【かなえの過去】輝ける方法 スピンオフ かなえ編
ぞうさんのすべり台がある公園。
その公園は、かなえにとって自分を表現することができる場所。いつもここに来ては歌っている。
お客さんは、小さな子を連れたお母さんや犬を散歩しているおじいさんが立ち止まって聴いてくれる。たまには、鳥を相手に歌ったりもする。
歌を歌っていれば、悲しいことはたいがい吹っ飛んだ。
かなえには二つ年下の妹がいた。
いつも二人は仲良しで歌を歌いながら遊んでいた。
「お姉ちゃん、〇〇の歌を歌って!」
かなえが聴いた歌は決して忘れない。完全なる耳コピで歌う絶対音感のある子だった。
その才能を埋もれさせるかのように、かなえの両親はかなえの歌声には興味がなかった。
「お姉ちゃんなんだからちゃんとしなさい!」
いつも“お姉ちゃん”という言葉で縛り付けられて、親の言う通りに動いていた。
妹のことは大好きだった。この子には何でもしてあげたい気持ちでいっぱいだった。
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