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社畜が25年間の洗脳を解いた話【3】|違和感に気づくきっかけ

先日、とあるYoutubeで素敵な言葉に出会った。

60歳からは人生の伏線回収

なんだよ、なんだよ、楽しみしかねーじゃねーか!
こんな突飛な脱洗脳話も、わたしの人生においては完璧なストーリー、後で全部回収される最高の伏線ってことね。
ありがとう、師匠。
ありがとう、前の会社。
ありがとう、わたし。

てな感じで、第3話。

違和感に気づくきっかけ

第2話でも書いたとおり、このコミュニティでは師匠からの教え以外に触れるのは基本的にご法度。

書籍は過去の情報しかない。私は本を読まないし読む必要がない。
目次を見て何が書いてあるかは全部わかる。
だから、学びたいことがあれば私に聞けばいいんだよ。

というお言葉があり、本を読むことも良しとされていなかった。
いや、全然読んで良かったんだろうけど、
「読んだら師匠によく思われない。師匠に嫌われる。このコミュニティにいられない。だから読まない。」
という思考になってしまってた。

もともと、読書好きでもなかったし、自分は映画やテレビ、動画といった映像の方が頭に入ってくるタイプだと思ってたから、特に不自由さは感じてなかった。

ところが、書籍に手を出すきっかけが訪れる。

今から11年前の2015年。
わたしは、旅館再生事業に携わることになり責任者に抜擢され、とある地方に転勤した。
一見良さげだが、業績が良くないものを回復させるわけだから、ゼロイチの事業よりも、ややこしくて大変な業務なのは言うまでもない。
しかも、そこはメジャーな観光地でもなく、適当な市場調査の上に建てられた山あいの落ちぶれた温泉旅館。
そこに住み込みで入ることになった。

周りは見渡す限り山、山、山。夜は漆黒の闇に包まれるおとぎ話みたいな場所。
イノシシ、タヌキに出会うのは日常茶飯事。
キツネ、シカ、サルやクマまで、動物園以外で始めて間近に見れたりもした。

最寄りのコンビニまでは車で20分。
公共交通機関は1日数本のコミュニティバス(平日だけ)
異動当初、森林浴しながらサイクリングできるやん!と思って、休みの日に自転車で出かけたら遭難しかけた。

わたしもたいがい田舎育ちだけど、さすがにこんな山の中で暮らすのは人生初。
山地の虫って、平地よりも2~3倍はでかいのね。
中指くらいの太さのムカデが寝室に出た時には、さすがに命の危険を感じた。

最初の1~2年は、現場仕事を覚えるのと従業員から信頼を得るのに必死であっという間だった。
自分で自由に使える車が無かったから、お休みの日も施設内の自分の部屋でずっと過ごしてた。
ネット環境が整っているのは仕事場だけ。
ちょっとした軟禁状態。

もう息が詰まりそうだし、田舎のスピードに侵されて、脳が退化するんじゃないかと思った。

誰かに相談すればいいじゃないかと思うかもしれないが、
社長(師匠)はもちろん、会社の仲間や家族にさえ、不満も愚痴も言えずに、
「これは修行だ。むしろこんな素晴らしい修行の場を与えてくださってありがたい。
と本気で思って毎日過ごしてた。

結局、洗脳とは言うものの
「面倒をおこさない、いい子優等生でいたい。
周りに良く思われたい。誰にも嫌われたくない。
というわたしの思考が根底にあったから、その環境を受け入れていたんだと思っている。

脳の退化を止めなければ!何か外部の情報を入れよう!

そう思ったわたしは、禁断の書籍に手を出してしまったのだ。


全速脳~脳は鍛えると100倍加速する/苫米地英人 著  


いやいや(笑)本のチョイスよ。なんか違くないか??
極限状態の人って、こんなおもしろい判断をしてしまうのか。

当時の自分に盛大に突っ込みを入れたくなるが、まさか、これが脱洗脳への小さな一歩だったことは、後になってわかること。


つづく。




これは実体験をもとにしたフィクションです。実在の人物や団体とは一切関係ありません。


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