ーまさか、地球は手動で回っている!?ー映画『シスターズ・オブ・ザ・ローテーション』
「地球は自然の原理で回転しているものだ」
世界中の人間がそう思い込んでいるのではないでしょうか。
しかし、そんな自然原理を大きく覆した世界があったら・・・?
映画『sisters of the rotation(シスターズ・オブ・ザ・ローテーション)』は「地球が手動で回っていたら?」という驚愕の世界観を作品にしています。
「そんなことありえない!」とも思ってしまうほど大規模なテーマ。
しかし、そんな思いもよらない世界を描くことができることも、映画の醍醐味ですよね。
雪国で暮らす修道院を舞台にしたダークコメディ。中東からやってきた異世界ショート映画を、映画解説と共に楽しんでみてください。
◎レバノンが舞台のダークコメディ!
『sisters of the rotation』は、中東にある国レバノンを舞台にしたダークコメディです。今回、ありがたいことにSAMANSAで配信されることになりましたが、これまでも数々の映画祭で賞を受賞されてきたようですね。
2022年からフランス、アメリカ、ケニヤ、デンマークやメキシコなど2年をかけて、数十個にも渡るショートフィルム映画祭で評価を受けてきました。そんな世界を駆け巡ってきた作品が日本でも配信決定。
邦画、ハリウッド映画、韓国映画やインド映画など、日本でも見かける映画はどうしても偏ってしまいますよね。
でも、映画は世界中で作られています。『レバノンで製作された映画』という部分だけでも、きっと新鮮さを感じる人も多いはず。世界各国の作品を見られるのもSAMANSAの魅力です。
物語の壮大さは、世界規模を越えたまさに『地球規模』。こんな発想をできるのも、その国の魅力だったり・・・!
きっとレバノンの世界観に新鮮さを感じながら、楽しめる映画ではないでしょうか。
◎レバノンの宗教から広がる世界観
今回、世界観の中心になっているのが『宗教』ですよね。実際に、作中では2つの宗教的存在が登場しています。
もしかしたら日本では宗教の習わしについて、あまり馴染みがない人が多いかもしれせん。「お肉を食べない」や「お祈りをする」などはっきりした習慣が多くないからです。
しかしレバノンは、日本と大きく違い数々の宗教が混在しているようです。その数は公認宗教だけでも18ほど。そのほとんどをイスラム教徒とカトリック教徒が占めています。
さらにレバノンは別名『モザイク国家』とも言われているようです。
その大きな理由は、宗教とその宗派によって生活するエリアが異なることや、その数が国も政治にも大きく影響していること。
今回のように、修道院を舞台にして『奇妙な世界観』を描けるのも少し納得していただけるのではないでしょうか。
設定だけを聞けば「ありえない!」となりますが、鑑賞する中で少しずつ「本当にあるかも・・・?」と気持ちが揺らぐこともあるのもこの映画の見どころの一つ。
宗教を舞台にした代表的な作品に『ミッドサマー』という映画がありますが、そんな雰囲気を彷彿させてくれます。
◎さぁ、地球は手動で回っているのは嘘か?本当か?
物語では2つの修道院が男女によって分けられていますが、この状況は『宗教的習わし』と判断して良いと思います。修道女の発言からも、彼女たちは男の人に会ったことないのがわかります。
最終的には、主人公・ゼイナが別の修道院にいる男を追いかけることで、『修道女がレバーを回し続けることは意味がない』と判断をしていますね。
そして今回、注目したいのは追いかけられていた『男』。
最後に男は、他の修道院によって地獄に落とされてしまうわけですが、連れ去られる直前にゼイナをわざわざ呼び止めていました。
おそらく男は、ゼイナに『お互いやっていることは全く意味がないこと』だと伝えたかった可能性があります。
実際、最後に発した男の呼びかけがあったからこそ、ゼイナは『衝撃の光景』を目にすることが出来ていますよね。
ちなみに物語の中盤で、男たちが修道女のテリトリーにやってきていたのも、2つの修道院が全く同じことをしているのに疑いを持っていたから。
偵察のようなものだと考えられます。
しかし、最後に待っていた期待をひっくり返すような結末。
『地球を手動で回しているのは本当だった』という、誰もが裏切られる衝撃的展開でした。
いかがでしたか?
映画『sisters of the rotation』はSAMANSAで絶賛配信中です!
世界各国の作品をぜひ、お楽しみください。
<映画ライター/ shuya>
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【参考文献】