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ローカルベンチャーのつづけ方 (合宿編) その仕事のてまえにあるもの。

”続く社会”をつくるためには”続く会社”が必用だ

移住する前とその直後のことは、前回のnoteに書いた。移住直後に、半分ほどの20名弱になった僕の会社は、福岡で新たなマーケットを切り拓くと豪語して移住して未来をつくりに来たはずが、結局はエンジンが故障した宇宙船のように、福岡という土地に不時着したカタチとなった。

もちろんこんな苦労をせずに、ちゃんと綺麗に着陸している移住経営者も多い中で、なんとも情けないと我ながら思う。東京でやってきたことの真逆を行こうとしすぎた結果だと今は思う。

それでも震災で受けたインパクト、都市の一部に塗り込められた自分への違和感の先に進みたい。続く社会をつくるために、何ができるか?というサバイバルは始まったばかりだ。そのためにも”続く会社”が必用なのだ。続く会社って何だろう?今回はこのことを書いて見ようと思う。

福岡で最初に雇用した社員のこと

東京時代は、40名の組織を維持するためにはかなりのハイコストに耐えて行く必要があった。キャッシュアウトは、人件費とパートナーに支払う金額と合わせれば月2000万円弱。それと同じことを福岡でやるつもりは正直なかった。福岡には私1人。東京には15名弱。沖縄に移住したデザイナーが1名という分散組織がスタートしていた。

しかし、そうやって1人で、2年弱もがいて思い知ったこと。結局1人できることは限られるということだった。そうやっているうちに、東京の売上もどんどん下がり、一人、二人と独立したり退職したりしていった。

そして移住して2回目の冬が来た時に、前回書いた、自分の甘さや弱さを思い知る事件が起きたことで、完全に目が覚めた。地域に貢献する前に、まずはちゃんと自立すること。体力をつけねばならないと。

このタイミングで、まず社員として迎えたのが、今、福岡移住計画のメディアの編集や取材を全面的に任せている、窪田司だった。今から3年半にさかのぼる。

金も教育制度も無いから、ビジョンを語り合った。

この時、窪田は26歳。僕が38歳。まずは兎に角、若くして、可能性しか語れないような会社に飛び込んできてくれた彼を幸せにしたいと思った。
が、じっくりと教育する時間も、彼を人材教育機関に出す余力もなかった。

ただ、ひたすら実戦あるのみ。打ち合わせの様子を見せて、企画書を見せて、講演様子を見せて。成功したり、失敗したり。それを感じてもらうしかなかった。その分、ボロボロのトラックのような、古いランドクルーザーに乗りながら、あちこち営業したり、打ち合わせに行く度に、福岡移住計画がこの地で何を起こせるのか?それぞれがやりたいことは何だろうか?というビジョンや価値観を語りあったことを今でも覚えている。

社員が3名を超えたときに生まれた「ビジョン合宿」

その当時、窪田と語り合ったことが、
1.福岡で食っていける人を増やすための求人メディアをつくること
2.地域の行政や、大企業のようなリソースを持つ組織と、移住者や地元のスモールプレイヤーを結び付けるための「
」をつくること
ということだった。

それが今私達が運営している、太宰府天満宮から正式に名称をお借りしている求人メディア飛梅や、コワーキングスペースとして実現していくことになる。そうして、福岡でビジョンを語り合ううちに、1名、2名と福岡での仲間が増えていった。窪田とトラックで語り合った時間。ビジョンミーティングを、今度は毎月1回「合宿」という形で、実施していくことになる。これが今の私達の会社のカルチャーの一つ「ビジョン合宿」だ。

売上・利益・サービスの手間にあるもの

東京時代には、そのハイコストを押し返すために最初から最後まで、数字の話や、今ある課題と思われる事項についてああでもないこうでもないと話している事が多かった。すると会議のストレス指数ばかりがあがって、後味はいつも悪かった。

しかし、それが長続きしないことを、思い知った福岡では、数字の前に、個人の価値観や、プライベートな目標を語り、そこからこの会社がどこに向かうかをみんなで話合うスタイルをとることにしていた。

そのためには、月1回の会議で会社の全体の数字状況を始めて知るということなく、誰でもいつでも状況をしることができる経営コックピットという自社システムを構築していたことが役に立った。

▼経営コックピットは、社員のだれもがいつでも見ることができる。
現在の売上、コスト、部門間の利益などを共有するための自社構築システム。

大切なのは、数字よりも個人の価値観。そこから会社のビジョンや方向性を紡ぎ出すことにしていけば、個人の思いと会社の方向性は大きくは乖離しないということを考えての事だった。

つまり会社を1本の木に例えればこんな感じ

①(根)根底にある思いや価値観=熱源
②(幹)その熱源をどの方向に伸ばすのか?=ビジョン
③(枝・葉)それをどんな方法で実現するのか?=スキル、サービス、事業
④(実)その結果欲しい未来は何のか?=成果

わかりやすく言うと、それまでは、概ね③、④の会議から入ってしまうことが多かった。しかし、その手前にある、根っこや、幹の状態がわからなければ、どんな葉っぱの色や形をしているのか?どんな実がなるのか?も分からないのだ。

これまで、理念や、ビジョンを語るのは経営者の仕事だといわれてきた。しかし、これだけ変化の激しい時代に、リーダー一人の羅針盤で耐えられるわけがない。中小・零細企業ならなおさらだ。組織の一人ひとりが、ビジョンや価値観を大いに語って方向性を示す必要がある。その個人がやった仕事が、集まれば、そこに共感が生まれ、また新たな仲間が集まってくるだろう。

今、ティール組織や、ホラクラシー経営という言葉が出てきているように、サッカーやラグビーチームのように陣形を組み、プレイヤーが場を読みながら、フォーメーションを自在に変形していける組織力が求められていると思う。


結果、3年で売上は3倍になった

この7月、第16期の決算を終えて、社長である私が移住した後どん底をついた組織の売り上げは、徐々に回復してこのビジョン合宿を続けてから約3年半後には、売上が約3倍ほどになって着地することができた。東京時代の概ね半分ほどまで回復してきたことになる。

しかし、順調かといえば、まったくそんなことはない。まだまだ日々もがき苦しみ、掲げるビジョンと自分たちの実力の距離に眩暈がするほどだ。
ローカルベンチャーをつづけていくことは、リソースとの闘いでもある。
それでもあきらめず、悲観せず、資源があってもなくても、まずはビジョンを最初に話しそして本題に入る。これを続けている。

次回は、写真にもなっている糸島シェアハウスで実施した、鳥の解体ワークショップの合宿の事を書こうと思っている。つづく。

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