うまい人はヘタがヘタ

昔見たアクション映画で
薬でもうろうとした人が急斜面をスキーでフラフラしながら滑る場面があったのだが、これがわざとフラフラしているのが見え見えで、むしろ抜群のスキー技術に興奮してしまった♪高速で滑走しながら転びかけて立ち直るって
どんだけうまいんだろか！！

また、バレエのドラマで
未熟な新人が先輩のお手本通りにヘタだけど一生懸命に踊っている場面では
新人を演じているのが第一線で活躍しているプロだったものだから
うまい人が「雑」に踊っているようにしか見えず
逆に先輩のプリマ役がバレエをやっている女優だったので
そのお手本がむしろ痛々しく。

うまい人はもう技術が身体に染み付いてしまっているのだ。

そういえば
糸つむぎをちょっと習ってみたことがあった。
そのとき、先生から
「初めてつむいだ糸は大事に取っておくといいですよ。」
「上手になったら、もう同じようにはできないから。」
と言われたのだ。
初めて、やっとのことで作った糸は
太い部分・細い部分・撚りが甘い部分・きつい部分が
不規則に入り混じって要するにボコボコの毛糸になってしまったのだが
その毛糸は大事に取ってある。
先生の言った通り、ちゃんとつむげるようになると
好きな太さの糸にはできても
初めてのころの不規則な糸はつむげなくなった。

何でも初めての頃のものを取っておくといいのではないかと思う。
文章でも写真でも絵でも
初めて作った画像とかプレゼン資料とかリポートとか
ああ、自分はこういうところから始めたんだな、と
自分の軌跡を見ることができるから。

振り返って、初めて見えることがあるのだ。