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変化の時代とこれからのこと~17期を終えて~

7月31日。今日で、26歳の時に立ち上げた会社の株式会社としては17期目が無事終わる。『無事終わる』と聴くとなんだかおおげさに聞こえるかもしれないが、この決算の日は毎年そう思う。

東京でちょうど会社が10年を迎えた時の夏、この福岡に移住し2年後に登記を東京世田谷区から福岡市に移転した。右も左も、なんなら上も下もわからない福岡市に移り住んで8年が経過したことになる。この8年どうでしたかと言われれば、移住してよかったと思う。でもひとことではそう言えても、手にしたものもあれば、沢山失ったものもある。

だから、このコロナの時期を経て、今また移住や、テレワークや、ワーケーションやそういう言葉がインスタントに踊っているのは少し違和感も感じる。”そんなに簡単ではない。”。

ピラミッドが崩壊し始めるのを見た20年前

なぜ起業したのだろう。私は51年生まれ。就職活動中に、山一証券が破綻。派遣社員が膨大に増え、”労働力が流動化”すると言われた最初の年。いまじゃ化石に近いが”金融ビックバン”という言葉もこの頃だった。

大企業のピラミッドが崩れ落ちるような瞬間と、それでも崩れまいともがく日本の様子を大学生の当時感じたように思う。当時、インターネットがようやく普及した頃で、大学生だった私は、『The Planet Plan』というインターネットメディアを運営していた。公園の路上でパフォーマンスしている人や絵を描いている人、モノづくりをしている人、若くして起業した人など気になる人にお願いして、自分の足でその人の家まで行き、なぜその仕事をしているか?はじめたのか?をインタビューして記事にして、覚えたてのHTMLで記事を作って発表していた。その人のアウトプットよりもその人の背景にある人生が面白かった。

この活動を通して、私は思った。ピラミッドを維持するよりも、個の時代が来る。いや来てほしい。個性を活かして、柔軟につながりあい、そこで新しい可能性を生み出す時代に。これが私たちの会社『スマートデザインアソシエーション』の原点だ。

変化したくてもしきれない日本のジレンマ

バブル崩壊→派遣問題→リーマンショック→3.11震災→熊本震災→朝倉豪雨→北朝鮮ミサイル問題→トランプ誕生→香港情勢→台湾の選挙→日韓分断→。

そこにこのコロナが来た。私たちの会社では、この5年間、ほぼ毎月、福岡と東京のメンバーが集まり1日をかけてこれからのビジョンや事業の方向性を対話してきた。昨年末12月のテーマの資料には、2020年の金融崩壊を想定していた。さらなる柔軟な変化と、サバイバルする方向性を話していた。3月にコロナがここまで拡大することは予測していなかったが、金融が崩壊し全世界が相当なダメージを受けるインパクトを考えていたので、そちらが来ずにこれが来たのか・・という感覚でもあった。

まるで、大きな生き物の、鼓動がどんどん早くなるように、変化が次々に押し寄せてくる。

あれから・・日本は変化するチャンスはいくらでもあったが、この国はなかなか変わらなかった。どこかで安定を求め、平均的な経済の幸せを捨てきれず、維持しようとした。10年前に、3.11震災が起きやっと、価値観が動いたように見えた。しかしそれでも、そのことを少しずつ忘れ去り、オンリンピックという幻想に向かって経済は加速しようとした。世界では、金融商品が膨れ上がらせたカネという生き物が、さらに利潤という餌を求めてうごめき、日本はインバウンドに目がくらんだ。

20年間もの間、日本の国の根本や本質の大部分は変わらず、旧システム(OS)のまま動いてきた。しかし、震災のような物理的な破壊でもなく、今回のコロナというものは厄介だ。震災後に培われてきた『コミュニティ』という価値観を、人と人を分離し、人を集めることで成り立っていた商売を破壊するようにできている。経済と人のつながりを同時に破壊するウイルスなのだ。

この強敵を前にして。変化しなければならないことは明白だ。明白だが変化しきれないできた日本は、長い間眠っていた熊のように、ただ、贅肉を揺らして戸惑うばかりだ。しかし、国はそうでも、わたしたち個人の感覚は、ようやくこれではだめだと気付きはじめたのではないか?あなたはどうですか?

17年変化しつづけて、なんとかここに立っている。

急に話が変わってしまうが、私は九州に来て、登山に目覚めた。久住や近くの低山まで定期的に山に一人で登り、考え事をしたり、テントを張って無心になるのが癖になっている。山に登る行為は、どこか経営にも似ているようにも思う。登る前には、目の前にそびえる久住連山を前に最初は本当に登れるのか?と初心者のころはよく思ったものだ。(2000メートル級なので大したことないのだけど)しかし、登り始めて一歩ずつ前に進むといつの間にか目の前が急に開けることがある。そしてここまで登ってきたことに感謝を感じる。山頂で食べる日清のカップラーメンは、本当に最高でしかない。やっとここまで来たという感覚と。小さなご褒美と。

私たちも思えば17年の間、これだけの荒波に小舟を浮かべて、なんとか変化しながら、やってきた。苦しかったことも沢山あったし、自分のふがいなさに、本当に路上で泣いたこともあった。

しかしながら、上に書いた原点に立ち返ると、私たちの会社の目的は『利益をあげること』よりも『ひとりひとりの生き方を実現していく働き方をする』ことの方にずっとベクトルが向いていたように思う。今やっている、移住計画も、コワーキングスペースも、WEBサイトを作るときも、空き家を仲介するときも、全ての願いは、そこで生きる人、働く人や、会社や、地域が、もって生まれたものや個性を発揮して生き生きと生きる姿なのだ。だから、なんとかやってこれたし、その都度工夫し、いろんな人や企業や地域のみなさんに助けてもらい、この山に17年登ってきた結果、今、『見晴らし(ビジョン)』も見えてきたような感覚である。

つぎのいとなみをつくる

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来期のビジョンは決まっていて画像にある通り、『つぎのいとなみをつくる』。大親友であり、私が移住した頃に書いた連載を担当してくれた編集者でもある、fantasiaの毛利さん(このコロナの真っただ中に勇気をもって会社を設立した)が私たちの17年の歩みから、紡ぎだしてくれた言葉だ。

これだけの変化の時代にあって、一つの回答、一つの成功論みたいなものは、だれも示せない。やってみて、最初は転んだり、骨を折ったりして、その中で身体感覚的にこうして行こう、ああして行こうという直感と共に、体を動かす時代。つまり、新しいことを生み出すには、常に変化しつづけなければならない時代なのだと思う。だから成果を求めすぎず、まずは小さくアクションして行かないといけない。準備運動なしに、急にダッシュはできない。

わたしたちは、小さな体ではあるが、17年の間、そうやって、試して、失敗して、もがいて、またチャレンジして、失敗して、骨を折って、骨を太くして、また登って、迷って、またコンパスをみて登って。そんなこんなではあるけども。変化しつづけてきたからこそ、今こそ、見える景色がある。

これだけ変化の伴う時代だからこそ、支えあい、つながりあい、”つぎのいとなみ”を、これから交わる企業の皆さんや、地域や、個性的で野生的で人間的なみなさんと一緒につくって、それを次のこどもたちにバトンとして渡していきたい。

あらためて、17期も本当にありがとうございました。

17期アクション・売上をまとめてみた。
~最後に今年もまた仲間を求む~

株式会社スマートデザインアソシエーションに関わっていただいたすべての皆様に感謝申し上げます。今年も多くの皆さんに支えて頂き、無事1年を乗り切ることが出来ました。これから全く先が見えない状況ではありますが、希望をもって進んでいきたいと思います。これからもよろしくお願い申し上げます。

◆売上高は、約2億で着地。正社員7名。ラグビー日本チームのような、個性を活かし、役割をそれぞれが担いながらフィールドでプレイするスタイルを目指した。

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◆1Qダイジェスト

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17期は、私たちの本拠地『SALT』から、価値を生み出していくその決意と共にはじまった。SALTをひらき、ここにいる、くる人たちとつながり価値を生み出すことを表現する『ソルトびらき』から始まった。

時代や社会のうごきは、稼ぐなら都市部でせわしなくはたらき、ゆとりと健康が大切なら収入は減るけど田舎でスローライフ、という2者択一の選択をせざるを得なかった時代から、その両方を手に入れられる環境へとシフトしてきました。とはいえ、そんなはたらき方はどこでも実現できるわけではありません。今宿というまちはそういった意味でほかにない場所だといえるのです。SALTにはどこで、どんな風に、だれとはたらき、暮らしていきたいかという考えのプロセスを経てやってきた人たちが多くあつまっています。そんな人たちと一緒に、わたしたちはこれからも今宿からあたらしいうねりを創り出していきたいと思っています。

CM野上梓の開催レポートより

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台湾と、福岡。この2つの都市に共通するのは、『人間らしく』生きていこうとする人々の強さや意志だった。
国境を越えて、2つの都市を行き来するような暮らし方、働き方を提案する、『台湾微住計画』開催。

◆2Qダイジェスト

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時代のさらなる変化を予想し、自社資本100%からの脱却をめざして、資本政策を開始する。ベンチャーキャピタル、投資ファンドの専門家である、共感実装の皆川氏を、パートナーに迎えインフラ企業など中心に、各社を回りながら資本提携を開始した。(現在も継続中)人と人がつながるコワーキングスペースを中心に、周辺の空き家を活用し、滞在、暮らしをつくれるプラットフォームの創造を開始。※現在宿泊施設は8拠点(60ベッド)まで増えてきた。

この時、大企業が持つ課題感が見え、さらに連携したアクションを模索し始めた。また経営者としてはファイナンスのノウハウや知識を急激に学ぶこととなった。

◆3Qダイジェスト

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・SALTを、5フロアに増床し、共創空間としてさらなる価値の創出を目指すこととした。
・西鉄グループの新規共創空間のコンペティションを獲得
・トヨタ自動車、KNTホールディングスを超小型EVを活用した着地型ワーケーション商品の開発協議を開始
・NTT都市開発より、コワーキングブランド『LIFORK』の統括運営を打診を受けて準備を開始

◆4Qダイジェスト

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・NTT都市開発×SDAでのコワーキングスペース運用がスタート
・コロナ下での衛生対応を徹底しながら、現場CMのスタッフを中心にして、一部コワーキング運営をオンラインに移行し、コロナに負けず培ってきた『つながり』をあきらめない意志を行動に移す
・東急不動産→SDAへ。福岡出身の岡悠樹が正社員として参加。不動産活用のチームが鎌苅と2名に。
LIFORK運用に伴い、さまざまなスキルやストーリーを持つ仲間たちがSDAに参加(6拠点、15名体制)と、分散する拠点をオンラインで横断しながら、毎日コミュニケーションしチームビルドを開始。(今年4月から正社員になった脇山理子がリードする)
・環境省の国定公園活用PJに採択される。この秋トヨタ自動車×KNT×SDAでの新たな取り組みに向けて本格始動

◆来期18期~20期まで

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・来期は、今集合している、様々なスキルを持つチームメンバー総勢25名パートナー企業と、渦を生み出していくためのアクションを起こす。
・私たちSDAと一緒に、『つぎのいとなみ』を生み出す企業や、金融パートナー、行政と積極的に接触しながら、本質的な事業に集中する。不動産、IT,クリエイティブ、アート、教育、アウトドアなどの力を混ぜ合わせ、次世代の種を育てるための土を作っていく
地元福岡と、九州の魅力を最大限に私たち自身が味わい、それを少しずつおすそわけする事業を展開していく

事業提携・資本提携先・パートナーを募集

これからつぎのいとなみを力強く生み出していくためには、私たち1社の力では出来ません。変化を求める企業、行政、個人の皆様一緒に変化の時代を乗り切る『船団』をつくりましょう。当社WEBサイト、私への個人メッセージ等お待ちしております。ご説明にあがります。

改めて今期もありがとうございました。公私ともに至らぬ私であありますが、これからもよろしくお願いいたします。さいごに、こんなに荒波の会社の経営の中、いつもケアが最後になってしまう私の妻と子供たちに感謝を込めて。

株式会社スマートデザインアソシエーション
代表取締役 須賀大介

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