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『下午のまち銭湯』㉔アクアプレイス旭(浅草)

銭湯は昼下がりに行くに限る

浅草銭湯


浅草。かつてこの地に蛇骨湯という天然温泉をフィーチャーした名銭湯があった。大正時代から歴史がある古銭湯。2009年にリニューアルしてちょっとモダンになった。充実した施設に駅近にあるということでアクセスも良く人気でいつも人で賑わっていた。この蛇骨湯ぼくのお気に入り銭湯で、定期的に浅草を訪れてはここの湯を頂いていた。

ここの富士のタイル絵が素晴らしくって、この銭湯の影響で今でも僕はペンキ絵よりタイル絵の方が好き。浅草は和菓子の名店が数多く点在している。蛇骨湯に入りつつ名店、老舗を周り好物の甘味を買うというのがちょっとした日常のご褒美的なイベントになっていた。

2019年蛇骨湯閉店

このあたりの再開発計画のため閉店を余儀なくされてしまった・・・。

蛇骨湯がなくなってからは浅草のほかの銭湯をぐるぐる回っていた。

12月某日。甘味を求めて浅草へ。曙湯鶴の湯栄湯どれも良い銭湯だったのだけれど蛇骨湯の変わりに通うかなというと「う~ん」となってしまう。このままこの辺をローテーションで行けばよいかなと思っていたのだけど今回は新たに発掘してみようとアクアプレイス旭に行くことに。

場所は曙湯鶴の湯の間位。駅からだと浅草寺や花屋敷を超えていく感じになる。浅草もだいぶ活気が戻ってきていて、雷門の前では記念撮影をしている人が多数うかがえる。仲見世沿いに梅園という和菓子の名店があってまずはそっちに買い物に行く。

持ち帰り用の甘味をいくつか買って、さて銭湯に行くかなと歩き始めたけれど、蛇骨湯跡地はどうなっているか一応確認していこうといってみる。もう建物は壊されているが、まだ工事中で何もできていない。白い仕切りがたっていて中が見えない。途中コロナがあったとはいえ2019年からもう3年もたっているのにまだ何もできないんだなぁと。なんでも高層ビルが建つんだとか。マンションの1階で銭湯再オープンとかミラクルが起きないかなぁとか思ってみたりもする。先を急ぐ。

道中は浅草の街並みをしっかり堪能しながら行けるので面白いといえば面白いけれど、やはり少し距離がある。蛇骨湯が良かったのは駅に近かったってのも多分にあるので。栄湯がもっと浅草駅よりだったらなぁ・・・。

観光地としての浅草の面影が消え、住宅地の生活感あふれる千束通りのアーケード商店街を歩いた先にその銭湯はある。


1010クーポンでIN

マンションの1回にAQUAと青い立体文字。コインランドリーがあってその前に自転車がたくさん止まっている。右端に暖簾がある。暖簾は1010クーポン。1010クーポンは東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が配布している期間限定の無料券。都の各イベントで不定期に配布している電子クーポンだ。先日このクーポンをもらっていて早速これを使って入場してみることに。暖簾を潜ると右側に下駄箱がある。下駄箱は新しめでシリンダー鍵。半透明のアクリルの窓がついている。靴を収納して中に入るとそこはロビーになっていてテレビにソファー、カウンター席にマッサージチェアと充実している。フロントで愛想の良いお兄ちゃんに1010クーポンを処理してもらう。スマホの画面を見せると、番号を教えてくれてそれを入力すると、アクアプレイス旭の画面に切り替わる。あとは入場ボタンを押せば完了。脱衣場に入る。

アクアプレイス旭



脱衣場は新しい。ロッカーはスーパー銭湯タイプのシリンダー鍵で100円リターン式。これはニュー銭湯かな?と思い服を抜いで浴場に入る。

かららら〜

中に入ると予想外。浴場は昔ながらの銭湯。脱衣場はリノベーション、浴場はそのまんま。
タイル壁に縦にカランが並んでいる。カランは23箇所でボディソープとシャンプーが備え付けてある。女湯との仕切り壁にカラフルなモザイク絵が描かれている。右手前には立ちシャワーがあって、右奥には階段がある。中二階がある。

桶は街銭湯御用達の黄色いケロリン。ケロリンを小脇に抱え仕切り壁沿いのカランへ。さて身体を洗うかと思ったがここで気付く。両壁のカランにはボディソープの設置が無い。これたまにあるのだ。中央カランだけ設置で壁側にはないパターン。他にも浴場入口付近に置いてあって勝手に持っていってねパターン。まぁちょっと移動してもらって来れば良いのだがそれも手間である。なのでちゃんと対策している。防水ポーチから携帯様のボディソープとシャンプーを取り出す。ボディソープ設置店となっていても油断してはならない。必ず入浴セットは持ってゆく。身体をしっかり洗ったら浴槽へ。

浴槽は2つあって、ひとつは薬湯。もうひとつは白湯の複合浴槽で、深風呂、ジェットバス、電気風呂が設置。こっちが主浴槽。まずは白湯から。

しゃぽん。足入湯。

少し熱め。いい気分。ぬぼ~っと何も考えずつかる。浴場を見渡す。右壁に窓がある。光の取り込みはそれほど多くないかもしれない。右隣は電気風呂になっていておじさんが横向きで浸かっている。僕はよく分からないのだけどたまにこの様に横向きに入っている人を見かける。きっとなにか意味があるんだろう。

さて白湯を存分に白湯を味わったら、ジェットバスへ。ジェットバスは3つもある。立ちジェットバス、座風呂式ジェットバス、ボディジェットバスだ。ジェットバスエリアは深風呂になっている。まずは立ちジェットバスから。

入ジェット。こ、これは!

凄い!凄い勢いのジェットだ。僕はジェットバスが好きである。取り憑かれている。そう街銭湯の無駄に強力なジェットに。この強力なジェットを求め、かの「強力過ぎるジェットバス」でお馴染み大阪は守口の大宮温泉まで遠征してしまったほどである。あそこは本当に強力だった…。

ここ、浅草、アクアプレイス旭のジェットバスはそんなぼくのようなジェットリアンの心をガッチリ掴んでしまう程強力だ。凄い。油断すると前の手掴みバーまで吹っ飛ばされそうだ。とてつもない。出会ってしまった。ここだ。ぼくの新しい浅草銭湯はここだ。

よし次は座風呂ジェットバスだ。左に移動してすんと座る。!!!。これは凄い!こっちも相変わらずジェットが凄くて背骨が変形するほどなのだが、凄いのは足裏。もう油断すると天井まで吹っ飛ばされる勢い。足ツボマッサージなんて目じゃない!

これはボディジェットも期待大。この湯流を四方から受けるのだ。もしかしたらその圧力で身体が球にまで圧縮しちゃうんじゃなかろうかと、いろいろ思いを馳せながら入ジェットすると・・・意外と普通(笑)いや、強いけども、ハードル勝手に上げすぎた。でも勢いがあることには変わらない。体のツボというツボをジェットがついてくる。熱めのお湯とジェットの刺激で体がだいぶ火照ってきた。

水風呂を探す。ぱっと見浴場にはない。ということはもしかしたら・・・右奥の階段を上ってゆく。階段横のモザイク画を横目に上っていく。上った先にやはりあった。階段出口手前に水風呂、奥にサウナがある。サウナのドアには取っ手がついてなくて細い穴が開いている。ひっかけ鍵を持っている人だけがこの扉を開けられるんだ。

水風呂は4人ほど入れる大きさ。中に入る。なかなか冷たい。でもジェットバスで体熱くなっているから強力な羽衣があって全然大丈夫だ。皮膚がキューッと収縮してくる感じがわかる。ある程度冷えてきたので、またお湯に移動する。階段を下りて今度は薬湯へ。薬湯は白い入浴剤。入湯。こちらもしっかりと温度がある浴槽だ。水風呂で冷えた体が一気に過熱される。皮膚をしびれが襲ってきて全身の血の流れが加速する。熱い。湯船から上がりカランで休む。汗がだらだら出てくる。

汗をかいた体を冷やすためもう一度水風呂へ。今度は湯船から直接ではないのでしっかり水風呂の冷たさを味わえる。一気に体が冷える。その後はジェットバスに移動。お腹から侵入。体の冷気を一気にジェットが吹っ飛ばす。強力な湯流がお腹をボディブローのに攻撃してくる。腹筋に力を入れて耐える。体は後ろに飛ばされるがジェットバスの前に設置されている手すりの壁が背もたれのようになって堰き止める。サンドウィッチ状態。

何度か交互浴を繰り返して最後立シャワーで締め。

ホッカホカの体で店を出る。外気が程よくクールダウンしてくれる。さて駅まで戻って亀十でどら焼きと最中を買っていこうかな。急がないと。あそこはすぐ売り切れになっちゃうんだ。またくる。蛇骨湯がなくなった浅草のピースが見つかった。

銭湯の詳細

アクアプレイス旭[所在地]台東区浅草[最寄り駅]つくばエクスプレス「浅草」駅下車7分[営業時間]15:00−25:00[定休日]火曜日[入浴料]500円[サウナ]700円


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