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二色の青

短い夏、なんて言うけど本当にその通りだと思う。
気がつけばお盆も終わって、今はきっと残暑に片足を突っ込んでいる。立秋もとうに過ぎた。
海が好きな私だけれど、今年の夏と呼べる時期に行った回数は、おそらく一回だけだろう。
その日は例年なら海開き後で、人もたくさんいるはずなのだろうけれど、ほとんど誰も居なかった。
コロナのせいなんだろうか、はたまたあまり人気のない海岸だったのだろうか、それは知らない。
海辺から響く、波の音が、底抜けに明るい青空と積乱雲の間に消えていく。
波打ち際の砂は、ただただ空白を更新するだけ。
あんなに人のいない夏の海が物悲しいものだとは。
潮風も、なんだかいつも以上に肌に纏わりついてベタつく気がする。
もしかすると、私が夏の海のイメージに囚われすぎているのかもしれない。
あれほど待ち侘びた夏の海。なのに私は居た堪れなくなって、すぐにその場をあとにした。


後日、Instagramのストーリーから、私の思い描く夏の海を満喫する友人の姿を目にした。
それを見て、きっと私が行ったのが早過ぎたんだ、そう思った。
夏の海は確かにあった。

けれど私はあの日みた夏の海を忘れない。
あの海を見れた事に不思議と感謝すら覚える。
2021年の私の夏を象徴するような、果てなく広がり続ける、くっきり別れた二色の青を。

短い夏が終わる。日を追うごとに短くなる日の入りを見て思う。
今この時が一年で一番寂しい時期だ。
寂しさの向こうには、穏やかな季節、私の好きな季節が待っている。

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