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最近サッカーでよく聞く「認知」について考えてみた


最近育成現場のトレンドキーワードになりつつある
「認知ができる選手」

僕の時代には認知なんて言葉はなかった・・・(笑)
だけど、正直、感度は今の子よりは高い子供が多かったと思うから、感覚的に「認知」はできていたんじゃないかなと思う。

なんかボーっとしてボールが自分の目の前を見ているだけの子は少なかったと記憶がある。

最近は、「認知」で悩んでる人が多いんですかね?
先日、生徒のお母さんと会話していたら、
「うちの子は認知ができなくて・・・。」
と言っていたのを聞いて、度肝抜かれました・・・💦
俺よりサッカー詳しいんちゃう?!とか思っちゃいましたから。(苦笑)
 
 


 
試合の現場でも、
「おい、顔を上げろ!!」
「相手をしっかりと見ろ!!」
上記のコーチングが増えてきましたね。

イケイケ、やれやれ、蹴れ蹴れ!
のコーチングに比べたらはるかにマシですね。

それほどみんな相手や試合状況を認知してプレーできる選手
を育てたいってことなんでしょうかね。


そもそもなんですが、
認知ってなんですかね?

この言葉のせいで指導者やコーチが難しく考えてしまい、
子供達も「認知」を理解できてないんじゃないかって感じています。この定義がバラバラだと子供が迷ってしまいますよね・・・。 
 
[侍コーチの思う認知の定義]

相手・味方・スペースを観て、今どういう状態なのかを把握すること。

言葉にすると、小難しく聞こえますが、
瞬時に変化する状況を理解することが重要だと考えています。


認知ができない選手の3つの原因 

原因その1 

何を見たらいいかそもそも教えられていない


「まわりもっと見ろ!!」
「なんで顔を上げて相手を見ろ!」
ってコーチングを聞くのですが、

選手達の頭に「?」が出ちゃってるんですよね。

選手の心理としては、

「コーチ、何言ってるの?!」
「え?何を見たらいいの…?」

相手チームのミーティング内容をこっそり聞いたりすることがあるんですけど、具体的な説明がされてないことが多いんです。

ただ、言葉のままに「認知する!」とか「周りをみてプレーする!」
とか抽象的なんです。
 
指導者あるあるなんですが、
自分は伝えているつもりでも、子供達にはほとんど伝わっていない。

挙句の果てに、子供達の理解力のなさにする指導者が多いのですが、
指導している以上は、すべて自責にしないと、自分も選手もチームも成長しません。

伝えたいこと、伝える内容は、どのチームも大差ないと思います。
しかし、伝え方や選手達に伝わっているかを確認しているかなどについては、雲泥の差があります。

この伝え方や伝えるタイミング、言葉の選択=チーム力と言っても過言ではないと思います。強いチームは指導者の意図や狙いが選手達に伝わっています。そして、必ずコミュニケーションが上手な監督やコーチ、選手がいます。

子供に質問して、沈黙が流れたら、ほぼ伝わっていないと思って間違いありません。

「どうしよう、おれは言ってただけかも…」

と感じた方は、気づきレベルが高いので改善できますし、
指導者として成長し続けられると思います。

最近思うことは、指導者は、サッカーの専門的な知識よりも、
サッカーの本質をいかに選手達にわかりやすく伝えていくか。
突き詰めていくと、コミュニケーションを高めていくことだと思っています。


原因その2

見るべきもの、やるべきことははわかっているけど試合になったらできない

 これもあるあるの課題ですね!
特に運動能力が低い選手やサッカー初心者に多いです。

まともにボールを蹴ることもままならないし、
ドリブルもおぼつかない初心者
サッカー歴は長いけど、身体は小さいし運動が得意じゃなくて
身体のバランスが不安定な選手たちに多いですね。
 

大半のコーチは決して能力が高くない選手たちに優しくこう伝えるんです。

「試合中は相手を見てプレーしよう」
「相手の陣形を見てポジションを取ろう」
「どこにスペースがあるか確認してサッカーしようね」

指導者はとてもわかりやすく丁寧に伝えているんです。

しかし、選手からすると、
「言っていることはわかるけど、出来ない」
と思っているんです。

 
要するに、
「知っている」と「出来る」は全く違うのです
 
こう言った表現できない選手にはどうしてあげたら顔が上がるようになるのか?
 
それは、
「見るフリや首を振るフリの型やドリルを教えてあげる」
 ことです。

普通の子が簡単にできてしまうことが、未経験だったり運動が苦手な子に
とっては難しいことなんですね。
でもこれは、悪いことでもなんでもありません。

できないという客観的事実を受け入れて、
1つ1つのアクションを細分化して反復してあげればいいのです。
それの落とし込みがドリル形式の練習です。

成功しているプレーを細分化して、1つ1つの型をドリル形式で大量に反復して、脳と体にプレーの意図と動作をインプットしていくのです。
1つ目ができたら、2つ目、3つ目と項目を増やしていくだけです。

反復練習は単調なので、子供達は嫌がるかもしれませんが、1つ1つの動作がスムーズにできるようになって、さらに一連の流れでプレーができるようになってくると、サッカーらしい動きになっていきます。
 

原因その3

見るべきものの対象が不明確

指導者の方と認知やパスサッカーについて話すことがあるのですが、
 
皆さんが言っているのは、
「相手を見てサッカーをするのが大事ですよね」
「スペースをもっと見ながらサッカーをするべきですね」
「相手の配置を見ながらサッカーをやらせたいんです」

こんな感じの意見なんです

言いたいことはわかるのですが、抽象的だなと感じています。 

 
「相手のどこを見るの?」
「スペースって具体的にどのスペース?」
「相手の配置って?どうやって見ればわかるの?」

今思いつくだけでもこれだけの疑問点が出てきます。
中には聞いて答えてくれる指導者もいるんですけど、
教科書に書いてあるような一般論や抽象的な意見が多いなという印象です。コーチが理解できていないのであれば、選手はもっと分かっていないと思うんです
 
だからこそ、
「見るべきものを絞り込んだり、細分化してわかりやすく選手に伝える」
こと
これが認知できる選手を育てる上で大事な要素になるんです
 

侍コーチ流、認知ができる選手を育てる2つの方法

 

その1 毎試合  個人・チームのテーマを設定すること

「今日はドリブルで相手の逆をつくことを意識しよう」
「相手のプレスが早かったらボールを止めずに動かすように意識しよう」
「相手と相手の間にボールを運びながらパスがドリブルを選択してみよう」

こんな感じで、
試合のたびにテーマを決めて、試合前に選手に伝えること。
 
そうすることで、
テーマに対して選手達はフォーカスするので、必要な情報を脳が見つけるようになっていきます。
 
例えば、
「相手と相手の間にボールを運びながらパスがドリブルを選択しよう」

このようなテーマを設定すると、
「相手と相手の間はどこにあるんだろう?」
「あ、この間は狭いからあっちの間を通ろうかな」
「ディフェンスとディフェンスの間めっちゃ空いてるじゃん」

みたいな感じで、
間を突破するためのいろんな情報を観察したり、発見しようとするようになります。

これがテーマや目的の威力です
最初はなんでもいいので、
テーマを設定して選手に取り組ませてみてください
 

その2 

見るべきもの限定したり、やるべきことを明確にする

サッカー中・上級者であれば、抽象的な表現でも前提知識や経験があるので、伝わることが多いです。しかし、初心者に抽象的な表現は伝わらないと
思って間違いないでしょう。

 具体例
・「相手を見てサッカーをしよう」
→「相手がどっちの方向からプレスをかけてきているかだけ見て、その反対に常にドリブルすることを意識しよう」=やることを1つに限定

・「スペースを見てサッカーをしよう」
→相手のセンターバックとボランチの選手の間にスペースができるから、そこをよく見ておいて何回ボールを受けられるかチャレンジしてみよう
=目的の明確化

・「縦パスをもっと入れろ」
→FWとボランチの選手に合計で10本パスを通せたら目標達成

見るべきものをさらに限定したり、
やるべきプレーを制限して、徐々に増やしていくだけでまわりを見れる選手を育てることができます
 
「相手を見てサッカーをしよう」とか「スペースを見てプレーしよう」など、やることや見るべきものが広すぎると選手は迷っちゃうんですよね。

迷うならまだいい方なんですが、
選手は何を見ればいいかわからなくなる
そうすると、
顔をあげて情報を取ることもやめてしまう
こんな悪循環に陥るとサッカーが楽しくなくなってしまうんですよね。

指導者やコーチの方は指導のたびに上記のようなことを自問自答しながらやってみると認知ができる選手が育ちます。やることはシンプルです。
・目的の細分化と限定→「もっと伝えることを絞り込めないかなぁ」
・目的の明確化→「この選手は1つのプレーに集中させよう」
 
ここまでが僕が実際に行っている「認知ができる選手を育てる」アプローチになります。難しく考えないでくださいね。
顔が上がらない原因を理解して、それに対する解決方法を何度も繰り返して積み重ねていけば、自然と顔が上がる選手は育ちます。
 

【まとめ】
認知ができない選手の3つの原因
①何を見たらいいかそもそも教えられていない
②見るべきもの、やるべきことははわかっているけど試合になったらできない
③見るべきものの対象が不明確

認知ができる選手を育てる方法
①毎試合 個人・チームのテーマを設定すること
②見るべきものややるべきことを絞り込んで、情報を取りやすいようにしてあげる

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