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コロナ禍のアルコールとの付き合い方

こんにちは、産業医をやっています。山椒です。

皆様、お元気ですか?はたらく皆様と会社の健康な関係を目指して遠隔と訪問のハイブリッドでお手伝いにうかがってます。今回はコロナ禍のなか、健康リスクを踏まえたアルコールとの付き合い方について情報共有します。

まず、厚生労働省の令和元年国民栄養・健康調査では、健康リスクの高い飲酒率は日本人成人の男性で15%、女性で9%となっています。
また、米国では外出規制下でハイリスク飲酒者は20%増し*1、前年と比べてアルコール消費量が14%増えています。*2
さらに、世界保健機関WHOによると全世界で毎年250万人がアルコール悪用がもとで死亡、うち32万人は15-29歳のお若い方です。*3


鎌倉時代のベストセラー「徒然草」に「酒は百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ」とありますとおり、楽しいお酒も量が過ぎると健康・職場・家族に以下の悪い影響を持ちえます。

健康問題 肝臓、すい臓、食道、胃、腸、膵臓、高血圧、脳卒中、糖尿病、認知症、脳神経、がん、うつ、自殺、栄養障害
職場問題 ケガ、飲酒運転、ハラスメント、急性アルコール中毒、ストレス、長期欠勤、不定期欠勤早退、業務効率の低下、事故、健康診断の異常、
仕事内外のトラブル、暴力、失業
家庭問題 家庭内の喧嘩、常軌を逸したしつけ、虐待、責任放棄、離婚、子供の養育の放棄、親権の喪失

アルコールの悪用の親分!こうなってしまったら一人前。否認の病気と言われる「アルコール依存」の診断基準と治療法です。

診断基準
つぎのうち3つを過去1年間で一定期間経験。
1.何としても飲まずにはいられない渇望
2.やめられない止まらないコントロール不能
3.手の震えなどの離脱症状
4.飲む量が日に日に増える耐性の増大
5.仕事や趣味が手につかない飲酒中心の生活
6.わかっちゃいるけど。。。有害な使用に対する抑制の喪失*4

アルコール依存の治療*5
必要時は専門施設の受診を!!
・飲酒量低減・断酒
・薬物治療
・心理社会的治療
 飲酒日記、ポジティブな簡易介入
・自助グループ

では飲酒の適量は!?
ワールドクラスで男性1日40g、女性1日20g以下と言われています。
例)男性:ビールジョッキ1杯と日本酒1合
  女性:グラスビール1杯と日本酒0.5合
  飲めない人:おいしいお茶、おいしいジュース
お酒に弱い人はなるべく少なくするのがおすすめです。

この年末年始は大声や密接を避けDrink Smart、みなが節度をもって一緒に楽しめる宴会を実践する良い機会かもしれません!!

まとめ
・コロナ禍ですよ!あなたも飲酒量増えてませんか?
・お酒も過ぎると健康・職場・家族に残念なインパクト
・それって依存症?セルフチェックでまず減酒
・うまくいかないときは周りの人と専門施設に相談を!
・みんなでDrink Smart。お酒と良いお付き合いをしましょう。

参考
*1 UT Health
*2 JAMA Networkより
*3 世界保健機関ホームページ
*4 ICD-10
*5 減酒治療について:減酒.jp大塚製薬

リンク
アルコール依存治療症ナビ.jp
suntoryホームページ

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