Piccola Foresta-小さな森-
前回の記事はコチラから
「当たり前であって、当たり前じゃない」
父である社長が常々仰っている言葉。
北海道の豊かな景色。
僕を含めて、周辺に住んでいる人たちは
この景色の中で暮らしてきました。
それが『当たり前』になってしまうほどに。
一時、関西で働き暮らしていた当時の僕は
朝から夜まで賑わう街の中で
北海道の豊かさをしみじみ思い返していました。
雲一つない夜空には満点の星空。
大自然に囲まれ、清々しい気分に。
四季を実感、冬には全面真っ白。
時にはキツネや鹿が現れて。
都会暮らしには当たり前ではないこと。
自然との共存がありませんでした。
確かに便利な部分が多々ありましたが、
それと引き換えに自分の中に何かが消えているではないのか、と
思っていました。
アグリツーリズム
ここ最近はモノよりコトに注目が集まっている。
アグリ(農業)とツーリズム(旅行)という
2つの単語を組み合わせた言葉、アグリツーリズム。
現地に訪れてはその環境で行なっている行事、
農業や自然・生活を体験する。
欧州では流行しており、社長が現地にいって
惚れ込んだスタイルでした。
同じように泊まっていた方は既に滞在期間が1ヵ月近くおり、
長い人生の中で一か所に留まるのは窮屈だそうで。
普段の日常で味わえない体験を得られることに感動。
いつしか自分たちも提供できるようになりたい。
そういう思いと構想がありました。
苦節、約18年
ただ、実現は困難であろう。
まず第一に宿泊施設、第二にブドウ畑……その他諸々。
始めたくても始められないのが、現実。
しかし、周りからは後押しされ
社長は夢の実現へ向けて足を進めました。
そんな最中、起こったのが
コロナ・ウイルスでした。
当時予定していた催し物が急遽中止。
催し物のために製造していたものが多く残り
在庫を抱えてしまいましたが、
ありがたいことに多くのお客様の通販注文によって
1つの壁を乗り越えられました。
しかし、次は店頭での売上が激減。
カフェもお休みせざるを得ない。
まるで氷河期のような状態が続いていました。
遅延
苦難の道が続く中、追い打ちをかけるように
半導体不足によって機材が搬入遅れ。
同時に資材も遅れ、すべてが不安定なまま。
それでも計画は進んでいきました。
ここまで足止めを食らい続けても尚、進み続けるのには
とある理由がありました。
コロナ・ウイルスが蔓延する数年前のこと。
北海道は地震と台風、二つの災禍に見舞われることがありました。
無論、会社もその打撃がありました。
工房周辺にあった樹齢80年の30mを超えるカラマツが
数本倒れてしまいました。
約70本近くあった他のカラマツも弱り始め安全面を考慮し、
全て伐採することになりました。
切り倒してしまった景色は今までと別物。
訪れていた鳥やリスも姿を見せなくなりました。
自然はこわすと元に戻すのに時間がかかるもの。
会社としても少しずつですが、また森に戻したい。
その思いを込めて、新たな施設に
『Piccola Foresta』と名付けられました。
オープン
あらゆることで予定より大幅に出遅れましたが、
2022年7月1日。
新店舗『Piccola Foresta』がオープンいたしました。
エーデルワイスファームのハム・ベーコンに加えて
新たに僕の弟が担当するベーカリー『SomeL(サムエル)』、
チーズ専門店や多くのワインが揃い、
このお店で全てが”完結”する。
欧州で見てきたお店が北海道で行なわれている。
社長の夢見た光景が遂にはじまった。
先のお話
8月には新店舗『Piccola Foresta』の2階に
レストラン『ciel(シエル)』が開店予定。
秋には新店舗裏に当日2組限定のグランピング施設。
既に植木済みですが、
グランピング施設の裏にはブドウ畑が広がる。
まだまだ2022年は大忙しだ。
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