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なにを当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、
「今のこの瞬間」というのは二度とない瞬間です。

外出自粛要請が出てから自宅で過ごす時間が長くなり、それと共に生花を買い求めるお客様が増えたと耳にしました。

かくいう私も以前よりお部屋にお花があることが増えました。

そうした中で、茶花のことを思い出しました。
茶花とは茶道においてお茶席で生けられている(正式には「入れられている」)お花のことを言います。

10年ほど前の一時期、お茶のお稽古に通ったこともあったのですが、その際に先生がお話しくださったのです。

茶室に入り、お軸(掛け軸)を拝見し、茶花を拝見する。
その拝見する茶花は茶会が終わる頃にはまた様子が違ってくる。
茶会の開かれる時間に合わせて入れ、時間経過とともに花が開いていく様も楽しむ。
一瞬一瞬が二度とない瞬間であり、一期一会である、と。

もちろんお花によってはダイナミックに変化するわけではありませんので、そうは言われても茶会が始まるときに硬いつぼみだったものが突然満開になるわけはありません。
ただ、もしかすると膨らみ始めているかもしれませんよね。

そして今、お茶室でもなんでもない私のお部屋には芍薬のお花を生けています。
例えばこれが外出自粛期間前であれば、私はほとんど自宅にいることがなかったのでお花を生けていても「気づけば花が開いていた」「気づけば終わっていた」という具合でしたが、最近はずっとお部屋にいるので場合によっては朝と昼、そして夕方と夜とでお花の開き方が違うことに気が付けるのです。場合によってはふとお花を見た瞬間に花びらがほころぶことも。

そして慌ただしい日常では感じきれなかったお花の甘い香りが、ほのかにお部屋に漂っているのを感じ取れるのです。
たった二輪の芍薬でも、それは十分に薫るのです。

この香りも、一期一会。

掛け替えのないこの大切な瞬間を、
あなたは誰と、どのように過ごし、生きますか?

そんなことを改めて問い直されているように感じる今日この頃です。



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