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映画を観に行く『九十歳。なにがめでたい』

楽しみしていた映画を観に行ってきました。

佐藤愛子さん原作の『九十歳。なにがめでたい』です。

主演は草笛光子さん。
なんと草笛さんもちょうど90歳!
ですので「草笛光子さんの生誕90周年記念作品」でもあります。

なんかもう、これだけでほんわかしますね。
90歳の役を90歳が演じる。
これは相当凄いことだと思います。

この映画を観に行こう!と思ったのも、上記の理由がほとんどです。

巷の90歳って、歩くのがやっとな方が多い。
ましてやセリフを覚えて演技するなんて、とんでもなく凄いことだと思います。
草笛光子さんは現役で俳優をされているので、セリフを覚えるのも慣れているし、トレーニングもしていらっしゃるでしょうけど、それでも凄いことだと私は思います。
そもそも元気にしていることが凄い、素晴らしい。


内容をサラッと説明しますと、
断筆宣言をした作家・佐藤愛子さんは、のんびり過ごすもメリハリの無い鬱々とした日々を過ごしていました。
そこに昭和気質の編集者吉川さんがエッセイを書こう!と何度も押しかけます。
その熱意のあまり、佐藤愛子さんはエッセイ連載を始めます。
仕事もなく鬱々としていた佐藤愛子さんが、再び筆を取ることで力を取り戻していく、そんなストーリーです。
90歳という高齢者あるあるも含めた、エンターテイメント映画ですね。


観客は、お年寄りの方が多い印象でした。平日に観に行ったからかもしれませんが。
ところどころ面白い部分があるので、客席からはワハハと笑い声が起こりました。
みんなが笑って観れる映画って安心しますね。

私はホラーやハラハラドキドキ物は心が落ち着かないので観れませんが、『九十歳。なにがめでたい』のような、日常系エンターテイメント作品なら気楽に観れて嬉しいです。

ネタバレは控えますので具体的なことは書けませんが、終始面白くて、時にはボロボロと泣いて、観終わった後は気持ちが心地よくスッキリとしましたね。
心温まる作品でした。登場人物がみんな良かった!

特に佐藤愛子さん。
言いたいことをバッサリと言いますが、嫌味っぽさはなく、気持ち良い感じです。
ハッキリと物申す事って、今はなかなか言える人が少ないですが、見習わないといけない部分だなぁと思いました。

私は原作本を読んでから映画を観ました。
ですので「あっ、この場面はあの文章だ!こうやって表現したんだ。うまいなぁ」と思いました。


映画を観終わって、思ったこと。
歳をとってもイキイキと暮らしたい。
そのためには自分にとってやる気が出ることをしないと。私も死ぬまで現役で働くか、趣味を続けていきたいなぁ、と感じました。

歳を重ねることで、うまくできない自分に腹立たしさや情けなさを感じる場面もチラホラ。
でもそれにもめげずに生きていく姿が心打たれました。
というか、世のお年寄りは皆さんそうなのかも。
この数十年で一気に時代はデジタル化が進みましたからね。
ついていくだけでも精一杯なのかもしれない。


原作にも「進歩が必要だとしたら、それは人間の精神力である」とありますが、まさにその通りですね。
精神を深めて、動じない歳の取り方をしたいものです。

そして佐藤愛子先生は去年で100歳を迎えたそう。
なんとも嬉しいお話です。
やっぱり、何もせずに過ごすのではなく、熱意をもって取り組める何かをし続けないとな、と強く感じました。

笑えて泣けて将来について考えることができる、素晴らしい作品でした。


追記:ちょっとネタバレ
すごく共感したのでせっかくなので書きます。


編集者吉川が、佐藤先生に執筆依頼する際に「佐藤先生の著書に感銘をうけました!」的なことを言うシーンがあります。
佐藤先生は「私の、どの著書の、どの部分の、どの文章を読んでそう思ったのかしら?」と返事します。
それに上手く答えられない吉川はタジタジに。

そうだよねえ、具体的に答えられないとだめだよねえ。
むしろどこがどう良かったのか、作り手はそれを聞きたいよねえ。
私も以前、似たような境遇を経験したのでよくわかります。
自分が力を入れた作品を「良かった」だけで済ませられのは、なんとも肩ががっくりくるものです。

私だったら「○○が▽▽で、□□に思った。その後☆☆を意識するようになた」とかまで言いたい。
言いたいけれど、上手く伝える練習もしなくちゃな。
結局、心に秘めた想いは熱いけれど、言葉に出すと語彙力がなさ過ぎて「よかった」だけになりそう(笑)

その場面を教訓として心に刻むのでした。

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