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北杜夫『どくとるマンボウ航海記』書評

北杜夫『どくとるマンボウ航海記』書評

本作を初めて読んだのは小学生の時だったが、今でもたまに読み返す。知的なユーモアと父譲りの詩的センス、少年的な海と外国への憧れという様々な要素が混ざり合った名作であると心から思う作品だ。

この名作エッセイから読み取れるのは、北杜夫の過度なまでにシャイな性格だ。高い教養と高い文章能力を持つ北氏はしかし、それをストレートに読者にぶつけることに対して非常に臆病であり、なるべく自分の文章が貴族的、衒学的に

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