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夜は短い、ただ帰るだけの日々

オフ日の午後4時に駅ビルの喫茶店の窓からロータリーを俯瞰して眺めていると、コロナ禍でも各々が一日の営みをしっかりと送っているんだなと実感します。
決してコロナが落ち着いている地域ではないのですが、バスは定期的にやってきてそれに乗らなきゃ行けない帰れない人達を乗せていくし、横断歩道の赤信号を待つ人達の間隔は律儀に白線の範囲内に収まっています。私もきっとその場に行けば、そこに収まるはずだし。

でもきっと午後8時には時短要請を受けた飲食店は店を閉めてしまい、自動的に街の活気を奪い去ってしまうはずです。
私は「人のいる街」が好きです。
仕事帰りに一杯飲んだり食べたりしている人達や、閉店時間まであまり余裕がないなか急かされながらサクサクっと買い物を楽しむ人、友達や大切な人と一日の終わりを惜しみながら別れてそれぞれの帰路に着く人達、色々な生活が緻密に繊細に張り巡らされた、そんな街が好きなんです。
その中を、この先きっとここに居る人たちとは誰とも交わることのないまま終わるんだろうな、なんて考えながら歩くのが好きなんです。
だから午後8時を過ぎてしんと静まることを余儀なくされた街は、いびつで少ない人同士がどこか哀しげに彷徨い歩いている雰囲気を感じ取ってしまい、嫌いです。
色々仕方がないし承知しているのだけど、嫌いなものは嫌いなんです。

春になってただでさえ夜が短くなってきたのに、街自体が持つ時間さえも短かくして奪っていくんだなと、今になってやっと思い知らされました。


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