見出し画像

指す将順位戦7th自戦記 B級3組 11回戦 (vs JUN8級[768])

10回戦は不戦勝で、遂に第7期指す将順位戦最終戦。
入れ替え戦もないので本当に最後の対局となる。

【対局前】

◇対局相手の印象

対抗形党
相居飛車や相振り飛車もたまに指されているが、相手が居飛車の場合は四間飛車か三間飛車に振ることがほとんど。
横方向の攻防では特に警戒が必要だろう。
稀に袖飛車も指すようだが本局ではどうなるだろうか。

◇対戦成績

初手合
あまり24では指されていないようだ。

◇事前準備

 [▲先手番]

今度こそ先手中飛車

中飛車に対しては居飛車で対応してくる可能性が高いので、採用理由や想定局面は6回戦と被るところが多い。
中飛車は対抗形の中でも一番縦の将棋になりやすいイメージがある。
JUN8級に分のある横方向の攻防はなるべく避けたいところ。


想定局面①
飛車先不突きを活かして袖飛車にしてくる変化。
中央から抑え込むような展開にしたい。


 [△後手番]

後手番の場合は普通に居飛車で指す予定。
基本的な陣形、狙いは9回戦と同じ。

○対四間飛車

四間飛車に対してはミレニアムと金美濃の間のような陣形で持久戦にする作戦。


想定局面②
膠着状態になっても後手番としては千日手歓迎


○対三間飛車

三間飛車には9回戦のように雁木で対応する。


想定局面③
▲67銀型からの変化。
こちらも千日手を狙いながら先手が無理に動いてきたところをいなす作戦。
▲57銀型に対しては9回戦の記事をご参照ください。


~対局前まとめ~

先手番になった場合は中飛車にして対策を教えてもらう。
JUN8級の対中飛車を見ていると飛車先をなかなか突かない工夫をしているようで、自分が取り入れることができる部分もありそうなのでこの機会に勉強したい。
先手中飛車を指すことが主眼なので 後手番になってしまった場合は積極的に千日手を狙っていく。
とはいえ対抗形で上手く千日手になることはなかなかないので実際は相手からの攻めをいなす展開になりそう。


【対局開始ッ!】

先手:* 最速キメ(750)
後手:tnasut(768)


対局の棋譜とその振り返りは本局もshogi.ioで振り返っています。

こちらのリンクからどうぞ~

https://shogi.io/kifus/254783


【急所の局面】(61手目▲8七飛まで)

(自分のための振り返りなので普段は急所の局面で相手の手番を選んで検討することは無いのですが、本局は相手に中飛車対策を教えてもらうことが大きな目的だったので居飛車目線での好手を検討する形を取らせていただきます。)

基本図

「ここで角を取っておくべきだったか」というのが感想戦で真っ先に挙がった話。

△6六銀に備えての▲8七飛だったのだが、それでも居飛車が良かった。
というのも、この▲8七飛を咎める好手順があったからだ。

(基本図以下) △6六銀 ▲同歩 △5八歩成 →参考図1へ


参考図1

△6六銀▲同歩のとき△7七桂成と逃げる手を防いでいるのが61手目▲8七飛の意味なのだが、ここで拠点と思われた57の歩を軽やかに成り捨てるのが好手順の一歩目。

①無視して桂馬を取るのは流石にやりすぎで、
②▲5八同銀は△4六角があるので
③▲5八同金と取るが……

(参考図1以下)▲同金 △4六角 ▲同銀 △6九角 →参考図2へ


参考図2

△4六角と端角を切り、▲同銀で58の金への紐が切れたところに△6九角と打つのが好手

これが金取りと同時に87の飛車にも当たっており、61手目▲8七飛を咎めている

この時点で先手としては蹂躙されるのを待つしかないのだが、もう少し進めてみる。

(参考図2以下)▲8八飛 △7七桂成 →参考図3へ


参考図3


結局△7七桂成を許してしまって大劣勢。
ここで先手には2つの候補手がある。

金への利きを外さない(1)▲9八飛 と
飛車角交換に持ち込む(2)▲5九金(▲6八金も同様)である。

まずは(1)▲9八飛の進行から見ていく。

(参考図3以下)▲9八飛 △4九銀 ▲4八金左 △3八銀成 ▲同金 △4七金 ▲同金 △同角成 ▲5七金 →結果図aへ


結果図a

割り打ちの銀から囲いを削られ、△4七金から絡まれてこちらの飛車の横利きも虚しく結局囲いの金は二枚とも消滅

46の銀を守るために▲5七金と受けて画像の局面。

以下は△5七同馬としておいて、▲同銀に

△4七金と絡みついたり
△5五飛から銀取りを見せつつ次に△8五飛と回る手を狙ったり
△6七成桂と駒を活用したり

有力な変化が選り取り見取り


次に(2)▲5九金の変化を見ていく。

参考図3(再掲)

(参考図3以下)▲5九金 △8八成桂 ▲6九金 △4九飛 ▲4七角 →結果図bへ

結果図b

飛車角交換後、69の金が浮いてしまっているので早速△4九飛と使われて痛い。
69の金と46の銀の両取りだ。

これを同時に受けているのが▲4七角
後手が手を弱めると▲7四角と飛び出して飛車を狙っていく攻防の角でもある。

渡した飛車に対して 手にした角を使った味の良い手で先手も戦えている気がするが、画像の局面から△3九銀がそれを更に上回る好手

〈1〉▲同金と取ると角への利きが無くなってしまうので△4七飛成と取られてしまう。

かといって〈2〉▲1八玉では△4八銀成が厳しすぎる。

ちなみに〈3〉▲1七玉には△4八銀成でも後手優勢だが、代えて△4七飛成といきなり飛車を切ってしまって、▲同金に△3八角疾風の手

▲5八金などで47の金を守ると△2九角成から一人終盤の様相を呈してくる。


ということで、参考図3から(1)▲9八飛でも(2)▲5九金でも後手の居飛車が良くなった

そして基本図から参考図3までは割と一直線なので、基本図の時点で中飛車にとって思わしくない盤面であると言える。

居飛車からの端角と桂馬、そして飛車を5筋に転換して57の地点を一斉に狙う攻撃的な配置は参考になった。

機会があれば中飛車相手に採用を考えたい。


【対局後】

◇本局の振り返り

今回後手番を引いたらもう仕方ないと思っていたが、運良く先手番を引くことができて 指す将順位戦で成績に関係なく一回は飛車を振ろう という当初の目的を達成出来たのは良かった。

6回戦の時点で「振るときは振る」意思表示はできたからそれで良かったっちゃ良かったけど、やっぱりnoteで書くのと実際に将棋倶楽部24の棋譜に残すのでは印象が違うよな……

……

……と思ったけど
本局フリー対局なので棋譜が残りません。

対局後に気がつきました。
まあ なんだ、記事のサムネイルに中飛車の画像とか貼るし。その分目立つし。

そもそもキメ対策練ろうとする人はnote見るだろうし、note見ない人はガチガチの狙い撃ち対策みたいなのはしてこないだろうから 対策立てにくくする(立てるモチベーションを削ぐ)っていう本来の目的は達成できている、のかも。


そしてJUN8級の中飛車対策は参考になりました。

やっぱり攻勢に出るって大事。
序盤こっちがリードしてた局面もあったものの 中盤逆転されたのはそういうことでしょう。

先手番ではそういうの意識してるんですが、後手番でもこのマインドは必要ですね。

あと中飛車相手に飛車先突かないのと角道開けないのはどっちが大事なんだろうか。
雑感としては初手▲5六歩には飛車先突かないのが良くて、先手中飛車には角道開ける優先度が低いイメージで、あまり噛み合ってない状態。
現状は初手▲5六歩突いてくる棋士はもう先手中飛車(or嬉野流)やってくると決め打ってどちらにも有力だと思っている△8四歩で応じてるんだけど……。

ただ本局にみたいに結局5筋に回るなら△8四歩突く意味も薄い気がしたり、でも突かないのも居飛車の攻め筋が一つ消えてる感じがしたり。

2手目△3四歩で向かい飛車やるのが案外良いとかあるのかもしれないけど中飛車されなかったときにも対応できるような駒組みにしないといけない。
そこらへんの体系化は全然やってない。

流石は先手振り飛車の星、なかなか決定版が見つからない。


◇最後に

これにて第7期指す将順位戦完走!
不戦敗もなく、振り返りも毎局じっくり出来たのは棋力向上に大きく繋がった。
何事もなければ来期も参戦予定なので、そのときはまたよろしくお願いします。それじゃあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?