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無心になれる場所をめざして、とにもかくにもオープンしてみた(さむ活3/26開催レポ)

こんにちは!さむ活プロデューサーの山田です。

福井県あわら市のお寺、天王山安楽寺のオリジナル企画「さむ活」。2022年4月よりイベントスタイルでスタートし、たくさんのお客様に「さむ」を始めとした非日常体験を楽しんでいただきました。
▶さむ活って何?という方はこちら

たくさんのお客様にご参加いただき、いろんなご感想をいただきました。イベントとしてやっていくことはできそうな感触があったものの、「これってお寺の日常と両立できるのか?」という課題も見つかりました。
さむ活の魅力を生かしながら、もっとブラッシュアップできるのでは…と思い立ち、2023年は新スタイルの「さむ活」を模索していくことに。

このnoteでは毎月の「さむ活」を開催していく中で起こったことや、それを受けて考えたこと、改善したことなどをレポートしていきます。チャレンジや失敗もあるかもしれませんが、試行錯誤のプロセスとして「どうなっていくんだ?」とお楽しみいただけたら嬉しいです。
▶さむ活が目指すのは・・・こんな場所。

初日はしっとりとオープン

3月26日(日)13時、さむ活プレオープン。今まではご予約のお客様がお揃いになってから「では始めます!」とスタートしていましたが、これからは開催時間中いつでもお越しいただけるフリースタイル
ということでしっとりとオープンを迎えました。

こちらは安楽寺の住職せいはんさんと坊守あきさん。「さむ活だしね」とお寺のお仕事をスタートしました。最近生まれた安楽寺オリジナルブレンドコーヒーのパッケージ。一つ一つ丁寧につくっています。

「なんか、お客さんが来るかもと思うとちょっと緊張するね」
「でもそれはいつも同じよね。拝観のお客さんはいつ来るか分からないから」

と、お二人。なるほど~。この日は「今日はさむ活です」「何時までやってます」と銘打ってオープンしていますが、さむ活の日じゃないとしても拝観のお客様は来られる・・・

もしかしたら今日だって、さむ活のためではなく拝観に来られるお客さまもいらっしゃるかも。目的が違うお客様が共存しても、お互いをほどよく意識しながら、ほどよく気にせず、それぞれの目的を果たせるような空間にしたいなあ。

そんなことを考えながら、さむ活公式インスタにお二人のさむ風景をアップする山田。▶こんな感じ
「今日のさむ活が始まりました」「お越しをお待ちしています」という気持ちを込めながらも、安楽寺のお二人の日常の1シーンをお届けしている気分です。お客様には来てほしいのだけれど、だれでもいいから、なんでもいいから来てよ!という風にはしたくない。

安楽寺の今はこんな感じです。もしよかったら一緒に過ごしてみませんか?
そんなふわっとしたトーンでやっていけたらいいなあ。(それじゃ、企画としては弱いのかしら?という葛藤も抱えつつ)

さて…静かだな。

コーヒーのパッケージも終わりが見え(といってもさむ時間20分ほど)、ふと本堂を見渡してみる。うん、静かだな・・・

オープン早々お客様が殺到!という想像はしていなかった私たち。むしろ「誰もこなかったらどうする?」という話さえしていたのですが、どうやらそうなりそうな感じ。

この日の天気は雨。昨日まで晴れていたのに、明日からまた晴れるのに、この日だけ雨。しかもけっこうな雨量。お出かけするにはちょっと億劫なお天気です。
そして3月26日という、年度末の日曜日。どこぞのこども園さんは卒園式があったりもして、みなさんいろんな行事や予定が重なりやすい日でもあります。イベントをやるにはちょっと厳しいコンディションかも。「やっぱりみんな忙しいよね~」と坊守あきさんがつぶやきます。

そわそわと何かできることを探してみる山田。まずは今後の広報に使える写真素材を増やすべくカメラを手に取りました。

さむ活の受付には、▲こんな感じのセットを。カードには毎回体験いただける定番さむ。体験中の人がいたら裏返して、あと何人体験できるか一目で分かるようにしてみました。もしかしたらここまでしなくてもいいかも?と思いつつ、ひとまずチャレンジ。

黒板にはこの日ならではのちょっと特別なさむ。今日は雨なので、室内で楽しめるさむを安楽寺さんにご用意いただき書いてみました。

▲こちらは本日のスケジュール。全員で一斉に動くものではなく、興味があったらご参加いただけますよ~というスタンスです。出張販売というのはatoji彩培園さん。お花を売りに来てくださる予定なのです。

▲こちらは坊守あきさんが用意してくれたメニューボード。これからのさむ活では2つのプランを選ぶことができて、とにかくさむを楽しむんだ!という方向けの基本プラン(1,800円)と、瞑想体験や精進スイーツの試食がセットになったよくばりプラン(3,600円)の2つあるんです。

よくばりプランで試食いただける精進スイーツは毎回変わるので、こんな感じでボードに書いてみることに。この日は「この中からお選びください」スタイルでした。(毎回こんなにたくさんあるか分からないけどね(笑)とあきさん)

▲こちらはフリードリンクコーナー。基本プランをお選びいただいた方に自由に飲んでいただけるセルフサービスのブースです。お湯で簡単につくれるホットドリンクや、常温のお茶(寒い日だったから、冷たい飲み物よりからだに優しくて個人的にはうれしい)をあきさんが用意してくれました。

実は私、こういうコーナーにわくわくするタイプです。ちょっとした研修会などで「ご自由にどうぞ」コーナーがあるとうれしくて覗きにいきます。飲み物やお菓子が楽しめるのがうれしい、というはもちろんなんですが、他の参加者さんとちょこっと交わす会話が楽しかったり、主催者さんのおもてなしの心が垣間見える置き方やPOPにグッと来たり。いろんなことが起こるんです。

山田の頭の中ではこんな思考が。ひとりでわくわくしていたのでした。

さむ活のドリンクコーナーもこれからどんどん安楽寺色に染めていきたいなあ・・・たとえば夏には坊守あきさんお手製の酵素ドリンクになったり、去年のさむ活でもお世話になった薬膳茶279さんの薬膳茶を試飲できたりしたら最高なのでは。活動のたびに設置するのが大変だったら、廊下に常設コーナーをつくっちゃうとか?いや、それはそれでお寺の日常には邪魔になるか?日頃の掃除や整頓が必要になると面倒かもなあ。うーん。ひとまず安楽寺のお二人に相談してみよう。

お客さんの有無を「損」の基準にしない

と、いろんな妄想を繰り広げるも、相変わらず静かな安楽寺。しとしとと響く雨音。ちょっと切ないけれど、なんだか心が落ち着く音でもある。

お客様が来てくれたらもちろんうれしいけれど、もし来られないとしても、その時間を「損」にはしないこと。これがさむ活という企画の結構大事なところだと思っています。ここで言う”損にしない”は、「失敗から学ぶのだ」という、損を無駄にしないようにしましょうという意味ではなくて、そもそも「損」がない状態をつくること。

お客さんが来ない=損になってしまうと、お客さんに来てもらうこと自体が目的になりがち。運営側に余裕があるうちは良いけれど、負担が増えてくるととにかく損をしないように人集めに躍起になってしまって、本当に見たかった風景からどんどん遠ざかってしまうような気がします。

目の前のお客さんが心地よく過ごしてくれることを心から願って、気持ちよく行動できる形をつくっていきたいのです。目指すところなので、まだまだこれからです。

ということで、住職せいはんさんに「さむ活があろうがなかろうが、どっちみちやらなきゃいけないことってありますか?」と聞いてみました。ここはさむの強いところ。さむ=作務って、言い換えればお寺の環境整備・維持活動のこと。やればやるほどお寺は快適になるし、行事の準備にもなる。お客さんが来られない時間も充分有意義な時間にすることができるのです。

「28日に月例護摩祈祷があるので、その仏器みがきですかね~」とせいはんさん。待ってました!何を隠そうこの山田。

仏器みがき大好き!

なのです。お仕事という気持ちは一切ありません。うきうきしながら護摩堂へ仏器を取りに行きました。

がしかし、ちょっと迷う。「護摩堂の仏器っていろいろあるけど、毎回全部みがいてるんだっけ?」手のひらサイズの磨きやすそうなものはいいとして、両手でやっと持てるくらい大きなやつは、毎月磨いてたら相当大変なのでは?たしか全部磨く必要はなかった気がする。じゃあよく使うものだけにする?でもどれが「よく使うもの」なのか素人目には分からない・・・

ということで、とりあえず袋に入るだけ入れて本堂に戻ってきました。あとでせいはんさんに聞いてみよう。

最初はひとりで黙々と。近くに置いてもらったストーブがあったかくて、外から聞こえる雨音も気持ちよい。
あっちの方でせいはんさんがお花を活けていて、時々なにかつぶやいているけれど、なんて言ってるか分からない。その感じもなんだか心地よい。

うーん。やっぱりさむ活ってめちゃくちゃ気持ち良い時間だよなあ。この魅力をどうしたら伝えられるのかな。もしかして私がマニアックなだけで、一般的には魅力がなかったりするんだろうか?いやそんなはずは・・・

といろいろ考えていると(無心になってないですね笑)あきさんが合流してくれました。「すごい楽しいです」と伝えると「そう?私も最初は楽しくてハマったけど、最近やってなかったな~。○年ぶりかも」とあきさん。
お家にお仏壇がある人やお寺で働く人にとって、仏器みがきはなんてことない日常のお掃除なんですよね。

そしてなんでもない世間話から「ちょっと聞いてくださいよ」的な鬱憤話(主に山田の)までトークが盛り上がる二人。それぞれ仏器を磨きながらのおしゃべりなので時々目があったり、仏器を見たり。「さあしゃべりましょ!」と向き合うよりも、手を動かしているほうが会話が進む気がします。

途中でせいはんさんがやってきて、仏器を追加してくれました。なるほどあれも磨けばいいのか・・・とこっそり学習した山田。

みがき剤ピカールとゴム手袋、ぞうきんを使って
ぴっかぴかに!
細工の細かいところにススがたまる。ほじほじするのも楽しい

そしていつのまにか護摩堂に移動していたせいはんさん。護摩壇を掃除していたそうです。ピカピカになった護摩壇に、ピカピカになった仏器たち。ひとまずミッションクリアです。

と、そこにお客様が!と思ったら、お花を売りに来てくださったatoji彩培園さんでした。時計を見るともう16時。あっというまに3時間経っていました。

せっかくなのでご一緒に・・・

今回atoji彩培園さんにはさむ活の1つの企画としてお花を売りに来ていただいたのですが、安楽寺さんもお花を購入する予定があり、その機会を重ねた形でした。いつかさむ活がにぎわっている時に、また来てもらうことができたらいいなあ~。

仏器みがきもひと段落したところだったので、ご一緒にいかがですか?とお誘いして精進スイーツの試食会がスタート。

米粉りんごマフィン~コンフィチュール添え~とヘーゼルナッツとカカオニブの米粉クッキー。香りの良い紅茶もセットで。は~最高!
さむ活については過ごしたい方に過ごしたいように、好きな時にどうぞ~というゆるいPRなのですが、精進スイーツに関してはついつい強く推しちゃう。すごく美味しいのでぜひ、体験してほしい・・・

atoji彩培園の阿閉さんご夫妻と談笑しながらのスイーツ試食会。この風景、私がよく見かける安楽寺の1シーンです。いろんなお客様が来られて、安楽寺のおふたりがお迎えして、一緒にお話しをしたり、ときどきお茶やお菓子を楽しんだり・・・たまに私もご一緒させていただきますが、初めてお会いした方でも安楽寺さんがほどよくつないでくれて、なんともちょうど良い距離感に。大好きな時間のひとつです。

このやわらかさやゆるさ、ほどよい距離感が、さむ活の中にもふわっと広がるといいなあと漠然と思っています。

お腹も心も温まったところで、atoji彩培園さんに持って来ていただいたお花をずらっと並べていただきました。お花の香りがふわっと広がってテンションがあがりました。

さむ活のお客様がここにいたとしたら、さむの手を止めてお花を見に来るかたもいれば、そのままさむに没頭される方もいれば、きっといろいろで。どちらも素敵な過ごし方だと思うんです。
お花を見て「きれいね~」と知らない方同士の会話が始まるのもいいし、そのにぎやかさを背中に感じながら、一人の時間を引き続き満喫するのもいいし・・・でもちょっと気になってきて、人気がなくなったころにふらっとお花を見に行ったりして。そんな景色を見られたらいいなあ。

どれにしようかな~とせいはんさん
お家用に買ってみた山田。パッケージがかわいい!
と、そこへご近所のSさんご一家が!わっとにぎやかになりうれしい

Sさんご一家にもatoji彩培園さんのお花を楽しんでいただけて、うれしくもちょっとほっとするさむ活メンバー。やっぱりゲストさんをお招きするからには、少しでもたくさんのお客様と接していただけるようにしたい、という思いが湧いてきます。

かといって「とにかくお客様をふやすぞ~」と急ぐことはせず、少しずつ「さむ活」や「安楽寺」という場所を浸透させていけたらと思います。とはいえ、今回「お客さんが来ないかもしれない」ということを分かったうえでお越しくださったatoji彩培園さんの温かさには、感謝の気持ちでいっぱいです。atoji彩培園さん、Sさん、ありがとうございました。

まとめ

雨の中のプレオープン。前半は静かながらも楽しく、スタッフとして学びの多い時間に。後半はいろんな方がお越しくださりわいわいと温かい時間が流れました。どちらも「これぞ安楽寺」という豊かな時間。

次回のさむ活は4月23日(日)9時~17時にオープンします。普段と違う過ごし方をしてみたいな~という方、無心になって何かに集中してみたい!という方、一度安楽寺に行ってみたかったんだよね、という方も。お好きな時間に気軽にお越しくださいね。心よりお待ちしております!

とある別企画のために撮影した写真。手は手話(指文字)で「シ」を表しています。
こちらも全貌は近日公開予定。どうぞお楽しみに・・・

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