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指す将順位戦8th自戦記 B級2組 4回戦 (vs アカサビ5級[1065])

1敗のあと2連勝。このまま連勝を伸ばしていきたい。


【対局前】

◇対局相手の印象

純粋居飛車党
中でも棒銀を愛用しているようで、対振り飛車には専ら急戦を志向する攻めっ気が強そうなタイプ。
自分のやりたいことを押し付けるスタイルかと思いきや相手に合わせた対策を練っているような動きも垣間見えるが、本局はどうなるか。

◇対戦成績

初手合
今期も対局相手が全員初手合という状態。
この項目がいるのか疑問にも思えてくる。

◇事前準備

アカサビ5級は後手番で2手目△3四歩として横歩取りを狙ってくるのが主な指し方のようなのでそこに焦点を当てた対策を練る。

 [▲先手番]

①横歩取り模様(やさい式相掛かり)

後手番で横歩取り45角戦法を指している棋譜があったが、用意のハメ手を食らう前にこちらからハメていけるのがこの戦法の強み。

想定局面①

②対一手損角換わり

こちらの用意した作戦に乗らず、角換わり棒銀で戦おうと自ら角交換をしてくることも考えられる。

想定局面②

 [△後手番]

本局は2手目△8四歩から相手の作戦を受けて立つ。
これを機に棒銀対策の練度を高めたい。

③相掛かり

本命
アカサビ5級得意の相掛かり棒銀を迎え撃つ。
棒銀対策は色々あるところだが本局は△5二玉型を採用する。

想定局面③
後手から技をかけにいける面白い作戦


④角換わり

過去の棋譜で先手番で角換わり棒銀を志向しているものもあったので、本局登板されることも考えられる。
角換わり棒銀対策も様々な種類があるところだが、今回は最もオーソドックスな早繰り銀で挑む。

想定局面④


~対局前まとめ~

先手番ではやさい式相掛かりを志向して、相手の対応に合わせて指していく。
後手番の場合は今期初となる2手目△8四歩から棒銀を撃退したい。
どの作戦になっても激しい展開が予想されるが、普段のアカサビ5級の戦型選択を見るに斬り合いは歓迎の棋風な気がする。この辺りが怖いが(特に終盤)、こちらも研究で上手くリード出来ればと思う。


【対局開始ッ!】

先手:akasabi(1065)
後手:* 最速キメ(1050)

↓いつも通りshogi.ioでの振り返りとなります。
 一手一手解説しています。

https://shogi.io/kifus/256913




 【急所の局面】(33手目▲2四歩まで)


〈基本図〉

ここから本譜は想定局面との差を比較して現局面の先手のマイナス面を引き出そうという考え方で△8七歩と指したが、この手で互角に戻っていた。
1回戦の△3一金3回戦の▲8五歩、そして今回の△8七歩と個人的に上手く指したと思ったイチオシの手はどれも疑問手判定をくらっている。悲しいなあ。

ではどうすれば良かったのかというところで、感想戦にて観戦者のnaokiさんからご指摘頂いた。

ntkwmk > 87歩からでなくても
ntkwmk > 素朴に27叩いて49角くらいで
ntkwmk > 次に角交換どうしますか?と残るので

〈基本図〉以下 △2四歩 ▲同銀 △2七歩 ▲同飛 △8八角成 ▲同銀 △4九角 ▲2八飛

* 最速キメ > こういう感じです?
ntkwmk > ですです
(略)
* 最速キメ > この局面ってなんかあります?


* 最速キメ > あー26でいいのか!
akasabi > とれないんですね
* 最速キメ > 金駒使う必要なかったってことですかー

アカサビ5級の言うように △2六歩は飛車で取ると△5八角成▲同玉△7八飛成があり、取ることが出来ない。
本譜は銀を使って似たような似ていないようなことをやっていたが歩でここまでやることが出来た
以下は△2七歩成を防ぐ▲3六角あるいは▲1六角△同角▲同角△4九角▲3六角に、△7六飛として次の△3六飛▲同歩△2七歩成を狙ってどうかという将棋。

これも好手順だが、ここでは加えてソフト流をご紹介。

〈基本図〉以下 △2四歩 ▲同銀 △2七歩 ▲同飛 △2三歩 ▲同銀成 △8八角成 ▲同銀 △4九角 ▲2八飛 △2三金 〈a図〉

〈a図〉

△2四歩→△2七歩という組み合わせは先ほどと同様だが、そこからさらに→△2三歩まで繋ぐのが上手すぎる。
銀を誘い込んで最後に△2三金と取ってしまう手順が見事で、▲同飛成はやはり△5八角成▲同玉△7八飛成がある。仮に一手パスすると△3九銀があり、先手は忙しい。
先手の飛車を縛るのにもはや歩さえもいらないとは。

〈a図〉にいくのは先手マズイので、▲2三同銀成が悪手だとすれば△2三歩に▲1五銀くらいだが、△1四歩▲2六銀という進行はあまりに切なすぎる。

よってそもそも△2四歩に▲3六銀ということになる。

〈基本図〉以下 △2四歩 ▲3六銀 〈b図〉

〈b図〉

〈b図〉以下は色々あるところだが、△8四飛▲8七歩(それ以外は△8六歩)△2三金として一局ながら、後手は無傷で横歩を取ることに成功しており歩得と陣形差で優位に立っている。
そして先手の棒銀は間違いなく失敗に終わっている。
以下腰掛け銀に組み換えても後手も損のない陣形でかなり明確に差のある将棋になりそうだ。



【対局後】

◇本局の振り返り

一局の構成(ゲームメイク)が理想に近い 我ながら素晴らしい対局だった。
これは自己肯定感が高すぎるだけという悲しい話ではなくて、対局相手にソフトを超えたと錯覚させるほどなので(実際にはソフトは更に遥か高次元にいることが検討を通してわかったが)ちゃんと強い内容の将棋になっていると思う。
こんなに上手く指せたのは……棋戦でなく申し訳ないが自己対局第6局ぶりくらいか。
棋戦だとどうだろう、前期7回戦は比較的上手く指せていたと思う。
自己対局は例外として、残り2局とも研究が前提にあって、その局面との比較で手を選んでいくような戦い方だったのでこれが性に合っているのかもしれない。
ただこの将棋にも改善点というのはあるもので、せっかく手にした優位を損ねてしまった部分が何回かあったのでそこは修正してより強い将棋が指せるように研鑽を積んでいきたい。
特に△8七歩が不要なのではないかというのは観戦者からも指摘があったのでこの辺りは想定局面との比較にとらわれすぎずに鋭い読みによってカバーしていければ完璧だと思う(それが出来れば苦労しないって話ではあるが……でもそういう意識を持つことは大事だと思う)。

◇最後に

正直今期の指す順は裏テーマとして、後手番の場合は大抵2手目△3四歩から少し捻った指し方をしてみて勝率がどうかを測ってみる予定だったのだが、2手目△8四歩に戻した途端こんな将棋を指せる自分を見るとこれからも△8四歩で勝負したいという気持ちにもなってくる。この辺りをどうするかは少し考えたい。
あと相居飛車の研究のように対振り飛車の研究においてもこのくらいの精度で上手くハマれば一発みたいな変化を持っておきたいが、戦法の性質上なのかこれがなかなか難しい。B2は振り飛車党が多いイメージがあるので今期を機にもっと対振り飛車への認識が煮詰まればなと思っている。
そういうことを考えながら次戦以降の作戦も立てていきます、たまにこういう勝ち方が出来るから将棋研究・事前準備は止められないのです!それじゃあ。

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