さなスタジオの知名度を飛躍的に高めたのが The Wicher 三部作だろう。特に最終章の 『The Wicher 3』はコンソールにも展開し、そのストーリードリブンで精密極まりないオープンワールドは最高評価を受け、GOTYを総なめにした。ポーランドの小さなスタジオが発売したこのゲームは単にクオリティが高かったわけではなく、その探偵小説のようなストーリーテリングの手法や複雑なイベント管理、主人公の選択が世界に影響を与えるインタラクティブ性など様々な点でアサシンクリードやゼルダBOTWなど後続のオープンワールドゲームに影響を与えた。

そうした意味でこのスタジオが新しいIPでオープンワールドを作るというのは、単にクオリティの高いゲームを出すであろうという期待だけではなく、ジャンルに対して革新的な何かを再びもたらすのではないかとゲームファンは期待している。

サイバーパンクの世界観

80年代、90年代はサイバーパンクのベルエポックであった。ニューロマンサー、ブレードランナーなどの米国のSFでは退廃的な未来を描くサーバーパンクがジャンルとして確立し、本邦ではAKIRA、攻殻機動隊、FF7などの名作が次々と生まれた。その後、新世紀を迎えると、サイバーパンクは緩やかに衰退していった。なぜだろうか、おそらく未来はよくも悪くもそんなに変わらないことに皆薄々気づいたからではないだろうか。結局、独裁政治の世界的な拡散やアナーキズム、日系財閥の超国家化、生体技術の飛躍的発展を経験することなく私たちは2020年を迎えることになりそうだ。

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『Cyberpunk 2077』の舞台「ナイト・シティ」

しかし、『Cyberpunk2077』はこのような失われた夢を取り戻してくれる作品になりそうだ。その名前が表すように、この作品はまさにサイバーパンクの世界観を中心に据えている。これまでの情報を見る限り、生体技術、パンク的精神や巨大財閥などサーバーパンク的要素を捻ることなくド直球で再現している。『The Wicher 3』よりもより世界に没入できるよう一人称視点にしたとインタビューで開発者が答えていたが、こうした情報からも、丁寧に作り上げられたサイバーパンク世界が期待できる。

都市型オープンワールド

オープンワールドがゲーム業界を席巻して以来、物語の舞台は自然が多く残る場所;古代、中世世界(スカイリム、ウィッチャー、アサシンクリード)、地方(ファークライ)、文明滅亡後の世界(ゼルダ、ホライゾン、デイズゴーン)が舞台となり、現代や(文明が発展した)未来をオープンワールドで再現した例は非常に少なく、GTA、inFAMOUSなどが例外的にあげられるのみである。これはトレンドというよりも技術的限界がその原因として帰せられる。当然のことながら10キロメートル四方の草原を再現することは同じ広さの都市を再現するよりも容易い。草原や海、砂漠と比べ都市はあまりにも多くの要素があり、人間がすみ、建物は多重的だ。草を草原にランダムに配置してもプレイヤーは不自然さを感じないが、都市の中に信号機がランダムに配置されていればすぐに手抜きであると気づいてしまう。

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 『The Wicher 3』の大都市「ノヴィグラド」

しかし今回の『Cyberpunk2077』は一つの都市を舞台にしたオープンワールドである。それもGTAのように現実の都市の再現ではなく、非常に垂直的な仮想都市をフロムスクラッチで作り上げている。CD PROJEKT REDが手がけた前作『The Wicher 3』には「ノヴィグラド」という都市が出てくるが、この都市のクオリティは発売から三年が経過した今でも他の追随を許さないクオリティだ。おそらくプラハをモデルにしたノヴィグラドには商業区、貧民街、宗教特区、モンスターの住む下水道が、エリア移動のロードなしで作り上げられ、各区域にはいくつもの本屋、商店、武器屋、酒場、娼館などが並んでいる。流石に全ての建物に侵入可能ではなかったものの、都市としての説得力に置いてノヴィグラド以上のものを私はまだ経験したことがない。このような実績を持つデベロッパーが次にどのような都市を作り上げるのか、非常に楽しみだ。

スパイク・チュンソフトによるローカライズ

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『Cyberpunk 2077』のローカライズはスパイク・チュンソフトが手がけることがわかった。これは日本のゲーマーにとって何よりの朗報だ。スパイク・チュンソフトは『The Wicher 3』のローカライズを担当しており、テキストの訳出がの品質の高さは折り紙つきである。ウィッチャ−3は会話の選択肢次第で物語が変化することを一つの売りにしており、会話テキストは膨大な数に上る。そのほかにも人物辞典やモンスター辞典などゲーム全体に含まれるテキストコンテンツさらに多い。こうした一つ一つのテキストを文脈を読みながら適切に訳出したスパチュンの仕事の細かさには頭が下がる。スカイリムの翻訳と比べると天と地の差である。今回の作品もスパイク・チュンソフトが関わっている以上、国産ゲームを遊んでいる時と変わらないアクセシビリティが用意されていることは保証されていると言っていいだろう。



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