Aalto Summer School 2024 - 前半
今年の夏休暇を利用して、フィンランドに滞在し、Aalto大学のサマースクールに参加した。前半と後半に分けて、その内容や感じたことをレポートしたいと思う。
ことの発端は一昨年の冬、私はデンマークワーホリに行くのを決めたと同時に、Aaltoのサマーコースに行きたいと思っていた。理由は、
・Aaltoの建築、プロダクトのファンだった(キャンパスはAalto設計)
・北欧デザインの文脈での考え方、表現技法が知りたかった
・デザインとビジネスの両軸からアプローチする教育に強いと感じ、今後のキャリア形成に役立つと思った
そこでAalto大学のSNSをフォローしていたら、例年通り今年もサマースクールが開講されるときき、すぐさま申請したのだ。
前置きはさておき、私が今回受講したのはNordic Product Designだ。
結論から言うと、社会人の私でも新しい発見と学びが多く受けてよかったコースだった。特にhands-onのプロジェクト(実践的に手を動かして何かを作る)や屋外学習、最前線のビジネスパーソンを招いたプレゼン、そして何より新しい出会いに恵まれたことが一番の経験と価値だった。
来年以降も同じコースが開講されるかは分からないが、もし同校のサマーコースに興味がある方がいれば、何かの参考になれば嬉しい。
Day1:Kick off and introductions
コースは総勢30名程度で構成されており、世界各国から受講生がやってきていた。うち1/6は日本人で、日本のフィンランド人気を肌で感じた。他の受講生はアジアやヨーロッパ各地の学生が多かった印象。彼らは日本でいうところの夏のオープンキャンパスのような感覚かも?
What is design? 答えのない永遠の投げかけだが、今回はproduct designにフォーカスした内容だったので、ものづくりにおいてベースとなるInteractive design process:Design(デザインする)→Prototype(試作する)→Evaluate(評価する)を実際のプロダクトをケーススタディに考える授業は興味深かった。デザインはいつも、その先のユーザーのことを考えるので、いかに”ふつうの目”を持つことが大事であるか分かった授業だった。
授業では日本のデザイナーもたくさん登場し、世界での影響力を目の当たりにした日だった!
Day2:Nordic design
名の通り、Nordic諸国のデザインの特徴や代表的なデザイナー・デザインについて学ぶ授業。私が今住んでいるデンマークのデザインは、洗練さ・エレガンス・高級さ・家具建築デザインなどがキーワードとして挙げられていて、確かに他諸国と比べると街並みや目にするモノからそのエッセンスは感じられて納得した。「北欧デザイン」「スカンジナビアデザイン」と一括りにされるそれぞれの国のデザインの特徴が私の頭の中で雲隠れしていたが、具体的に具現化されていて、とてもスッキリ腑に落ちた授業だった。
授業の締めとして、既存の有名なデザインプロダクトを自分たちのアイデンティやルーツに絡めて作り直す時間があった。(実際のモノも目の前にあり、教室にはうん万円の椅子やランプが沢山置いてあった)国籍もバラバラのチームだったが、最後には皆の思いが反映された架空のプロダクトが完成し、コンセプトを意味を持って繋げることを学んだ。
もう一つ面白かった自分自身についての気づきがある。他のメンバーが、作り直すプロダクトの「どうカタチにしようか」について討論している中、私はずっと「どう世に広めようか」を考えていた。いつの間にか私はブランディングやマーケティングのマインドを持つ人間になったらしい。
Day3:Critical , Speculative and Discursive Design
直訳すると、「批判的、思索的、そして談話的なデザイン」。個人的に一番興味深かった回だ。実用性よりも、考え、話し合い、行動するきっかけを与えるようなデザインで、アート要素も強く社会問題とも結びつきやすい。現状の当たり前に疑問を投げかけ、未来を考える方向軸を持っている。
ここでも面白かったことがある。授業の中で現代のメガトレンド(世界中で起こっている現象)を設定された選択肢から選ぶ場面があった。私のチームは4人がヨーロッパ圏出身、2人がアジア圏出身だった。前者は主に「環境問題、サステナビリティ」、私を含む後者は「グローバリゼーション」を挙げていた。これは私の予想だが、やはりヨーロッパはそれぞれの国が近いので、テクノロジーの力があるにせよ、「世界が近くなった」という感覚がそれほど強くないのかも、と感じた。ヨーロッパが環境先進国だと言われていることも、結果からクリアに見えた気がする。ちなみに、世界的にうつ病患者も増えているようで、詳細は不明だが、人々を豊かにするはずのテクノロジーがそれに起因しているのかなぁと考えを巡らせていた。
Day4:Visit Helsinki Design Museum
ヘルシンキのデザインミュージアムと、隣接する建築美術館を訪れた。たまたまやっていたのが「FIX: Care and Repair」という手入れと修理修繕をテーマにした展示だ。
セカンドハンドの文化も強いフィンランドやNordic諸国。Aalto建築の中でも、本当はブロンドだった建物の屋根も経年劣化で青緑色になり、それが逆にヘルシンキの街並みを彩っているという話は興味深かった。
館内の写真をいくつか撮ったので、ぜひ。
まとめ
最初の4日間の気づきを簡単にまとめてみる。ちなみに授業は基本的に13~16時に行われていたので、午前中はリモートで自分の仕事をしたり、課題のリサーチ時間に当てられたので、比較的余裕を持って過ごすことができた!
Day1::デザインとは、ユーザーに届けるもの。ユーザー目線であれ!
Day2:北欧デザインに共通するのは、自然への敬意と機能性。そこに各国のスパイスを投入!
Day3:今を考えることは未来を考えること。当たり前を疑問に、疑問を新しいアイデアに。
Day4:なおす文化が根強い北欧。日本はどうだろう?
後半へ続く
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