首都圏は東京の植民地なんじゃないかと心配になってしまう件
どーも、分福茶釜と申します。
大阪の友人から「琵琶湖から水を供給させるため、大阪は滋賀を植民化した。」と教えてもらったことがあります。
ちなみに彼は「奈良は何もないから、別にいらん。」とも言っていました。
上の発言は関西での冗談なわけですが、はたして本当に笑い話で済む状況なのでしょうか?
はじめに
今回は「野菜や果物の流通をどの地域がどの程度担っているのか!?」という流通への影響度を見ていきたいと思います。
そのため、可視化する内容としては「各都道府県の作物別の出荷量」となります。
使うデータは、以下な感じです。
●データソース:農林水産省
○調査名:作物統計
・野菜:作況調査(野菜)
・果物:作況調査(果樹)
・生花:作況調査(花き)
●対象期間:平成26年度
●対象項目:出荷量(野菜、果物:t、生花:千本)
今回は出荷額を利用しているので、「生産量が多くても自己消費や廃棄等がある地域はその分が割り引かれている点」や「野菜などの合計で見た場合、重い作物程影響力を持つ点」など注意が必要そうですね。
茨城と千葉は野菜供給部門
まずは、日本でよく食べられている野菜のBEST20の野菜の出荷量の合計から見ていきたいと思います。
何をもって「日本でよく食べられている」なのか!
っという点に関しては、厚生労働省の日本人における野菜摂取量ランキングにお知恵を拝借しました。日本での摂取量TOP20の野菜の合計出荷量(青丸)を見てみると、北海道がダントツということが分かります。
日本での摂取量TOP20の野菜の合計出荷量(青丸)を見てみると、北海道がダントツということが分かります。
摂取量TOP20の野菜_相対比
次に、相対比(緑のヒートマップ)をつかって各地域を比較してみたいと思います。
なお、相対比は最も出荷量の多い地域を100とした場合の各都道府県の比率となり、高いほど緑色が濃くなります。
摂取量TOP20の野菜のケースで言えば、1位の北海道(100%)は2位の茨城(56%)の約2倍の出荷量であるっということが見て取れるわけですね。
・・・北海道の広大な大地がなせる業なんですかねー。
第一次産業の効率性を高める上ではやはり広い土地という要素はが大きな影響力を持ってるわけですね。
飛び地や棚田って手間かかりそうですからね、まとまった耕作地ってだけで農業の生産性って高まりそうです。
ちなみに、茨城、千葉は面積ランキングとしては24位、28位とそこまで面積が広い県ではないんですよね。
そのため、
①-A.単純に生産性が高い。
①-B.(県の面積が広くはないが)県全体の面積に占める耕作地の割合が高い。
①-C.単純に野菜に力を入れている。(=田んぼではなく、耕作地が多い)
①-D.僕の様な害獣(←北海道は少なそう)によって作物荒らされちゃっている。
等の仮説が考えられますね。(=検証テーマ①)
摂取者数TOP20の野菜_相対比
次は、摂取者数TOP20の野菜の出荷量になります。
・・・え!?今まで見てた摂取量のTOP20の野菜と何が違うんだって!?
摂取量はその名の通り、摂取した量になります。
例えば味噌ラーメンを良く食べる人がいた場合、スイートコーンをよく食べる機会はあるものの、スイートコーン自体は小さいので食べる量はたかが知れてますよね。
摂取量TOP20 の野菜が「純粋に食べられた量が多い野菜」であるのに対して、摂取者数TOP20の野菜は「(食べた量はともかく)食べられる機会の多い野菜」と言い換えることが出来るかもしれません。
ちなみに結果を見てみると、傾向としては摂取量TOP20の野菜とほぼ同じですね。
高原野菜で頭角をあわらす群馬、長野
高原野菜_相対比
今度は視点を少しミクロに落として、高原野菜の出荷量を見ていきます。
ちなみに、高原野菜としてはキャベツ、レタス、セルリーの3つを対象としています。
セルリーってなんだよ、セロリだろ!!って思ったそこのアナタ、気持ちは分かります。
っが、農林水産省での記載がセルリーだったので、ここは長いモノに巻かれたいと思います。
高原野菜において、群馬、長野、愛知の順で多い形になります。
群馬、長野は高原のイメージがありますが、愛知も頑張っていますね。
農業大国の北海道はここでは存在感が減っていますね。
気候的には高原野菜に適していそうですが、この辺はなんでなんでしょうかね!?
「他の野菜と比べて実入りが少ない」とか「実は高原野菜を作るには寒すぎる。」といった様な何かしらの事情がありそうですよね-。
なお、野菜全体の出荷量や、品目別(Ex.だいこん、にんじん…etc)での出荷量をご覧になりたい場合には、「データの墓場_野菜の出荷量」というページを設けてありますので、良かったら見てやってください。
果物の雄、青森、長野、和歌山(首都圏では山梨も健闘)
果実_相対比
果物を見てみると、青森、長野、和歌山、愛媛が高いことが分かりますね。
恐らく、リンゴ、みかんの影響が強いんだろうなーっというのが想像に難くないですね。
ちなみに、首都圏では山梨が好調な感じですね。
桃やぶどうでの活躍によるものと思われます。
ちなみに、統計上は果物の中にスイカ、メロン、いちごは含まれていません。
これらの作物は分類上では野菜のカテゴリに分類されるためです。
そのため、果物にスイカ、メロン、いちごを足して、フルーツという単位を勝手に作ってみました。
フルーツ_相対比
パッと見ではあまり変化はありませんね。
北海道がメロンの影響で色が濃くなっている様です。
首都圏に目を向けてみると、栃木はいちごの影響で、千葉はスイカ、茨城はメロンの影響でそれぞれ色が濃くなっている様子です。
おやおや
さっきから見ていると、「首都圏に関しては、全国的に見て出荷量自体が多い状況(=検証テーマ②)」&「作物別で色の濃淡の場所が変化している。」という印象を受けます。
まず、首都圏が比較的出荷量が多いのは、東京という一大消費地が存在していることに起因しているからだと考えられます。
そして、品目毎に各地域での濃淡が見られることから、品目毎に存在感を発揮する県が異なっているということになります。
これらから推測される仮説としては、「東京という一大消費地に向けて、野菜は千葉・茨城、高原野菜は群馬・長野、果物は長野・山梨といった感じでそれぞれ供給元が住み分けされている。」可能性が考えられそうです。
そういった視点で改めてデータを見直すと、首都圏に限らず、大阪、愛知、福岡等の大都市圏でも同様の印象を持ってしまいますね。
総括
今回はデータを可視化した結果に対しての印象のお話です。
また、単に地域別での出荷量を見てきただけなので、出荷先が必ずしも東京都であるとは限りません。
加えて、東京の食料需要とそれらの出荷量が数値感として妥当かどうかも検証出来ていないので、まだまだ検証不足なお話です。
とは言え、「東京は食料自給率の低さゆえに、他のエリアに頼らざるを得ない。」という状況を踏まえると、案外的外れではない感じしますね。
冒頭の大阪の友人が、「あんな、滋賀は大阪の植民地やねんで!」と言う度に、滋賀の友人が「うっさいボケ、琵琶湖からの水の供給止めたんで。」と反撃していました。
首都圏での災害等により、もし本当に供給が止まってしまったら!?
その時東京はどうなってしまうんでしょうかね。
くわばら、くわばら。
今後に向けて
今回、定量的に示せていない下記2つのテーマが存在しています。
テーマ①:茨城、千葉は面積がそこまで大きい県ではないが、野菜の出荷量が多いのはなぜか!?
テーマ②:首都圏の出荷量は全国的に多く見えるが、本当に多いのか!?
これらは今後、別の記事にて検証していきたいと思います!
乞うご期待!
おまけ
ちなみに生花の出荷量も見ておきたいと思います。
生花_出荷量
生花_相対比
生花に関しては、沖縄、愛知の2強ですね。
野菜や果物と比べると、首都圏が奮っていない印象を受けます。
では、首都圏に需要がないのかというとそうではなく、生花はつぼみの段階での出荷が可能なためだと考えられます。
収穫時期が食べ頃の野菜・果物と違って、つぼみの段階で出荷できる生花は見どころになるタイミングまでの時間が長い商品です。
気候的な問題もあるとは思いますが、その足の遅さがこれらのデータに映し出されていると思われます。
最後に
狸的駄文に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
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ブログ名:G5+3:古来の組織 群馬支部
http://kaseinososhiki.blog.jp/
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