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酒は飲んでも呑まれるな。2020/01/26根子岳。

お酒がたいして強くもないのに、調子に乗りやすい性格だから二日酔いになる。
根子岳大戸尾根登山口に到着したものの、凄まじくダルい。
ただ、言い訳させてもらうとしたら、昨夜ご馳走していただいた熊本の親戚とは初対面だっただけに、テンションが上がってしまったのだ。

うちの一族は変わり者が多くて、組織が向かず、親類の多くは、様々な商売をしているが、今ひとつパッしない。ある時、昨日の親戚の枕元にご先祖様が立ち、先祖供養をするように言ったらしい。一族の商売がイマイチなのは先祖供養に問題があるからのようだ。

そこで彼は「本家の長男にご先祖様の供養をさせるべし」と思いたち、僕の父に話したら、父はその父、つまり僕の祖父が、常日頃から口にしていた「死ねば無になる。あの世はない」を持ち出して、爺様がそういう人だったから、そういうことに出費するのは、その意を損ねるのでは。と屁理屈をこねたそうで、父の長男である僕に白羽の矢を立て、フェイスブックで僕を見つけて「先祖供養」を呼びかけたのだ。

うちの一族の変わり者ぶりがわかるエピソードだろ。僕は祖父にはとても可愛がられたので、考え方としては祖父に近いが、わざわざフェイスブックでコンタクトをとってくれた親戚の、しかも年長者の意見を無視するのは失礼だから、話を聞いて、東京にある真言宗のお寺に行って護摩供養をしていただいた。

それから、東京にでてきた彼の長男とご飯を食べたりはしたが、当の本人と、なかなかお会いする機会がなくて、数年が経ち、昨晩初めて対面できたのだった。

そういう次第で、積もる話をしながら酒がすすんだ。そして僕の父のこともある。
僕は二十代後半、ちょっとやり過ぎて刑務所に入ったのだが、その時に両親に多大な迷惑をかけた。それで一昨年の逮捕だ。
前回も今回もニュースでそこそこ扱われ、家の恥を晒してしまった。さすがに二度目はありえん。僕は留置場でいたたまれなくなり「絶縁してくれ」と手紙を書いた。
とはいえ両親のことは気になる。だが顔向けできないので、熊本の親戚から両親がどうしてるか聞きたかったのだ。

いろんな事を話して飲み過ぎた。そしてダルい。
でも、熊本から大分に帰ると、どうしたって阿蘇を通る。
「チャンスは最大限に生かす。それが私の主義だ」

駐車スペースに車なし。ソロ登山で、しかも現在誰も登ってない山ということで、身が引き締まる。そりゃあ小雨じゃね。

牧場の中を通るのです。あ〜牛よ、つぶらな瞳で僕を見ないでくれ給え。昨日焼肉食べたから。人間ってかくも業が深い。

避難小屋です。ここ麓だから、避難って。あ〜。火山だからね。阿蘇は。上からなんか降ってくるかもしれないもんね。
手前で鹿が一頭死んでました。まだ日が浅そう。さすがに写真は撮れんわい。
なんまんだぶ。なんまんだぶ。

ここから登山道。すぐに急坂と書いてあったけど。

いきなり過ぎるわ〜い!多分これまで登った九州の山では一番の急斜面。しかも泥で滑る。下りが思いやられる。
急な登りだと、つま先が常に上にあがった状態で、アキレス腱伸びっぱなしになるから、ふくらはぎにクル。

脇に踏み跡があり、巻道かもと思い、登山道外れる。逃げた。

沢か〜い!しばらく岩をよじ登るのを楽しんだが、案の定かなりの崖が出現。
「沢沿いは滝にぶち当たる」格言通りだ。諦めて登山道方面へ。
同じように考える人もいるようで、そういう踏み跡がありました。

登山道に入った。沢の崖よりはマシだけど、滑るし急だ。

岩出現。もちろん登りませんよ。

でも、こつちの岩は登るんかい!

その先に梯子。岩が風避けになるので、ここでちょっと休憩して糖分補給。必死に登っていたら二日酔いは抜けて空腹に。
山で空腹になると思考力低下するのでヤバイ。特にソロ登山は、こういうことが致命的になるのだ。

ようやく、ちょっとだけフラットになったと思ったら。

ロープ場連続。急でしかも泥とともに滑る。

1時間ちょいでフラフラです。

天気が天気だけに、もちろんなんも見えん。

登りの時は感じなかったけど、下りで痩せ尾根通ると怖い。滑るし。

こっち行けば、西峰だろうけど、この天気でソロだと無理。西峰の先に「猫岳」というのがあって、とても気になるんだけどなあ。まあでも踏み跡が結構あるから、行ってる人もいるみたい。

梯子のところまできた。また糖分補給。少し前からみぞれになって、めちゃめちゃ冷える。

もう写真撮る余裕もなく、細心の注意を払って下山しました。泥でかなり滑るけど転びはしなかった。自分を褒めたい。

帰り道は肥後国の一の宮「阿蘇神社」へ寄ります。フツーの神社は本殿から南に延びる表参道ってスタイルだけど、ここは横参道という珍しい神社。

日本三大楼門の一つは地震で完全に消失。

お社も復旧工事中で痛々しい。熊本城はだいぶマシになってきたけど、こちらはまだまだみたい。

もちろんペットボトルに汲みましたよ。

御朱印も頂戴しました。初穂料¥500です。

根子岳はマジで急坂。ただ、そこまで長くはない。奥多摩のヌカザス尾根に比べれば、斜度はそうでもない。あそこは転んだらゴロゴロ奥多摩湖まで転がり落ちるような気がするもんね。
ただ滑るのと、上の方が痩せ尾根になってるから、そこは気をつけないといけないかなぁ。
尾根をひたすら登るだけなので、単純明快ではあります。こういうコースは頭の中でいらんこと一切考えられなくなるので、悩み事のリセットにはちょうど良い。

いつの日か「猫岳」に挑戦してみたいなぁ。そのためにも、お酒はホドホドにして、体を大事にしないとね。

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