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ロシア連邦における21の共和国~第4回

12、タタールスタン共和国(Республика Татарстан)→地図#16

先住民族:ヴォルガ・タタール人(ヴォルガ川中流域に居住するテュルク系の民族)
★国内ではロシア人に次いで2番目に大きな民族グループ。同じくテュルク系の民族であるクリミア・タタール人はクリミア半島に起源を有しており、ヴォルガ・タタール人とは異なる民族集団である。
★この共和国の経済は非常に良好で、ロシア連邦の中でも常に上位。東ヨーロッパ最大のパイプライン輸送の中心地である。東西の文化が融合する多様性を持ち合わせ、3つのユネスコ世界遺産がある。歴史的建造物や文化的名所に加え、療養所やリゾート地の開発も行われ、観光事業も年々成長中。教育レベルも高いことで知られ、共和国の強い経済を下支えする。
★首都カザン近郊のイノポリスは、2015年にオープンした国内屈指のIT都市(ロシアのシリコンバレー)。IT系の大学や学校を中心に近未来的な街が形成され、市内には自動運転の無人タクシーが走る。
首都:カザン(Казань)
面積:6万8千㎢(東北6県(青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島)約6万7千㎢ほど)
人口:400万人(東北6県は840万人)
人口密度:59人/㎢(東北6県は125人/㎢)
地理と自然:ロシアのヨーロッパ地域中央、かつヴォルガ川とカマ川の合流地点に位置している。森林や草原に覆われた平野が広がり(領土の約18%が森林)、自然豊かな土地である。大量の石油埋蔵量、豊富な石炭、また産業用の多種多様な天然資源も多く将来的に有望視されている。2つの大きな川(ヴォルガ川とカマ川)に加え、長さ10㎞の川は500程、また大小含め8,000以上の湖や池もあり、水資源は非常に豊か。大規模な貯水池も4つあり。自然保護区は150以上。大きな河川が障害となり陸上輸送網は未発達、主に水上輸送と航空輸送を活用。
気候:適度に湿度が高く、夏は20℃前後と涼しいが、冬は-14℃程と適度に寒い。通常、11月半ばには積雪が見られる。
公用語:ロシア語、タタール語
住民構成:タタール人54%、ロシア人40%、チュヴァシ人2%など
宗教:イスラム教が多勢、他にロシア正教、キリスト教各派。一方で、仏教やユダヤ教はあまり普及していない。
主な産業:工業(石油生産、化学/石油化学、機械工学、金属加工、建設業など)、自動車産業はロシア最大、農業(穀物、ビーツやジャガイモなどの野菜、畜産)
★工業と農業の経済シェアは半々で、どちらも収益性が高い。

13、ウドムルト共和国(Удмуртская Республика)→地図#18

先住民族:ウドムルト人(フィン・ウゴル系の民族)
★特に産業が発達し、輸送用の交通網(高速道路や鉄道、航空輸送拠点)も整備されている。サッカーやハンドボール、ホッケーなどスポーツが盛んで、療養所や健康複合施設も多数あり。
首都:イジェフスク(Ижевск)
面積:4万2千㎢(中国5県(鳥取、島根、岡山、広島、山口)・四国を合わせた約5万㎢より少し小さい)
人口:143万人(中国5県・四国は約1千万人)
人口密度:34人/㎢(中国5県・四国は200人/㎢)
地理と自然:ロシアのヨーロッパ地域に位置。平野部から徐々にウラル山脈に変わる。この共和国の最大の川はカマ川とヴャトカ川で、北部に源流あり。長さが最大10㎞の川は7000を超え、大中小の河川(10~100㎞、10~500㎞、500㎞以上)は17本。池は600以上。豊富な地下水源。石油・泥炭・石炭を大量に産出。
気候:内陸性気候で、夏は暑く冬は寒い。10月下旬には氷点下となり、4月上旬まで続く。11月上旬には積雪が見られ、ピークは3月中旬頃(50~60㎝)。
公用語:ロシア語、ウドムルト語
住民構成:ロシア人58%、ウドムルト人21%、タタール人5%、マリ人0.4%、ウクライナ人0.3%、アゼルバイジャン人0.2%、アルメニア人0.2%、バシキール人0.1%など
宗教:ロシア正教、シャーマニズム
主な産業:工業(機械工学、金属加工、木工産業、火力発電所などエネルギー産業、自動車や機械、化学機器などの製造、冶金産業など多岐にわたる)、農業(畜産が優勢、他に穀物や野菜、飼料用作物の栽培など)

14、バシコルトスタン共和国(Республика Башкортостан)→地図#3

先住民族:バシキール人(テュルク系の民族)
★この共和国は特に石油・ガソリン・ディーゼル燃料・畜産・養蜂などの分野で収益性が高く経済がかなり安定しており、経済的リスクが最小の地域と認定されている(国際評価でも見通しは安定的)。フォーブスの評価でも、首都ウファはロシアでビジネスを行うのに最適な都市の1つとされている。住宅など建設業界の成長も著しい。
★バシキールの黒土は世界で最も肥沃な土壌の一つで、作物が効率的に収穫できる。国際貿易も盛ん。一方で観光業は未発達(川下りなど広大な自然を利用したレクリエーション、療養所での治療、スキー観光など観光資源はあるものの(その壮大な自然景観から第二のスイスと呼ばれることもある)、観光客向けの交通インフラやサービスが不十分)。
首都:ウファ(Уфа)
面積:14万3千㎢(北海道約8万3千㎢と東北6県(青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島)約6万7千㎢を合わせた約15万㎢より少し小さい)
人口:406万人(北海道(520万人)+東北6県(840万人)は1360万人)
人口密度:28人/㎢(北海道+東北6県は90人/㎢)
地理と自然:主にウラル山脈の斜面に位置する。石油・天然ガス・石炭・鉄鉱石・金などの埋蔵量が多く、1万2千以上の川、約2,700の湖・池・貯水池があり、地下水源も豊富。領土の40%以上を森林が占め、多種多様な動植物が生息する豊かな自然が広がる。多数の自然保護区があり、研究所を設けるなど保護活動にも力を入れている。
気候:気温は年間を通して低い(1月の平均は-18℃、7月の平均は18℃)、積雪は早ければ9月中旬には見られる(36~126㎝に達する)。
公用語:ロシア語、バシキール語
住民構成:ロシア人37%、バシキール人31%、ヴォルガ・タタール人24%、マリ人2%、チュヴァシ人2%、ウドムルト人0.4%、ウクライナ人0.4%、モルドヴィン人0.3%、ウズベク人0.2%、アルメニア人0.2%、タジク人0.2%、アゼルバイジャン人0.1%など
宗教:大半がイスラム教(約67%)、ロシア正教(約22%)など
主な産業:工業(石油精製、化学/石油化学、機械工学、金属加工、木工産業、建材生産など)、農業(穀物、家畜、養蜂(バシキール産の蜂蜜は高品質で有名)、ヒマワリなどの栽培)

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