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#スピンオフ
【かなえの過去】輝ける方法 スピンオフ かなえ編
ぞうさんのすべり台がある公園。
その公園は、かなえにとって自分を表現することができる場所。いつもここに来ては歌っている。
お客さんは、小さな子を連れたお母さんや犬を散歩しているおじいさんが立ち止まって聴いてくれる。たまには、鳥を相手に歌ったりもする。
歌を歌っていれば、悲しいことはたいがい吹っ飛んだ。
かなえには二つ年下の妹がいた。
いつも二人は仲良しで歌を歌いながら遊んでいた。
「お姉ちゃん、
【孝寿とかなえの出会い】輝ける方法 スピンオフ 西園寺孝寿編 2
「クソッ!!」
孝寿は今まで自分のしてきた事は何だったのか、操り人形だったのか…ショックを隠し切れないでいた。
頭に血が上ってとりあえず荷物をバックに詰めた。とっさに家を出ると言ってみたものの行くあてもなかった。
どこに行きたいというのもなく、自分には何もできないという不安が孝寿を襲っていた。ただ悔しいと心の中で叫んでいるだけだった。
通りですれ違う誰もかれもが自分をあざ笑っているように
【西園寺家】輝ける方法 スピンオフ 西園寺孝寿編
大きな門構えのお屋敷で暮らす、西園寺孝寿。西園寺家の跡取り息子。幼少の頃から英才教育を受けて育ってきた。
母親のお腹の中にいた時から胎教に良いとクラシックを聴かせたり、産まれてもなお良い音楽、絵画、食事、自然とふれあう機会をたくさん与えられていた。
毎年一回は世界の音楽と絵画を堪能しに海外へ出かける。ニューヨークのメトロポリタン美術館、ブロードウェイ。フランスのルーブル美術館、ベルサイユ宮
【喪失】輝ける方法 スピンオフ 池中良太編
プロバンス風の白壁に赤煉瓦の屋根が、周りの家よりもいっそう際立って見える。玄関先にはペチュニアやマリーゴールドの花が植えられている。おとぎの国に出てきそうなそんな佇まい。
五年前に家を買い、親子三人で住みはじめた。
池中良太はその当時五歳。母に甘えて抱っこしてもらったり、時々イタズラをしては母の興味を引くのが好きな男の子だった。
夕飯時には、美味しそうなカレーの匂いが立ち込める。そこには、