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日本学術振興会DC1(学振)に落ちた話


学振に落ちた。そこで学振について、一度感想を書いておこうと思う。

①学振に落ちたことは、率直に悲しかった。そもそも私にとって学振は、博士後期課程に進学する/しないを占う大一番だったので、落ちたことで進学するかどうか自体がわからなくなってしまった。そして、学振に通れば今後3年間の生活費を悩まなくていいと思っていたし、お金に関わる一切の心配から当面離れることができると思っていたから、その希望が少し遠ざかった。研究の評価がどうとかは、あまり気にならなかった。むしろ不採用Aだったことに安堵した。ボーダーラインに残って、二次審査までしてもらえたことがありがたい。とにかくこれから数カ月の間、授業・修論・バイトに追われながら、来年の生活について考えなければいけないのがとにかく辛いと思った。

②とはいえ今年度、私の申請分野の採用率は11.4%(!!)だったので諦めもついた。話によるとJST-SPRING等の申請者/採用者に学振DCへの申請が課せられているため、学振DCへの申請者が増加し、DC採用率が低下しているらしい。まあおよそ9倍の倍率なので、落ちるのも仕方がないと思う。ただJSTの採用者に学振申請を課し、学振の競争を無用に激化させるのはどうかと思う。

③では、学振に落ちたらどうするか。就職か、何らかのフェローシップを頂いて博士後期に進学するかのどちらかだ。就職については、数は少ないがチャンスはあると見ていて、10月〜12月くらいまでに申請などする予定。他のフェローシップについては、所属研究課のJST-SPRING に申請する予定。こちらは12月末に申請が始まり、2月に結果が開示されるらしい。就職にしてもフェローシップにしても、採用結果が年を跨ぐ(遅くて3月!!)ので「すべて落ちたらどうしよう」という不安は拭えない。

⑤結局、私のように貯金も仕送りもなく一人暮らししている学生には、学振やら何やらの結果が4月からの生活費の有無として降りかかる。次の4月から家賃払えなかったらどうしようとか、食うにも困ったらどうしようとか。話によれば、学振にもJST-SPRING等のフェローシップにも落ちた方々の中には、学内TA・RA・バイト・JASSO貸与を組み合わせて月収10万円〜15万円(額面)くらいで生活している人もいるという。でも自分は学部・修士でかなり借金をしてしまったし、博士でも借金するのに躊躇している(免除制度はあれど、絶対に免除されるわけではないので)。「借金してその生活をしながら研究がしたかったんだっけ」と自問自答してしまうし、周りの方々が学振を持っていたり、就職して安定していたりする中で「自分は生活を切り崩して研究するのか」と思ってしまうのも正直な気持ちです。

⑥そもそもこんな投稿をするのは、自分の周りに学振提出者はまだしもM2の学生がいないからだ。学振落ちたらどうしようとか、来年の生活費どうしようとか、修論の進捗がどうかとか、そういうことを話せる同期がゼミにも院生室にもいなかった。おそらく昔はもっと院生同士の互助機能があったのだろうけど、今はそういうものが瓦解していて、勉強会やら読書会やらも周りでは聞かない。学振を添削し合ったり、研究の話で盛り上がったりなんていうのは、ほんの限られた大学院のほんのいくつかのゼミでの話だろう。自分は学振の添削をもっぱら学外の諸先輩方に頼った(その節は大変お世話になりました。感謝しています。)し、それがなかったら学振なんて出せなかったと思う。大学院はかなり特殊な場所だから、こういう学振とかJST等のフェローシップとか、研究と生活に関することとか、修論の話とか、できる人がいたらいいと思う。むしろ、そういう場をなしにこれまでやってきた大学院生たちは、本当にすごいなと思う。また、そういう場所すらないのに院生自治会なんていうのはかなり無謀な話かと思う。

⑦少し話が飛んだけれど、何が言いたいのかと言うと、昔は院生同士で支え合ってなんとかしていた部分(学生支援の情報共有、学振の出し方、進路の考え方、博士後期ダメだった時の生き方など)をもっとパブリックにしていくべきだと思う。今の大学院には、私のように繋がりのない学生だけでなく、修士で日本に来たばかりの留学生もたくさんいる。留学生は私よりも繋がりが不足していて、学振や他の学生支援、また日本で研究者として生きるためのノウハウも知らないひとが多い。もちろん学生に自由にやってもらうのも大事だし、それで私ものびのびやらせてもらっているのも事実だ。そして今の大学では教員などのリソースが非常に限られているのも承知している。しかし大学院に学生を入れるだけ入れて、年度終わり間際の2月や3月に学生が卒業/進学/就職できなかったら残念でした、だけというのは少し酷な話なのではないかと思っている。(もちろん特別な事情があるなら別だが、フェローシップや奨学金の結果発表が2月や3月なのは問題がある。所属が変わるとしたら、引っ越しなどの手間もあるのだから。)

⑧今後、大学院に進学する学生は、まずX(旧ツイッター)を始めるのがいい。私のような学生がたくさんいて、「自分だけじゃないんだ」と思える。そして「学振」と検索すれば、先人達のありがたいお言葉がたくさん溢れている。noteというブログサイトを利用するのも手だ。そこでも学振の出し方、奨学金の探し方について多くの情報が得られる。今後は、各々の学生がX(旧ツイッター)やnoteを使って、「大学院生ライフハック」を集めるのがいいのかもしれない。

ただし大学院生の「ケア」は、どうにもならない大きな問題として残るが。

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