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Man! I Feel Like a....

昨今の「国民の安心に留意する」風潮にどうしても一言いいたい。
今から書くことは、既にいろいろなところで議論されているだろうから、もういいかげん読み飽きた内容になってしまうかもしれないけど、それでも、何か言わざるを得ないと感じている。

私はこの問題について「性的少数者」であり、「社会的な性別の役割は女性」である立場から論ずる。
ここでいう「性的少数者」とは「今の社会のなかだったら仲間の数自体は少ないよね」くらいの認識である。また、「社会的な性別の役割は女性」とは、だいたい「自認はとりあえず置いとくとして、社会の中では「女性」として生きている」という意味で用いた。

「国民の安全に留意する」が大きな意味を持つ理由の一つに、「女子トイレ/女子風呂」問題があるだろう。この問題については、今現在もかなり意見が割れている、というよりは、対立している。

私も何度か性的少数者の方々と考えを共有してきた。が、実は、そのたびに、言いようのない違和感に直面してきた。
とくに引っかかったのは、
「(トランス女性を女子トイレから排除したいということは)世の中の男性はみんな性犯罪者ってことになっちゃうじゃん」
という発言だった。

いや、だって、その通りなんだもん。

大学生になって一人暮らしを始めるとき、女子学生(だけ)には「性犯罪から身を守るために」という注意喚起があった。夜は人通りの多いところを歩く、イヤホンなどを付けずに周囲を警戒する、物干しざおに男性の下着を干しておく、玄関の扉を開けるときは室内に男性の気配を感じさせるようにする……そんな内容だったと思う。
それに、一人暮らしではなくとも、昨今の性犯罪の報道を目にしていれば、嫌でも「男性はみんな性犯罪者」くらいの警戒心を持つだろう。少なくとも、私は持っている。

その「男性全員が性犯罪者になっちゃう」発言をした人が男性なのか女性なのか、はたまたそれ以外なのか、聞いたことがないのでわからない。
だから、「それは男性的ですね」とは言えなかったけど、それにしても、この人の考え方はとてもmasculineだな、と思った。
あれだけ「男性的」「女性的」を批判して活動している人たちがmasculineな意見を平気で言えてしまうなんて。目が眩む思いがした。

ただし、私は「トランス女性排除」には反対する。
それは社会のmasculinityを擁護することになるからだ。
「男性がトランス女性を偽って性犯罪を犯す可能性がある」と主張するのって、つまり、「男性は女性を(立場が弱い者と見なして)襲うものだ」という考えを前提にするってことでしょ?
私はそっちの方がよっぽど大きな問題だと思う。
私は、社会に蔓延るmasculinityを排除して、男性優位な社会を変えたい。そして、女性や、その他の性的少数者が怯えることなく生活できる社会にしたい。

そもそもfeminismとは

フェミニズムとは女性たちの尊厳や権利や安全を軽んじる文化を変革し、女性たちの生の可能性を広げようとするもの。

清水晶子、「フェミニズムってなんですか?」

とある。
じゃあ、「フェミニスト」を名乗る人が「トランス女性の排除」を掲げてmasculinityに加担するなんて、ほとほとおかしいじゃないか。
何度も言うけど、「女性たちの尊厳や権利や安全を軽んじる文化」の原因は、ほんとうに「トランス女性」ですか?そうじゃないよね?「女性を性的な暴力の標的にする男性」なんじゃないの?
なら、我がコミュニティと一緒に、彼らの存在を容認するmasculinityを社会から排除していこうよ。

また、

In general, feminism can be seen as a movement to put an end to sexism, sexist exploitation, and oppression and to achieve full gender equality in law and in practice.

Council of Europe

ともある。
だから、私たちとフェミニストたちは、きっと、互いに手を取り合って、社会によりよい変化をもたらすことができるはずだ。

LGBTQ+コミュニティとフェミニストたちを敵対”させている”のは、他でもない"masculinity"であることを、絶対に忘れてはいけない。


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