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生物進化論の種類と展開

〈 〉は進化論の発展に強い影響を与えた学説・理論
★は疑似科学とされる。


前4世紀 自然発生説(アリストテレス)
〈1世紀〜キリスト教の創造論〉
〈1669年 地層累重の法則(ステノ)〉
〈1735年 二名法(分類学、リンネ)〉
〈1798-1826年 人口論(マルサス)〉
1809年 用不用説(ラマルク)
〈1813年 天変地異説(キュヴィエ)〉
〈1830年 斉一説(ライエル)〉
1857年 オムファロス仮説(ゴス)
1859年 自然選択説(漸進説の一つ)(ダーウィン)
1861年 自然発生説の否定(パスツール)
〈1862-92年 社会進化論、適者生存(スペンサー)〉
1866年 発生反復説(ヘッケル)
〈1866年 メンデルの法則(遺伝学、メンデル)〉
1868年 地理的隔離説(ワーグナー)
1871年 性選択(ダーウィン)
1876年 有神的進化論(エイサ・グレイ)
1885年 生殖的隔離説(ロマーニズ)
1885年 定向進化説(アイマーとコープ)
1901年 突然変異説(跳躍説の一つ)(ド・フリース)
1903年 パンスペルミア説(スヴァンテ・アレニウス)
1908年 ハーディ・ワインベルグの法則(遺伝的平衡)(ハーディとワインベルグ)
〈1912年 大陸移動説(ヴェーゲナー)〉
1920年 化学進化説(無機物→有機物)、コアセルベート説(オパーリン)
1930年代 集団遺伝学(自然選択説+突然変異説、遺伝的浮動)(フィッシャー、ホールデン、ライト)
1930年 ランナウェイ説、フィッシャーの原理(親の出費)(フィッシャーの性選択)
1934年 ルイセンコ説(トロフィム・ルイセンコ)→旧ソ連においてメンデル遺伝学と自然選択説を否定し、ルイセンコ論争を起こして科学者を迫害した
1940年代 現代総合説(ネオ・ダーウィニズム)(集団遺伝学(自然選択説+突然変異説)+性選択+地理的・生殖的隔離説)(ジュリアン・ハクスリー、ドブジャンスキー、マイヤー)
1937年 進化とは「遺伝子プール中での対立遺伝子頻度の変化」と定義(ドルジャンスキー)
1942年 生物学的な種とは、交配可能集団のことと定義(マイヤー)
〈1945年 放射性炭素年代測定法(ウィラード・リビー)〉
1948年 ベイトマンの原理(ベイトマンの性選択)
1949年 今西進化論(棲み分け進化論)(今西錦司)
1953年 ユーリ・ミラーの実験(無機物から有機物生成成功)(ユーリとミラー)
1953年 DNAの二重螺旋構造の発見(ワトソンとクリック)
★1961年 創造科学(創造論)(ヘンリー・モリス)
〈1960年代 プレートテクトニクス理論〉
1962年 群選択説(エドワーズ)
1964年 血縁選択説(ハミルトンの性選択、利他的行動)
1967年 共生進化説(マーギュリス)
1968年 中立進化説(集団遺伝学+分子生物学)(木村資生)
1970年代以降 新総合説(総合説+共生説+中立説など)
1972年 親の投資説、互恵的利他主義(トリヴァースの性選択、利他的行動)
1972年 断続平衡説(エルドリッジとグルード)
1973年 赤の女王仮説(リー・ヴァン・ヴェーレンの性選択)
1973年 進化的に安定な戦略(ESS)(メイナード・スミスとプライス、進化ゲーム理論)
1975年 ハンディキャップ理論(アモツ・ザハヴィの性選択、シグナル理論)
1975年 E.O.ウィルソンの「社会生物学」論争(社会進化論、群選択に対する批判と再考)→この論争を経て、行動生態学や進化心理学が生まれた
1976年 利己的遺伝子論(遺伝子選択説)、ミーム(ドーキンス)
1978年 ウイルス進化論(フレッド・ホイル)(1986年中原英臣と佐川峻)
1979年 生長遅滞説(浅間一男)
1980年代 ネオ・ラマルキズム(テッド・スティール)
1982年 パラサイト説(優良遺伝子説)、指標説(ハミルトンとズックの性選択)
1986年 RNAワールド仮説(RNA→DNA)(ギルバート)
1990年 三ドメイン説(カール・ウーズ)
1990年 ランナウェイ説とハンディキャップ理論がESSとして成り立つことが数理的に示される(アラン・グラフェン)
1990年〜 エピジェネティクス(1942年ウォディングトン)
★1991年(起源は1984年) インテリジェント・デザイン論(ID論)(フィリップ・ジョンソン)
1992年 進化心理学の成立(レダ・コスミデス、ジョン・トゥービー、ジェローム・バーコウ)
1993年 自己組織化と散逸構造(カウフマン)
1994年 マルチレベル選択説(ソーバーとD.S.ウィルソンの群選択の再評価)
2005年 タンパク質ワールド仮説(GADV仮説)(池原健二)


※自然選択説と性選択→隔離説と突然変異説→集団遺伝学→総合説→共生説と中立説→新総合説という大きなアカデミックの流れがある。生物進化論は様々な分野の研究と学説を吸収して肥大化してきた理論である。
今のところ(新)総合説と相容れない学説としては、各種創造論(天変地異説や創造科学やID論など)、用不用説、定向進化説、棲み分け進化論、断続平衡説、生長遅滞説、ネオ・ラマルキズム、ウイルス進化説(遺伝子の水平伝播は以前から確認されている)などがある。しかし、それらにも新理論に繋がるヒントが隠されている可能性がある。
生命発生の起源の具体的な仕組みの解明、性選択た利他的行動の仕組みの解明、遺伝子選択か群選択かの議論、獲得形質の遺伝(エピジェネティクス)の新事実の解明などは未解明であり、まだまだ進展の余地がある。
エピジェネティクス、散逸構造による自己組織化、群選択の新理論などは、今後の進展次第で新たに総合説に組み込まれるポテンシャルを持つ。またパンスペルミア説(宇宙起源説)などの古い仮説は現在でも積極的に調査されている。

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