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アメリカの小4の模擬裁判が衝撃の内容だった話

前回、うちのアメリカの公立中学2年生が土曜日にエリートボーディングスクールで課外授業を受けさせてもらっている話をしました。

どういう事かというと、ここマサチューセッツ州は、ハリー・ポッターみたいな全寮制エリート校がたくさんあるんですよ。んで。公立の子でも成績がある程度良い子はこういうのに参加させてもらえるんです。格安で。
ありがたいなんてもんじゃないですよ。世界の富裕層のエリートが集まる普通の人が入れるような学費じゃない学校ですから。ちょっとかじらせて頂く程度でもその世界を垣間見れる経験は貴重です。

このプログラムは小4から始まるのですが、最初の年は授業参観がありました。授業は、

Trial Court

日本語訳…「第一審裁判所」…?

私にはよくわからない話なので、次男に何をやっているか何も聞かずに見に行きました。すると…

ショータイムなの?

なんか大学の講義するとこみたいな部屋で。

裁判官の服の人が出てきました。この授業の先生は弁護士でもあり、法学部教授でもある人だそうです。

なんと次男は弁護側の席に弁護士として着席しておりました。大丈夫なのかよ…おい。

裁判官役の先生が、話し始めました。

被告は工場での仕事の後、夜中の1時の帰り道に、テールランプの故障とスピード違反の疑いで、警察官1名に車を止められた。その際に警察官は車内を捜索。グローブコンパートメントの中に不審な物質を発見。被告を拘束し、不審物質を研究所に持って行ったところ、違法薬物との検査結果が出たことから、逮捕に至ったと。

ちょっと待って。小4が扱う内容なのそれ!笑

…そして裁判官は続けました…。

勝った方が、私と奥さん手作りクッキーを食べられます!

急に小学生レベルになった!
やべークッキーとかじゃなくて!?笑

まずは検察のレポートから始まりました。

めっちゃ賢そうな女の子が、バーッと状況説明し、もう1人のハキハキ検察側女子が逮捕した警察官(先生が迫真の演技でその役をやる)に状況を説明させます。

「で、次に何が起こりましたか?」

真顔でopen-ended question、つまりwhatとかhowとかの質問をガンガン繰り返すんです。

そして、ドーン!

カッケー

はい~有罪!と思ったら、弁護側に切り替わった。

これまためっちゃ賢そうな男の子が、

アシンメトリーな髪型のソニック君

と被告に質問。

どうでもいいが、さっきから話している内容と小学生ファッションのギャップが好きすぎる。

設定の被告人は若い不良っぽいあんちゃん。警察官も3年目くらいの設定。

弁護側はイエス・ノーで答えるような質問をするのね。Closed ended。こういうのも先生が解説しながら裁判が続くので勉強になりました。

警察官は、テールランプの故障とスピード違反の疑いで止めたにもかかわらず、それのチケットは切らずに、グローブコンパートメントを開けた。"May I "で始まるような許可を得ず、"I'm going to"という表現で勝手に車内を捜査。

おお~!不手際の指摘!面白くなってきたぞ、おい。

いいぞ!ソニック!

そして不審な物質の検査をしたとされる姉さん登場。

ツインテール化学

淡々と検査結果を報告。冷静さが科学者風味でカッケー。
アメドラみたくなってきた。笑

なるほど間違いねえ。これはもう…

と、思ったら!

ここで次男登場!

マイクラ弁護士

ツインテール:2回です。

次男:レポートによると1回目は検出されず、2回目のみ陽性となっていますが、もう一度テストされましたか?

ツインテール:ノー。

次男:あなたは大学を卒業してすぐとの事ですが、この手続きにスーパーバイザーはいましたか?

ツインテール:ノー。

次男:このようなテストを過去に1人で行った事がありますか?

ツインテール:ノー。

次男:以上です。

まさかのひっくり返し役!笑

こんな感じで裁判は進んだところで裁判官が言いました。

今日いらっしゃっているご父兄、

あなた方が陪審員です。

えええ!家族を巻き込む授業だったんかーい!

う…やべえ…たぶん9割は理解できていたと思うけれど、英語ネイティブじゃないからね。それに裁判の仕組みに疎い。他に1人だけアジア系でアクセントあるお父さんいたけど途中で退出してしまったので、英語ネイティブで無いのは私のみっぽい…汗

オ、オット君、私、ちゃんと理解しているか自信無いんだけど。

いや僕も、こんな法学部の授業みたいなのわかんないわ。心配すんな。

小4なんだが。

そして陪審員が集められました。緊張しましたが、裁判官さんは優しくて半分保護者会でした。ホ。

でも裁判官は急に真顔になって言いました。

彼らは、この過去1か月、この模擬裁判のために議論を重ね、それぞれの役割を話し合い理解を深めています。

今日の裁判はその成果です。私は、子供たちに堂々と意見を言える人になって欲しいと願っています。親御さんたちに立ち向かって欲しいのです。

そうです。面倒です!(一同笑)

アメリカにはたくさんの弁護士がいますが、「良い弁護士」は多くないので(一同笑)、ぜひいつかそうなってくれることを願っています。

私は実は演技の方も好きで勉強しています。もしお子さんに興味があれば、演技もやらせてみてください。

いい先生だわ~。

こういうエリート学校ってこんなのが当たり前で生活しているのか…。

で。陪審員としては、意見が分かれました。

まあそうよね。そうなるわ。怪しすぎるんだけど、警察も検査も不手際があった。

私の理解が間違っていたらツッコんで欲しいんだけど、米国の場合は(日本とは違うらしいので要注意!)全員一致で無い限り、評決が出ないんだわ。

という事で。被告は一応は釈放されるけど、再審理の可能性ありみたいな結果でした。

もう一度。私の理解が合っているかは怪しいですが!笑

そして例の勝利のクッキーはどうなったのか。

子供たちはシナリオは勉強したものの、結果は知りません。

ねえ!どっちが勝ち~?

いつもの小学生に戻ってた!かわええ!

そして判事が口を開きました…。

わーい!

でも実は基本的には被告が弁護士と外に出られたら、まあ勝利かなあみたいな事は言ってましたけど。

良かったね。みんな!

つかレベル高すぎ。よく頑張った。

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