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ーまさか、地球は手動で回っている!?ー映画『シスターズ・オブ・ザ・ローテーション』

「地球は自然の原理で回転しているものだ」

世界中の人間がそう思い込んでいるのではないでしょうか。
しかし、そんな自然原理を大きく覆した世界があったら・・・?

映画『sisters of the rotation(シスターズ・オブ・ザ・ローテーション)』は「地球が手動で回っていたら?」という驚愕の世界観を作品にしています。

「そんなことありえない!」とも思ってしまうほど大規模なテーマ。
しかし、そんな思いもよらない世界を描くことができることも、映画の醍醐味ですよね。

雪国で暮らす修道院を舞台にしたダークコメディ。中東からやってきた異世界ショート映画を、映画解説と共に楽しんでみてください。

<作品名> sisters of the rotation
<作品時間> 14分58秒
<監督> Michel Zarazir, Gaby Zarazir
<あらすじ>
雪山にたたずむカトリック修道院。そこでは不思議なことが信じられていた。それは「地球は手動で回さないと回らない」ということ。修道女たちは宗教の教えに従い、レバーを押すことでひたすら地球を回していた。

そんな中、修道女の一人であるシスター・ゼイナは、修道院の院長からレバーを回すことを許されていなかった。ある日、院長から修道院の敷地を越えてきた男を捕まえるように命令を受けたゼイナ。

しかしゼイナが男を追いかけた先、迷い込んだ山奥で衝撃の光景を目撃!
果たして彼女が見てしまったものとは...。

◎レバノンが舞台のダークコメディ!

『sisters of the rotation』は、中東にある国レバノンを舞台にしたダークコメディです。今回、ありがたいことにSAMANSAで配信されることになりましたが、これまでも数々の映画祭で賞を受賞されてきたようですね。

2022年からフランス、アメリカ、ケニヤ、デンマークやメキシコなど2年をかけて、数十個にも渡るショートフィルム映画祭で評価を受けてきました。そんな世界を駆け巡ってきた作品が日本でも配信決定。

邦画、ハリウッド映画、韓国映画やインド映画など、日本でも見かける映画はどうしても偏ってしまいますよね。

でも、映画は世界中で作られています。『レバノンで製作された映画』という部分だけでも、きっと新鮮さを感じる人も多いはず。世界各国の作品を見られるのもSAMANSAの魅力です。

物語の壮大さは、世界規模を越えたまさに『地球規模』。こんな発想をできるのも、その国の魅力だったり・・・!

きっとレバノンの世界観に新鮮さを感じながら、楽しめる映画ではないでしょうか。

◎レバノンの宗教から広がる世界観

今回、世界観の中心になっているのが『宗教』ですよね。実際に、作中では2つの宗教的存在が登場しています。

もしかしたら日本では宗教の習わしについて、あまり馴染みがない人が多いかもしれせん。「お肉を食べない」や「お祈りをする」などはっきりした習慣が多くないからです。

しかしレバノンは、日本と大きく違い数々の宗教が混在しているようです。その数は公認宗教だけでも18ほど。そのほとんどをイスラム教徒とカトリック教徒が占めています。

さらにレバノンは別名『モザイク国家』とも言われているようです。

その大きな理由は、宗教とその宗派によって生活するエリアが異なることや、その数が国も政治にも大きく影響していること。

今回のように、修道院を舞台にして『奇妙な世界観』を描けるのも少し納得していただけるのではないでしょうか。

設定だけを聞けば「ありえない!」となりますが、鑑賞する中で少しずつ「本当にあるかも・・・?」と気持ちが揺らぐこともあるのもこの映画の見どころの一つ。

宗教を舞台にした代表的な作品に『ミッドサマー』という映画がありますが、そんな雰囲気を彷彿させてくれます。

◎さぁ、地球は手動で回っているのは嘘か?本当か?

物語では2つの修道院が男女によって分けられていますが、この状況は『宗教的習わし』と判断して良いと思います。修道女の発言からも、彼女たちは男の人に会ったことないのがわかります。

最終的には、主人公・ゼイナが別の修道院にいる男を追いかけることで、『修道女がレバーを回し続けることは意味がない』と判断をしていますね。

そして今回、注目したいのは追いかけられていた『男』。

最後に男は、他の修道院によって地獄に落とされてしまうわけですが、連れ去られる直前にゼイナをわざわざ呼び止めていました。

おそらく男は、ゼイナに『お互いやっていることは全く意味がないこと』だと伝えたかった可能性があります。

実際、最後に発した男の呼びかけがあったからこそ、ゼイナは『衝撃の光景』を目にすることが出来ていますよね。

ちなみに物語の中盤で、男たちが修道女のテリトリーにやってきていたのも、2つの修道院が全く同じことをしているのに疑いを持っていたから。
偵察のようなものだと考えられます。

しかし、最後に待っていた期待をひっくり返すような結末。
『地球を手動で回しているのは本当だった』という、誰もが裏切られる衝撃的展開でした。


いかがでしたか?
映画『sisters of the rotation』はSAMANSAで絶賛配信中です!
世界各国の作品をぜひ、お楽しみください。

<映画ライター/ shuya>

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