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帰国後1カ月半、取り組んできたこと

昨年12月17日に帰国して、その時点ですでに書きかけだった記事を1本仕上げてアップしたあとは、とんとご無沙汰しておりました。日曜日の帰国でしたが、翌日から次の職場に出頭し、そのまま次の仕事に突入しました。

とはいっても年度末の退職を控えての仮の居場所なので、雇う方もあまり長期的なタスクを僕に振るわけにいかないし、雇われる私はそれに不満があるわけではありません。今月からは未消化の有給休暇を使いはじめています。すでに作業には着手したものの、まだ終わっていない活動もいくつかあるので、場合によってはこっそり職場に行くことも何度かあるかもしれません。


1.ブータンでの仕事のあと始末

(1)派遣元への活動報告
自分の派遣元の担当部署への帰国報告は、さらっと終わってしまいました。報告書は帰国前に書いて提出済みだったので、報告会をやれという大げさな話にならなかったのは構いません。ただ、「報告に来い」と言われてオフィスに出頭すると、これまでやり取りしてきた担当者の方はお休みとか別の会議とかで不在で、代わりにその方々の上司との一対一の面談となりました。

一度もブータンのプロジェクトについて直接的なやり取りをしたことがない、しかもファブについてはいろいろと辛口のことを仰っていると仄聞する相手といきなりタイマンというのには面食らいましたが、とりあえず1時間話してお開きとなりました。お互い腹の探り合いといった感じの面談でした。帰国後の報告義務は1週目で終了、その後その部署からお声がかかることはありません。

(2)外部での報告会
ただ、外の方から「帰国報告会はやらないのか」とのお誘いを3つほどいただきました。残念ながら、相手の組織や制度の枠組みを使った報告会は制約も多いようですし、私も話すならせめて観衆は20人ぐらいはほしいなどと集客に注文もつけていますので、せっかくお声かけていただいても実現には至っていません。

唯一決まったのは、出身大学院の修了生でほぼ同時期に帰国した3人が同窓生や後輩向けにオンラインで月イチ報告会で話そうというものです。私自身の発意ではじめたもので、帰国した順番通り1月からすでにスタートさせています。自分の出番は3月の予定です。以前主宰していた「ブータン開発協力オンライン月例懇話会」をモデルにした、同窓生交流の場として今後の発展をちょっとだけ期待しています。

2.ブータンにいてできなかったこと

(1)社内新規事業
ブータンに派遣される直前に行われた新規事業アイデアピッチで採用してもらえた案件がありました。しかし、休職して日本を離れている間、この事業を動かすのは難易度が高すぎました。「既存の組織制度の枠組みに縛られず」革新的な事業の提案を求めるというのが主催者の開催趣旨だと私は理解しています。でも、提案がいざ採用されるとどこかの部署に「業務主管」として拾ってもらわなくてはならず、そこで常に「うちじゃない」「人繰りがつかない」と相も変らぬ壁にぶつかりました。

何もしなかったわけではありません。時間はかかりましたが業務主管部署もなんとか確保でき、少しは活動を進めることができました。後述する他の事情もあって、私は今いる会社を3月末で早期退職することにしていますが、この事業の不調はその1つの原因です。本当は帰国後すぐに辞めても良かったのですが、この事業は今年度末が履行期限なので、言い出しっぺとして最後まで責任を取ろうと考え、後述する新しい職場で最後の悪あがきをしているところです。

(2)某私立大学
ブータンに派遣される前、某私立大学から、学生向けの海外フィールドスタディプログラムを任国で作って来てほしいと依頼されていました。実際、2つほど考案して事業提案書も書き、2022年度の募集にこぎ着けました。しかし、そこに突然やってきたのが一昨年5月下旬にブータン政府が発表した「新観光税(SDF)」、そして急激な円安でした。学生の自己負担額が大きすぎて、2022年度は応募者数が募集定員に届きませんでした。翌年度も状況は変わらず、募集自体を断念する事態に陥りました。

帰国してこの大学の学外学修推進部署には挨拶に行きました。結果として、①ブータンは断念して南インドでの2025年度プログラムの形成に取り組む、②(私の配属先ですでにこの話を通して先方側でやる気になっている)CSTとの連携協定に基づく研究協力については、まずCSTと日本側との間でのパートナーシップ協定の締結を急ぎ、それを前提に日本側学生がCSTに短期渡航できる可能性を模索する、の2つの方向で動くことになりました。

3.新しい職場ではじめたこと

(1)ナレッジレポート
新しい職場は開発協力系のシンクタンクです。これまでnoteでたびたび愚痴ってきましたが、開発協力でのファブの活用はもっと進められてもいいのに全然進みません。上記2ー(1)で私が苦労したのも、結局のところは「面白そうだからちょっと冒険してやってみよう」と思って下さるようなアーリーアダプターがまだ多くないことに起因しています。

だから、今のシンクタンクの発信メディアを利用すべく、公開レポートを書くことにしました。1月初旬に着手して、今は2本を同時並行で書き進めていますが、改めて文章化しようとすると、結構文献資料を読まなければなりませんでした。当初思っていたほど進捗は芳しいものではありませんが、それでも2本ともすでに50%以上は書き進んでいます。

事務管理業務を担当している方から聞いたところでは、今は初稿提出から公開までに半年はかかるそうです。公開される頃には私はもう退職していますが、当シンクタンクの公開資料として多くの人に読んでいただけるのを期待したいと思います。

(2)ランチタイム3Dプリンタ操作講習会
そのシンクタンクの入っている建物の最上階の倉庫には、2019年に購入された3Dプリンターが今も眠っており、2019年1月以降、このマシンを動かしたのは私だけなのだそうです。

なんかもったいない―――。放っておけば3Dプリンターは老朽化するし、フィラメントは劣化します。そこで、これを管理しておられる部署の方に了解を取り付け、3月末まで3Dプリンタをお借りすることになりました。

そこで、毎週木曜日のお昼休みに、標題の講習会を主催し、職場の人に操作を体験してもらうことにしました。この取組みは上司にも説明して「ランチタイムなら」と了解をもらっています。受講希望者が6、7人いて、1月に主催したシリーズ第1回、第2回はいずれも好評でした。全5回シリーズで開催します。今後は、シンクタンクの建物内で3月までにもう1クール開くのと、この5回シリーズのエッセンスを凝縮したオンラインでの講習会を、全社内向けに行うことを取りあえず人事部に提案し、その回答を待っているところです。

(3)社内新規事業(続き)
上記2-(1)でもご紹介した社内新規事業については、「オープンソースのデータを使って何か作ってみる」という取組みをスタートさせました。ブータンでやっていた「この指とまれ」ミニプロジェクトの社内バージョンです。これは2月中には製作を終えたいと思います。

もう1つの取組みとして、今月末にメイカソンを開催予定です。

4.ファブアカデミー受講

最後に、この1カ月半の間に起きた最大の出来事は、米国ファブファンデーションが主催するファブ人材養成プログラム「ファブアカデミー(Fab Academy)」を受講開始したことです。帰国後すぐに申込みを終え、1月24日(水)日本時間23時のグローバルセッションで受講がスタートしました。

これがかなりタフなので、私は毎週の課題をこなすのに未消化だった有給休暇を使っており、さらに3月末で早期退職して、残る7月まではこの受講に全力を注ぐことにしました。受講料5,000ドルは、自分の退職金からの捻出です。もちろん、8月にメキシコで開催されるFAB24にも出て、ステージ上で卒業証書を受け取りたいですし、Fab City Challengeにも挑戦したいと思っています。

生活時間を米国東部時間に合わせ、深夜の2時過ぎまでは起きていられるよう、これまで10年以上続けてきた超朝型生活スタイルを超夜型にシフトさせました。もとの生活スタイルに慣れ切っていただけに、まだ勝手がつかめていません。

毎週水曜日のグローバルセッションは日本時間の深夜に行われる

有休消化で時間を捻出しても、毎週の課題をこなすのは大変な作業です。noteになかなか手が回らなかったのは、ファブアカデミー開始前から受講に向けた予習やら、1月中に本当は終わらせてしまいたかった上記3-(1)のレポート執筆などに時間を割いていたからです。

有休消化期間に入り、多少空き時間も作れたタイミングだったので、今この記事を書きました。今後も、そうそう頻繁には記事は書けないと思いますが、ファブアカデミーを実際受講してみて「なるほど」と腑に落ちたところもけっこう多いので、受講にまつわるエピソードとか、職場ではじめた取組みの結果とか、何か進展があれば、短めのレポートでご紹介していければと思います。

最後に、ファブアカデミーで最初に出された課題は「ウェブサイト作成」でした。ファブラボでは他者と学びを共有できるよう、「ドキュメンテーション(文章化)」をものすごく重視していて、毎週課題にどのように取り組んだのか、記録を残すよう求められます。しばらくはこちらをメインにアップデートをほぼ毎日していますので、よかったら時々覗いてみて下さい。


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