見出し画像

指す将順位戦8th自戦記 B級2組 1回戦 (vs 島ノ葉尚6級[1026])

宣言通り今期も指す将順位戦に参戦。
前期でB級3組から昇級し、今期はB級2組で戦うこととなった。
前期は成績からみて絶好調だっただけに今期もその勢いのまま駆け抜けたいが どうなることやら。
新参者らしくB級2組に新しい風を吹かせられればと思う。

【対局前】

◇対局相手の印象

「ノーマル三間飛車を愛するただのしがない将棋指し」私は本当のことを言うと、対抗形しか指さない 所謂対抗形党と呼ばれる人たちこそ真の振り飛車党ではないかと思っているのだが、長々と語る気もないのでこれはshogi.ioの方で少し触れるくらいにしようと思う。

棋譜を見た感じはこっちが居飛車なら対三間飛車になりそうだし、振ったら対抗形になりそうだな という印象。
ただ居飛車への転身を仄めかすようなツイートもあり、その気になれば何でも指せそうな雰囲気はあるので正直あまりアテにならない。

棋風については一局指してみないことには掴めないが、周りの情報を見るに手厚い受け将棋らしい。

あと私に関係あるところでいうと、前期6回戦(naokiさん戦)の終盤戦で

71龍63玉55金の手順は指摘されている観戦者がいらっしゃったので、もしそうなっていたら敗戦濃厚だった。

指す将順位戦7th自戦記 B級3組 6回戦 (vs naoki 7級[919])

ということがあったが、この観戦者とは島ノ葉尚6級のこと。なので終盤がちょっと怖い。


◇対戦成績

初手合
指す将順位戦は第三期から参戦されているようで、一年に一期進むと考えるとかなりの古参。
第三期が始まった2018年といえば、ちょうど私がTwitterの世界に足を踏み入れた年で そのときから既に将棋漬けだったと考えると指し手に重みを感じる。


◇事前準備

 [▲先手番]

基本的には対三間飛車を想定している。
先手番では、自分なりの最速▲4五歩をぶつけてみたい。

https://m.youtube.com/watch?v=ZWOUROMmMOw&pp=ygUJ5Yqg6YOo5rWB

こんな動画があるからには、それに応えるのが礼儀というものだろう。
上記の動画では、結局加部流が最も有力であるとしながらも それ以外にも二つ難解な変化があるという見解を示している(詳しい話は動画を閲覧してご確認ください)。

私はその二つの作戦のうち後者の方に先手有利の鉱脈が眠っているとみて、今回投稿者である島ノ葉尚6級にぶつけてみることにした。

想定局面①
加部流よりも“最速い”11手目での開戦
4八銀を決めていないのがポイントで、実は将来3八銀に構えることで唯一先手有利になる変化がある。


 [△後手番]

後手番のとき何を指すかは対局直前まで迷った。
指したい作戦が先手番でしか使えないので、どうにか千日手を狙いたい。となったときに一応前期採用した雁木という策はあったが、これは《千日手になりそうなところを無理攻めしてきたところを仕留める》という構想で、正直ここで素直に千日手にしてくる相手はいないと思っているので指し直しを目標に据えたときに適切かどうかはわからない。

じゃあどうするかという話だが、先手三間飛車相手に千日手に持ち込める明確な戦法があれば先手三間なんてとっくに終わっているのでそんな作戦は用意できるはずもなく。だが、島ノ葉尚6級が対抗形を好むというところに鍵がある気がしていて、▲7六歩△3四歩に▲6六歩としてくれれば逆にこちらが三間飛車に構えることで千日手を狙っていけるのではないかと考えた。


想定局面②
そのままこの局面になるとは思っていないが、構想としてはこんな感じ。
飛車の往復で千日手になるのがこの形あるある。
これでも結局打開される可能性は十分にあるが、三間飛車使い相手に三間飛車で挑むという面白さの加点で採用に至った。

もちろん相振り飛車になる可能性はある。
そのとき無策では話にならないが、面白い作戦を見つけた。これが本局後手三間飛車を指す決定打になったといっても過言ではない。

https://lah-3fr.hatenablog.com/entry/2022/04/07/031014

正式な名称はわからなかったのでLah流三間飛車とでも呼んでおこうか。後手番から積極的に動くことができ、不発でも互角という優れた作戦だ。

想定局面③
こちらも開戦はかなり早い


~対局前まとめ~

先手番になるように祈るなった場合は最速▲4五歩
後手番の場合はこちらが三間飛車に振って千日手狙い。あるいはLah流三間飛車で攻勢に出て序中盤でポイントを上げることを目指す。
受け棋風とのことで重厚な中盤戦が予想されるが、上手く切り合いの展開に持ち込めればと思う。
ああ、先手番をください。

【対局開始ッ!】


先手:ryuswallows(1026)
後手:* 最速キメ(950)


うわああああああああああああああ!!!!

(本局も例の如くshogi.ioでの振り返りです。この形式気に入ってます。)

↓のリンク先からどうぞ

https://shogi.io/kifus/256569?start_tesuu=0




 【急所の局面】(85手目▲4四角まで)

大きく形勢が入れ替わった局面。
ここは△6八歩が正着。

以下感想戦で検討した手順中心に分析していく。

まず最も単純な応手に対してはどうなるか。

△6八歩 〈基本図〉 ▲同金 △5九飛成 〈a図〉 ▲6九金 △同龍 ▲同銀 〈a-1図〉

〈a-1図〉

以下△8六金というのも派手な手だが、なるほど▲同金には△8七銀▲7九玉△5七桂くらいで決まっている。
最終手で△6七桂と王手で迫らないのがお洒落。「王手は追う手」の典型例。

よって▲8六同金に代えて①▲7七金と受けると△同金▲同角△6六銀といった感じで迫っていく。あるいは②▲7八金なら△7五桂。以下根性の▲7七飛には△同金で優勢。かといって飛車を離して打つと△6七歩で止まってしまう。

先手はこの変化は避けなければならない。


では、〈a図〉から単に▲6九金ではなく▲6九金打と固めるとどうなるか。

〈a図以下〉▲6九金打 △2九飛成 ▲6二歩 △5一金 ▲7七歩 △6五馬 〈a-2図〉

〈a-2図〉

▲6九金打には△2九飛成としておいて、ここで先手の手が広い。
仮に▲6二歩と攻め合ってきた場合は上記の手順が一例で後手優勢となる。
先手は持ち駒が歩しかないのが辛い。
〈a-2図〉以下▲5九歩と底歩で更に固めてきた場合は△8四桂から端攻めも視野にいれつつ迫っていく。


では、基本図から▲6二歩と攻め合うとどうなるか?
これは感想戦で検討された変化だ。

(〈基本図〉以下)▲6二歩 △7一金 ▲4一龍 △6九歩成 ▲7一龍 〈b図〉

b図

この龍を取って良いのか問題で、感想戦では精査できないまま終わったが ソフトに言わせれば取って勝ちらしい。真実を確かめにいこう。

(〈b図〉以下)△7一同玉 ▲6一歩成 △8二玉 ▲7一角成 △7三玉 ▲6二馬 〈c図〉

〈c図〉

▲6一歩成の両王手が怖すぎるが耐えているのか。

ソフトは〈c図〉以下△8二玉と戻れと仰っている。
マジすか……。

実戦で〈c図〉から一手指せと言われたら△6四玉としてしまうが、これでも大丈夫らしい。
ただこれはこれで怖い形。入玉できるかというと桂馬や銀がちょうど良く利いていて難しそうな……。

△6四玉からの展開をもう少し見てみよう。

(〈c図〉以下)△6四玉 ▲5四金 △7五玉 ▲7七歩 △7九銀 ▲9八玉 △8八飛 ▲9七玉 △8六金 〈c-1図〉

〈c-1図〉

例えばこのように迫るのは足りていないどころか逆に先手が詰んでしまう。
馬を追い払うつもりの▲7七歩が機能していない。
〈c-1図〉からの詰みは馬が76にいるから生じたもの。

ではもっと早く馬を退かそうとしていたらどうなるか。


(〈c図〉以下)△6四玉 ▲6五歩 △5五玉 ▲5六歩 〈c-2図〉

〈c-2図〉

▲6五歩が馬に退いてくれと催促する手。
対して退きませんと主張してみるとこうなる。
〈c-2図〉以下△6五玉なら詰まず、入玉模様になるがそれ以外の応手はどれも詰んでしまう。

やはりこの辺りは怖い局面で感想戦ではなかなか結論を出せなかったが、ソフトで解析してみると解像度がグンと上がるというか、局面に区切りをつけることが出来る。文明の利器に感謝。

さてさて、では今度は先手の狙いを素直に受け止めるとどうなるか見てみよう。

(〈c図〉以下)△6四玉 ▲6五歩 △同馬 ▲5四金 △7五玉 ▲5三馬 △8四玉 〈c-3図〉

〈c-3図〉

▲6五歩に△同馬とした変化の一例。
▲5三馬に△6六玉だと▲6七金までの一手詰だが、△8五玉と逃げると先手はもう一押しがない。
以下▲8五金△同玉▲7七桂という強手もあるが大丈夫。……とはいえ〈c-3図〉はかなり恐ろしい見た目をしている。

強い人は〈c-3図〉を選ぶべきだろうが個人的には〈c-2図〉の方が好み。

このように、△6八歩に対して素直に応じてもガッチリ受けても攻め合っても後手が良くなるので86手目は△6八歩が正着と結論づけられる

本譜は△6二歩として形勢を損ねてしまった。
以降の進行はshogi.ioを参照のこと。


【対局後】

◇本局の振り返り

shogi.ioの方でも記したが、全体的に読みが甘く そこを悉く咎められてしまった。
特に60手目の読み抜けは酷い。この辺りは即修正案件。

経験値の無さについては、経験値のある戦法の方を煮詰めるか経験を積むかの二択。どうしたものか。

振り駒で負けたのは残念だがそれも含めて勝負なので仕方がない。

◇最後に

そういえば、局後なんか勝手に開かれる24棋譜分析を見ながら感想戦を行っていたところ、島ノ葉尚6級は全く見ていないような反応だった。
個人的には対局中は二人だけの時間で、局後は二人ともが強くなるために検討する時間だと思っていた(だから24でも投了後一瞬でページが開く)がそういう訳でもなさそうか。
開かれたページを即行で閉じているのか どこかの設定で切っているのか わからない。

それはともかく総手数159手、総消費時間約1時間半の熱戦で充実した対局だったが 開幕局を落としてしまったのは悔しい限り。
すぐに立て直して、次局以降軌道修正していきたい。
それとこの記事は リアルの用事が急に重なってしまい書き終わるのが大幅に遅れてしまいました。
こんなことはそうそう起こらないと思いますが 対局時の雰囲気をそのまま振り返りに反映するためにも出来るだけ迅速に書き上げられるように善処します、それじゃあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?