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米国で日本の建設会社にあまり出会わなくなった話

前回こんな話を書きましたが、

私が2000年に渡米し、就職した地元ゼネコンがやっていた大規模土木工事は、実は日本の大手ゼネコンとのジョイントベンチャー(JV)でした。でも自分以外の日本人はいませんでした。

わけわからないでしょ?

JVの名前に日本のゼネコンが入っているだけで、中身は地元ゼネコンの現地人って環境だったんです。ちなみに日本のゼネコンが関わっているなんて知らずに、新聞に出ていた求人広告に普通に申し込みました。まだ当時の就職活動はそんなでした。

そしたら日本びいきの会社でした。今思えば、これがラッキーだったと思います。覚えています。「日本人は働き者で、忠誠心が高いと聞いている」と副社長に言われたことを。汗

まずい!なにか勘違いされている!

でも「その通りです」と言って、実際一生懸命働きました。実はこれが後にコネにもなったんです。なんだかんだ、日本人では当たり前の水準でも、こっちでは評価高くなります。

こういうところは日本に感謝しています。

そこで米国の建設の仕組みを何も知らないところから一連の仕事の流れを学ぶ事ができました。やはり米国の建設事業はダイナミックです。内需が大きいですからね。

それで作られる仕事の規模も大きいです。外国企業もたくさん来ます。自分も含め、外国人もわんさか来ます。もちろん違法移民ではありません。ビザやバックグラウンドチェック、ドラッグテストなど全部やらないと就職できません。公共工事は抜き打ちテストさえあります。

また米国のコンストラクションマネジメントは、発注者側にプロジェクトのマネジメント専門業者が付き、発注者の要望をくみ取り、適切な調査、設計、施工の業者に仕事を振り分け、予算よりも安く完成させた分も見返りになるという透明性が高いビジネスモデルが一般的です。こっちで言う「ゼネコン」は施工専門業者なんです。そこにつく下請けも実際の工事の詳細も、全て発注者側がチェックします。契約内容も明確で予定外のコストや工事のリスクも互いに最初に同意します。当然、単に価格だけで無く、技術力や過去の実績、安全性も選考対象になります。

一方、その頃の日本国内では、このCM方式はまだ学習・検討段階で、日本はゼネコン丸投げ式でした。発注者がゼネコンを信頼して設計も施工もやってもらう式です。日本の技術が高いからできるというのもありますが、ボッタクリもできてしまうという事です。下請けが無理していても透明性がありません。日本の労働賃金が上がらないのに、なぜかかかる費用が高いというのは、こういうところにあるんじゃないでしょうか?

米国も大昔はこれだったようですが、不正防止、消費者保護、労働者保護が発達し、CM方式が主流になりました。前回の記事に書いたようなユニオンも同時に見直されていくわけです。近年の公共工事は積極的に地元企業、女性、マイノリティ、退役軍人がオーナーの企業を採用し、下請けが不利にならないような透明性のある管理をしていくので、建設業界に活気があるんです。

あれから20年以上経っているわけですが、調べてみると、今は日本では多少はCM方式も採用され、国も取り入れ始めてはいるようですが、まだ一般的では無いようです。そしてなぜか「日本型CM方式」みたいなまたガラパゴスっぽい事になっているようです。

こういうところなんですよね。

そして2000年のJV以来、東海岸の土木工事ではたまにしか日本の建設会社の名前を聞きません。

この記事にも書きましたが、

日本企業保護で外資入れなかったら、優秀な外国人も来ないですよね。それでも内需で盛り上げているならいいのですが、そうでもない。企業体質も変わらず、若者が「これで一発稼いでやる!」みたいな方向にも行かないというか、そういう環境に無い。

本来は一発稼げるチャンスありあり業界なのに。

考えてみてください。土木の世界って1事業で何百億円とか、下手すると何兆円の世界なんです。アニメとかゲームの規模じゃ無いんです。そっちに憧れる若者が多いですが。

どうしてやらんのだ!
そんなに3Kじゃないよ、まともな会社なら。

しかもアホでも良い!私がその証拠だ!笑

その間に、かつて「途上国」と言われてきたところにも外資企業が入り、あっという間に開発が進む。一発稼ぐ若者がたくさんいる。また技術者が育てられ、外資にスカウトされ、世界中に飛び立っていく。当然米国は人気の国。そしてガッツリ稼いで米国に家を買い、移民二世(さらに優秀な傾向がある)を育て、老後は母国に遊びに行き左団扇。ホントにこんな感じよ。私もたぶんそうなるし。

そんな外国人を下に見る人がいますが、なんなのかと。
考えてみてください。外国でここまでやれるってっ事は、労働意欲が高い努力家が多いんですよ。ボケっとしているタイプじゃない。そりゃ言語で苦労したり、今まで環境に恵まれていない人も多いですから不利だったりはしますが、根性あるので仕事を覚えれば一気に追いついてきます。

日本の建設はレベルが高いから、地震国だから、水準が合わないから、という話も聞きますが、本当にそうなのでしょうか?

最近の新興国の建設や街並み、立派だと思いません?

日本は内需を拡大できず、技術者も増えず、スキルのある労働者確保が困難だというのに、相変わらず独自のやり方で、外国企業との市場の大きい海外プロジェクトの競争に負けていく時代になりつつあるんじゃないでしょうか?

で。

最近の日本の政治を見ていると、私の個人的な妄想ですが、国民がぬるいから、テコ入れしているんじゃないかなと。
文句を言っている人が多いですが、私から見ると、岸田首相のやり方はそんなに間違っていないんじゃないかと。

調べたら2024年から建設業の働き方改革も始まるようですし、例え外資と競争することになっても、ここで切り替えをしていくつもりなんじゃないかなと。軍事を怖がる人もいますが、土木なんて半分防衛ですからね。高速道路も、ダムも堤防も、環境問題の処理も、エネルギー開発も半分防衛事業みたいなもんなんですよ。
なので今の状況を機に、ぬるすぎて自覚が無い国民をどうにか動かそうとしているんじゃないかなと。国内インフラぼろくなってきていますし。妄想ですが。

外国人が嫌いなそこのあなた!
土木へGo!

私は準備運動しときます。

ついでに昔の日本人がモーレツな話もつけておきます。

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