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【Day.36 なぜフィリピンのゴミ山はなくならないのか?】

フィリピンにゴミ山がある理由は過去2回分の投稿で分かったと思います。しかし前にも書いた通り様々なリスクがゴミ山にはあり、実際にパヤタスでは多くの人が亡くなる事故も起きています。


なのになんでゴミ山はなくならないのだろう?と多くの人が思うかもしれません。このことについて私の個人的な見解を述べさせて頂きます。

1つめは既得権益の存在です。

ゴミ山の運営には大きく分けて四つのプレイヤーがいます。ゴミ山の土地を所有している地主さん、 ゴミ山の運営責任を持つ政府、 ゴミ山管理を請け負っている民間企業 、ゴミの収集業者、そしてスカベンジャーです。
そしてゴミ山の運営によって年間で11億ペソのお金が動いていると言われています。(言うまでもなくその利益の多くが地主・政府・収集業者に分配され、スカベンジャーの人々は恩恵を多く受けていません)このような既得権益の存在がゴミ山が存続している理由の1つだと思います。

2つ目はゴミ処分に対する国民の考え方です。

日本で暮らしている私たちの多くはゴミは燃やすもの、と言う先入観を持っていると思います。しかしフィリピンでは多くの人が「ゴミを燃やすことは環境や健康に悪いこと」という認識を持っています。
実際に学校ではそういった教育がされていますし、私もゴミを燃やすことの危険さを啓発するようなポスターを何枚か見たことがあります。(イメージで言えば日本の危険ドラッグ!ダメ絶対!みたいな感じでした)
つまりフィリピンの多くの人はゴミを燃やすことについては否定的です。私も実際にこれまで何人ものフィリピン人についてゴミの処分方法やゴミ山について聞いてきましが、ゴミの積み上げ式の廃棄方法そのものを反対している人は少なかったです。


3つ目は政治的決定の関係です。

フィリピンでゴミの焼却処分をするためには次のいずれかの政治的な決定がなされる必要があります。
・有毒ガスを発生させない焼却処分施設建設への投資
・大気浄化法の廃止・変更
ここで皆さんにお伺いしたいのですが、 皆さんは自分が捨てたゴミがどうなるか気にしていますか?気になりますか?環境意識の高い人であれば別にして、多くの人が特にそんなことは気にもとめずにゴミを捨てているのが現実ではないでしょうか。
それはフィリピンでも同じことです。自分が捨てたゴミがパヤタスという地域に運ばれるということ、そこでスカベンジャーと呼ばれる人がゴミを拾って生活をしていること、ゴミ山の存在によって健康被害に苦しんでいる人も沢山いるということ、多くの人がそんなことには気にもせずに生活を過ごしていると思います。
国民があまり関心のないことに対して、政府はアクションを起こしません。やはり国民からの支持を集めるためには、関心が高い問題に取り組むのが、政府としては合理的な判断です。
なのでフィリピン政府としても、質の高い焼却処分施設の建設への投資や焼却処分を禁止している法律の廃止などには積極的には動かないのであろうと思います。

※しかしながら2016年の8月には以下のようなニュースが発表されました。この事業のその後の情報はまだありませんが、入手できまた紹介しようと思います。

日立造船がフィリピン初のごみ焼却発電施設を建設
https://www.digima-news.com/20160817_6455
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