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私に届いた(旧)N国党 元支持者からの1通のメール

私がペンを置いていたこの1年、私宛にもちらほらと(旧)N国党絡みのメールが届いていた。その中にはもちろん、界隈名物「嫌がらせメール」も含まれているが、本記事で紹介するのはその類ではない。

(旧)N国党関連の話になるが、モンキーポッドの中の(旧)N国党関連記事としてではなく、人の意識・認識の移り変わりについての「コラム」としてご覧いただきたい。

※以下、元支持者の方のご意向により、メールそのものの画像(スクリーンショット)や原文の掲載等は致しません。


件名「お礼」と書かれた1通のメール

昨今、私が公開しているメールアドレスには迷惑メールが頻繁に来ている。ざっと日平均10~20通だ。そのような状態なので、メールチェックは週に2度ほど、件名で迷惑メールでは無さそうなものを先に別フォルダに入れて後で確認を行っている。そんな中にあった1通の話である。

2020年10月某日、モンキーポッドで公開しているメールアドレスに1通のメールが届く。件名には「お礼」と書かれていた。

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はじめまして、モンキーポッドさんのnoteを見てメールします。
私は2019年の参院選のときN国党に投票しました。立花さんを知ったのはあのときが初めてで、本当に「すごい人が出てきた!これは何かやってくれそうだ!」と思っていました。その後は特に気にすることもなく、ただ薄っすらとした期待だけを持っていただけで、ニュースを調べたりとかはしていませんでした。立花さんがたまに選挙に出たときに報道されるのを見て「頑張ってるな」くらいに思っていました。マツコ・デラックスを攻撃していたこともその頃は知りませんでした。立花さんが何をしていようと、頑張ってくれてるならいいんじゃないかとぼんやり思っていただけでした。

違和感を持ち始めたのは東京都知事選挙でした。私はホリエモンが好きではなかったので、なんでこんなことになってるんだとそこでやっと自分で少し調べ始めました。それで見つけたのがモンキーポッドさんの記事です。
ホリエモン新党の成り立ちから東京都知事選挙までのことを教えてもらいました。それから立花さんに少し不信感を持ちましたが、特に深く考えていませんでした。その後に少しづつモンキーポッドさんの過去の記事を読んでいくようになり、立花さんの言ってることのおかしな点に気付きました。

今ではあのときよく知らないまま投票したことを恥じています。何もわからないまま言われたことを真に受けてあの党を公党にしてしまう手伝いをしてしまい、その後迷惑を被った方々に申し訳ない気持ちでいます。

ご迷惑かと思いましたが、無知な自分を改める切欠をくれたモンキーポッドさんにお礼を言いたくてメールしました。ありがとうございました。

※一部中略・要約・校正しています。

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このようなメールを頂戴するのは有難いかぎりである。
「詳しい解説で助かりました」「投票しなくて済みました」などの短文メールはときどき寄せられているが、ここまで丁寧にお礼を言われたのは初めてであった。

返事をしてみた

2019年参院選時、(旧)N国党に投票したとされる多くの有権者は、あのとき立花孝志氏の言葉に希望を抱き、実態をよく知らないままそのときのノリで投票した者が多いのではないかと言われてきた。しかし、そういった人々がその後の(旧)N国党を見てどう感じ、どう思ったかはあまり表には出てこない。一部いる熱狂的支持者はそのまま居続けるものの、ツイッターをはじめSNS等からは立花孝志氏および(旧)N国党を応援・擁護する声は日に日に減っていく様子は見て取れたのだが。

今回頂戴したメールはまさに、そのような表には出てこない元支持者の声であった。情報提供や質問以外のメールには、いつもは目を通すだけで返事はしないのだが、今回は返事を送ってみることにした。

以下、私が送った返信メール全文。
※先方の方のお名前を仮に「Aさん」とする。

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メールありがとうございます。モンキーポッドです。
ご丁寧なお言葉をいただき、感謝致します。

Aさんのように前回の参院選で投票し、その後支持をやめた方は少なくないのだろうと思っておりますが、そういった方々の声はなかなか表に出てきてはくれません。そのため、今回のAさんのお言葉は大変貴重なものと考えております。

よろしければ、Aさんが不信感を募らせた経緯などもう少し詳しくお聞きしたいのですが、メールだけのやり取りで構いませんので、お願いできませんでしょうか。
ご検討くだされば幸いです。

宜しくお願い致します。

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それから2日後、Aさんから「私は特に知識も何もありませんが、できる範囲でよければお答えします。」との返答を得た。
その後、数週間にわたりAさんと私のメールのやり取りが始まった。最後にお礼とお別れを告げるまでメールが往復した回数は、6回である。

(旧)N国党 元支持者との会話

以下、数度行われた私とAさんのメールの中で、質問と回答のみのやり取りを要約して会話形式でまとめてお送りする。

私:不信感を持ったのが東京都知事選挙の頃ということですが、それまでの騒動や話題というのはご存じなかったのでしょうか。

Aさん:私は普段インターネットにはあまり触れないので、動画とかもたまにしか見ないし、ツイッターなんかもやっていません。参議院辞めたことや埼玉で選挙に出たことはニュースで知っていましたが、それくらいです。

私:おかしな点に気付いたとのことですが、どういった点でしょうか。

Aさん:一番驚いたのは虐殺発言です。驚きました。思っていても言っていいこととダメなことの区別もつかないのかと。その後知ったことですが、借金は返さなくていいとか、嫌がらせで裁判するとか、何でも思ったことを言えば正直でいいだろうって話じゃないと思いました。ぞっとしました。

私:不信感を持たれたあと、立花孝志氏の動画などは見られたことはあるのでしょうか。

Aさん:たまに見ていました。でも全部は見ている暇がないのでそのとき見つけたものだけという感じでした。

私:不信感を持たれたあとに見た動画は、どのような印象でしたか。

Aさん:相変わらず良いこと言っているなとは思いましたが、自分で調べるにようになってからは間違いや過去の発言との矛盾なんかには気付けるようになったので、不信感というより不快感が強くなりました。

私:一番不快に思われた話を教えてください。

Aさん:一番不快だったのはコ口ナに関する発言でした。当初はまだ「またすごいこと言ってしまっているな」と思っていましたが、私の近所の友人の父親がコ口ナ感染が原因で亡くなってしまって、そのとき「年寄りや持病のある人は死んでも仕方ない」と立花さんが言っていたのを思い出して怒りがわきました。仕方ないのはそうかもしれないが、最初から切り捨てるつもりでいたら助かる人まで死んでしまうと思いました。友人の父親とは面識もあって、昔よくお世話になっていたので余計にそう思ったのかもしれません。

私:2019年の参院選以降の地方含む数々の選挙については、どのように感じておられますか。

Aさん:最初の頃はよく知らなかったのでなんとも思いませんでしたが、今は率直に言うと、有権者をバカにし過ぎだと思います。いくら売名目的の選挙とはいえ、有権者をバカにして、いったい誰のための選挙で誰のための政治をしようとしているんだと、見るたびに怒りが込み上げてきます。

私:誹謗中傷関連についてはご存じでしょうか。一般人相手に個人情報開示請求なども行っているようですが。

Aさん:単純に誹謗中傷はダメだと私も思いますが、立花さんのやっているそれは言論弾圧に見えています。先日「ビジネスになる」といった発言をしたのを知って、この人の正義はやっぱり私の思うそれとは違うとはっきりわかりました。

私:Aさん同様に2019年の参院選で”よくわからないまま投票”した人たちへメッセージなどはありますか。

Aさん:実際私のような人は多かったんじゃないかと思います。立花さんはそのときそのときは毎回すごくいいことを言っているように見えるので、立花さんの話ばっかり聞いている人は本当に彼を崇拝してしまうと思います。私もそうなりかけたうちの1人です。疑ってかかれとまでは思いませんが、知らないことはせめて自分で調べて、本当はどうなのかを理解しないといけないと私は思うようになりました。他の人もそれに気付いていてくれればと思います。

私:立花孝志氏やN国党の今後について、何か思うことはありますか。

Aさん:NHK問題をどうにかしようとしているのは良いと思いますが、少なくとも私はその他の面では全く評価できなくなりました。それは色々自分で調べて知るようになったおかげですが、テレビのニュースや新聞だけでは立花さんやN国党の話題はほとんど出てこないので、選挙とかでたまに報道されたときに、またかつての私のような人が出てこないか心配だなと思っています。

以上が私とAさんのやり取りである。
その後、お互いにお礼を交わしメールでのやり取りを終えたのは、2021年01月半ばである。

実は、本記事はすでに2021年02月初旬頃には書き終えていたのだが、Aさんが「私が誰かつきとめられて嫌がらせの対象にされたら困る」と心配をされていたので、私の方も特に急いで公開しなければならない理由もなかったため、非公開のまま眠らせておいた。記事を書き終えた段階でAさんには確認を取り、公開許可は貰っていたのだが。

2021年10月現在、衆議院選挙を迎えたことで、同じく”よく知らないまま投票”をする人たちへの呼びかけになればと、先日Aさんに再度確認を取り、記事内容を少し調整して公開するに至った。

最初は誰も よく知らない

選挙において、”よく知らないまま投票”することは珍しいことではないし、悪いことではない。むしろ、立候補者全員をよく知っておけという方が無理がある。そしておそらく、そういった”よく知らないまま投票”するといったことは、今後も無くなることはない。

ただ、選挙でその人を選び、投票するということの意味をもう少し考えてもいいのではないかと思う。投票した立候補者が当選し、その人がその後何をするのか、どんな影響を与えていくのか、票を入れた者にはそれを監視する責務があると私は考える。

そしてこれは(旧)N国党のみに限った話ではないと付け加えておきたい。


私に届いた(旧)N国党 元支持者からの1通のメール(終)
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