原子力発電所の発電量MAP

高浜原発再稼働を機に関西の電力事情を見てみた件(前篇)

どーも、文福茶釜と申します。

先日お届けしました「高浜、原発再稼働するってよ。」に続き、今回もちょっと原発ネタで行かせていただこうと思ってます。

なお、ちょっと長くなってしないそうなので複数回に分けて連載させていただきます。


関西のエネルギー事情を知れば、高浜原発再稼働の背景も見えてくるかと思うので、この際、関西のエネルギー事情を、勉強がてら確認していきたい思います。

東日本大震災はエネルギー政策の大きな転換点ですので、それが起こる以前の状況をまずは見ていきたいと思います。


2010年以前の日本の電力は誰が担っていたのか!?

まずは、そもそも日本の電力は誰が支えているのかを見ていきたいと思います。

数値を見る前に、電力供給のプレイヤー紹介をさせてください。

法律上の定義説明は「電気事業の概要(関東経済産業局)」にお任せするとして、ザックリしたイメージは以下の通りです。

一般電気事業者

東京電力、関西電力などの既存の10電力会社

卸電気事業

①に電気を売りつける会社。電源開発(株)(=Jパワー)と日本原子力発電(株)の2社が該当

特定電気事業

地域限定で電力供給する会社。六本木エネルギーサービス(株)などの4社が該当

特定規模電気事業

一般電気事業者の送電ネットワークを使って電気供給する新規参入者。

自家用

読んで字の如く自家発電分です。

さて、以上を踏まえて事業体別での日本の発電量の推移をみていきたいと思います。


(出典:※1データソースに関しては、文末にて記載)

ここ10年間で見てみると、約7割が一般電気事業者によって賄われていることが分かります。

自家発電分が次いで2割を占めている感じです。自家発電って意外に頑張っていたんですね。


2010年以前の日本の電力はどの様に発電されていたのか!?

(出典:※1データソースに関しては、文末にて記載)

次にご覧いただいているのは、発電方法別での推移になります。

2010年時点においては、火力発電が67%を占めており、次いで原子力発電が25%を担っている状況です。

火力と原子力の増減は多少あるものの、全体的な構成自体はここ10年でほとんど変化していない印象ですね。

そして、火力発電が67%を占める中で認識しておかなければならない点は、火力発電のための燃料はほぼ100程度輸入に依存しているって点だと思うんですよね。

2011年から日本は貿易収支で赤字状況ですが、2011年以降の発電方法の内訳の変化が大きな鍵を握っていると考えられます。

この点に関しては別途検証テーマとして、今後確認していきたいと思います。


2010年以前の日本の電力状況

以上の「事業体」と「発電方法」を組み合わせて見た数値が以下の表になります。

(出典:※1データソースに関しては、文末にて記載)

えっ!?文字小さい、数字苦手ですって!?

安心してください。サクッとイメージで掴めるようにしておきましたよ!

(出典:※1データソースに関しては、文末にて記載)

このグラフの見方は、薄い青色が表すエリアの大きさが一般電気事業会社の発電量を表しています。

そして、その中で発電方法別(火力、原子力、水力…etc)の発電量がエリアの広さで確認できます。

ザックリ見てみると、日本の1/4は一般電気事業者の原子力発電で賄われていることが分かけます。

関西電力がメインプレイヤーの近畿!!

次に、全国から近畿に焦点を移していきます。

なお、ここでは「近畿=近畿:2府5県+福井県」(=関西電力が主にカバーしているエリア)という点にご留意ください。

(出典:※1データソースに関しては、文末にて記載)

近畿においては、一般事業会社(ここでは関西電力)存在感が圧倒的ですね。

先に確認している日本全体と比較しても関西電力の構成比が6pt高く、自家発電は4pt低い感じです。


近畿は原子力の割合が高い!!

(出典:※1データソースに関しては、文末にて記載)

近畿を発電方法別で見てみると、2010年時点では火力:50%、原子力:39%、水力9%となっています。

日本全体と比べると、火力の割合が低い印象ですね。

ある意味では海外依存度の低い(=化石燃料に頼らない)エネルギー環境だったと思われます。

とは言え、ここ10年間で原子力による発電量が抑えられ、火力による発電量が高まっている状況です。

「原子力発電の方向性に変化があったのか!?」、それとも「化石燃料の価格が安くなったのか!?」変動要因を探ってみるのも面白そうですね。


2010年以前の近畿の電力状況

全国同様、「事業体」と「発電方法」を組み合わせて見た数値&イメージは以下の通りになります。

(出典:※1データソースに関しては、文末にて記載)


(出典:※1データソースに関しては、文末にて記載)

2010年の近畿地方においては、約4割を関西電力の原子力発電がカバーしている状況だったようです。

では、その関西電力の原子力発電所の発電状況を見ていきたいと思います。

関西電力の原子力発電所としては、大飯、高浜、美浜の3つが存在します。

その発電量の推移は以下の通りになります。


【関西電力】_原子力発電所の発電状況(単位:Gwh)

(出典:※2データソースに関しては、文末にて記載)

今までご覧いただいていたデータが電気事業連合会の出典であるのに対し、上のグラフのデータソースは関西電力となり、完全に平仄が合っているわけではない点にご留意ください。

そのため、完全に発電量が一致するとは限らないので、各原発の内訳を確認するために利用します。

これを見てみると、大飯原発が42%、高浜原発が34%、美浜原発が24%という順番で多い状況ですね。

近畿(近畿地方+福井県の2府6県)の約4割を関西電力の原発がカバーしています。

高浜はその内の約35%が担っているので、ザックリ計算で0.4×0.35=約14%となります。

そのため、近畿の約14%を高浜原発が賄っていたことになります。

これは結構、経済に与えるインパクトはありそうですね。


原子力は西高東低!?

ちょっと視点を変えて、各エリアの一般電気事業者の発電方法の内訳をみていきたいと思います。

(出典:※1データソースに関しては、文末にて記載)

これを見てみると、四国(55%)→関西(51%)→北海道(49%)→九州(46%)と来て、北陸が35%と約10pt以上離れて続く形になります。

10電力会社の内、3社が西日本エリアの会社となっています。


かなり偏っている原発MAP

(出典:※2データソースに関しては、文末にて記載)

上のグラフは、各原発の所在地と発電量のMAPになります。

東京電力に関しては、原発の発電量のデータが取得しにくかったため、除外させていただきました。

これを見てみると、福井県への原発の集中っぷりが気になりますね。

先程、「近畿地方の約4割の電力を、関西電力の原発が担っている。」と言いましたが、ぶっちゃけ福井が担っていると言っても過言はなさそうですね。

日本の電力事情は、ドイツ式のミクロ型か!?

上の原発マップを見て、「日本はドイツを見習うべきだ!」という原発反対派の方達の発言を思い出しました。

2011年の福島第一原発の事故に伴って、「経済大国のドイツは国内に原発を一つも持っていない。日本はドイツを見習うべきだ。」という発言をたまに耳にしました。

でも、ドイツの人にお話を聴いてみたところ、「ドイツは旧東欧諸国に原子力発電を作らせて、そこから供給させることで、自国内に原発を作らないで済んでいる。」という状況らしいんですよね。

「原発に頼っていない」と言うよりは、(言葉は悪いですが)「経済的な植民地を介してエネルギーを調達している。」っという印象を受けました。

日本のも(補助金や雇用創出等と引き換えではあるものの)福島や福井に足向けて寝れない感じですね。


総括&今後に向けて

今回は、2010年までの発電状況を、全国&近畿で見ることで以下のことが分かりました。

●日本では一般電気事業者の発電量の割合は約7割、自家発電:約2割となっている。

●発電方法だと火力:67%、原子力:25%、水力:8%となっている。

●近畿では関西電力の割合が約8割と、全国と比較して一般電気事業者の存在感が強い。

●近畿は原子力の割合が39%と全国と比較して高い。

●近畿の約4割の電力を関西電力の原発が担っており、その内の34%を高浜原発がカバーしている。

●以上のことから、高浜原発は2010年時点で近畿の約14%の発電量をカバーしている。

次回は、2010年と2011年以降を比較することで、福島原発の事故以降に「エネルギー政策がどの様に変化してるのか!?」&「その結果としてどの様な影響があるのか!?」を見ていきたいと思います。


【データソース】

※1:電気事業連合会

電気事業60年の統計:Ⅱ.供給-1.発電電力量を加工して利用

※2:関西電力 原子力情報センター(KNIC)

原子力発電データ集

 ・大飯原発の発電実績を加工して利用

 ・高浜原発の発電実績を加工して利用

 ・美浜原発の発電実績を加工して利用


最後に

狸的駄文に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

気に入っていただけた方は、ブログの方にも遊びに来ていただけると、嬉しいです。アホらしい分析を実施しています。


ブログ名:G5+3:古来の組織 群馬支部

http://kaseinososhiki.blog.jp/




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