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2023.8.21 【全文無料(投げ銭記事)】世界の情報操作のカラクリ

アメリカ、中国、ロシア等々、今も昔も個々の国々が、自国の戦略に沿ったプロパガンダで国際社会を騙しています。

今回は、2014年に出版された北野幸伯著『日本人の知らない「クレムリン・メソッド」世界を動かす11の原理』を参考に書き綴っていこうと思います。


中国の平和的台頭という嘘

2010年に起きた尖閣諸島における中国漁船体当たり事件は、日本中を震撼させましたが、その2年前に“尖閣諸島から日中対立が起こる”ことを予測した識者がいます。

それが、今回参考文献にした著者でもある国際関係アナリストの北野幸伯氏です。

氏の著『日本人の知らない「クレムリン・メソッド」世界を動かす11の原理』では、なぜそういう予測ができたかの種明かしをしています。

それは簡単なことで、“アメリカが撤退した後に、中国が何をしたのか”に関する事実を見てみればすぐに分かるといいます。

⑴1973年にアメリカは南ベトナムから撤退。
 翌1974年1月、中国は西沙諸島の南ベトナム実効支配地域に侵攻し、占領。
 その後、同諸島に滑走路や通信施設を建設。

⑵1992年、アメリカ軍はフィリピンのスービック基地、クラーク空軍基地から撤退。
 1995年1月、中国はフィリピンが実効支配していた南沙諸島ミスチーフ環礁に軍事監視施設を建設し、そのまま居座った。

要は、中国は米軍が後退した真空地帯には、すぐに侵出するという事実です。

尖閣諸島も当時、米軍が日米安保の対象にするかどうか明確にしておらず、また民主党政権の弱腰もあって軍事的には真空地帯でした。

国益のために国家はあらゆるウソをつく

中国は口先では、“平和的台頭”などと言っていますが、“国益のために、国家はあらゆるウソをつく”というのが国際社会の原理であり、それを見破るためには、“真実は、言葉ではなく行動にあらわれる”というのが、氏の考え方です。

中国の“平和的台頭”に呼応するように、日本国内でも、
「沖縄に米軍基地はいらない」
「平和憲法を守っていれば戦争は起きない」
などと言う人が未だにいます。

そういう嘘に騙され続けたら、我々の子孫はベトナムやフィリピンのみならず、チベットや内モンゴル、ウイグルのような目に遭うかもしれません。

それを避けるためには、こういう嘘を見破るだけの見識を我々は持たなければなりません。

北野氏は、ロシアの外交官や情報員を養成するモスクワ国際関係大学で、日本人初の卒業生であり、国際政治の嘘を見破る方法を今回の著書の名にもなっている『クレムリン・メソッド』として説いています。

その著書の触りを紹介します。

世界のすべての情報は操作されている

前節の“国益のために、国家はあらゆるウソをつく”というのが、クレムリン・メソッドの第7の原理ですが、それに続く第8の原理が、“世界のすべての情報は操作されている”です。

世界には色々な“情報ピラミッド”があり、その国の国民や世界に対して、都合の良い情報を流すというプロパガンダを行っています。

米英情報ピラミッドでは、米英に都合の良い情報が流されます。
中共情報ピラミッドでは、中国共産党政府に都合の良い情報が流されます。
クレムリン情報ピラミッドでは、ロシア政府に都合の良い情報が流されます。

日本人は米英情報ピラミッドしか知らないので、そのプロパガンダに騙されやすいと言えます。

しかし、例えば、クレムリン情報ピラミッドが、どんな情報を流しているか
調べてみれば、両者の食い違いから世界の実態がよりよく見えてきます。

2014年3月のロシアによるクリミア併合は、欧米そして日本では、
「ウクライナ領クリミア自治共和国とセヴァストポリ市を、ロシアが武力を背景に併合した国際法違反」
と言われています。

しかし、クレムリン情報ピラミッドでは、
「クリミアは1783年から1954年までロシアに属していたロシア固有の領土」
であり、
「クリミアで住民投票が実施され、97%がロシアへの編入を指示したから」
だと一蹴します。

そして、
「欧米は2008年、コソボ自治州がセルビアから一方的に独立するのを支持したではないか?コソボが合法なら、なぜクリミアは違法なのか?」
と反論します。

こうした二つの対立する“情報ピラミッド”を比較すれば、その矛盾から、どちらが嘘をついているかが見えてきます。

これが北野氏の強みです。

世界の『出来事』は、国の戦略によって『仕組まれる』

中共情報ピラミッドから流されているのが、
「日本の軍国主義復活」
「日本は第二次大戦の結果を覆そうとしている」
「日本は中国から釣魚諸島(尖閣諸島)を盗んだ」
などというプロパガンダです。

北野氏は同著で、次のようなロシアからの報道を紹介しています。

中国の著名な専門家は、中国と同様、日本と領土問題を抱えるロシアと韓国に対し、反日統一共同戦線を組むことを呼びかけた。
(中略)
郭氏(上記の専門家)は対日同盟を組んでいた米国、ソ連、英国、中国が採択した一連の国際的宣言では、第二次大戦後、敗戦国日本の領土は北海道、本州、四国、九州4島に限定されており、こうした理由で日本は南クリル諸島、トクト(竹島)、釣魚諸島(尖閣諸島)のみならず、沖縄をも要求してはならないとの考えを示した。

北野幸伯著『日本人の知らない「クレムリン・メソッド」世界を動かす11の原理』

中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは1971年であり、第ニ次大戦とは全く関係がないので、上記の主張は完全な嘘になります。

恐らく言っている本人も、そんな事は百も承知でしょう。

知っていながら、平然と嘘を流すのがプロパガンダです。

しかも、中国は尖閣諸島だけでなく、沖縄への野心を持っていることをこの発言は示唆しています。

尖閣と沖縄を中国が握れば、中国海軍は太平洋へ自由に侵出できるようになり、米軍はグアムまで後退して、西太平洋は“中国の海”となります。

“中国の海”に浮かぶ日本列島は、資源輸入のシーレーンを支配されて、中国の属国とならざるを得ません。

そうなると、中国は日本の富と技術を自国のために使えるようになります。

そうすれば、アメリカにも十分対抗できる覇権を確立できるのです。

“世界の出来事は、国の戦略によって仕組まれる”とは、クレムリン・メソッドの第9の原理です。

中国漁船体当たり事件も、中国の太平洋侵出という戦略の一環です。

戦争とは、情報戦、経済戦、実戦の3つである

続く第10の原理が、“戦争とは、情報戦、経済戦、実戦の3つである”。

武士道の伝統を持つ日本は、戦争と言えば、武器を持って戦う戦闘という先入観があります。

その“実戦”の前に、相手を周囲から孤立させる“情報戦”、相手の経済力を弱める“経済戦”があります。

孫子を生んだ中国人は、“戦わずして勝つ”ことを目指す“情報戦”が得意です。

北野氏は、先の大戦での日本の敗戦は、日本が孤立してアメリカ、イギリス、中国、ソ連と戦った点にあるとして、その起点を1932年11月、『満洲国問題』を検討する『国際連盟理事会』に求めます。

この理事会で中国側代表は、すでに“偽書”と判明している『田中メモリアル』の有名な一節を読み上げました。

1927年に当時の田中義一首相が、天皇陛下に上奏したとする偽文書です。

シナを征服せんと欲せば、先ず満蒙を征せざるべからず。
世界を征服せんと欲せば、必ず先ずシナを征服せざるべからず。

このプロパガンダが奏功して、翌1933年2月の国際連盟総会では満洲国建設の是非に関する採決が行われ、42ヶ国が反対、賛成は日本だけ。

激怒した日本は国際連盟を脱退しました。

この後、日本は中国全土で『日貨排斥』という経済戦争を仕掛けられます。

現代中国の仕掛ける、
『南京大虐殺』
『日本軍国主義』
『靖国参拝』
『魚釣諸島』
など、対日批判は“情報戦”であり、日本企業をターゲットにした暴動やキーマテリアルの対日禁輸は“経済戦”です。
戦前も戦後も中国のやる事は変わりません。

「戦争はもう始まっている」
と、北野氏は指摘します。

慰安婦問題は中国の対日情報戦の傑作

『慰安婦問題』も中国の仕業で、表だって動いている韓国は、“中国の操り人形”だと、米国の著名なジャーナリストであるマイケル・ヨン氏が指摘しています。

グレンデール(※)で起きた裁判の訴状を見ると、グローバル・アライアンス(世界抗日戦争史実維護連合会)が姿を見せています。
この組織は在米中国人を中心とし、中国政府との協力も密接です。
慰安婦問題ではこの中国の動きこそが核心なのです。

(※)グレンデール:慰安婦像が建てられた米国の市。日系市民を中心に像撤去の裁判を起こしている。

マイケル・ヨン氏は、米政府が8年も掛けた日独の戦争犯罪に関する調査で、日本の戦争犯罪に関する14万2千ページの未公開・秘密公文書でも慰安婦の強制連行を裏付ける史料は一点も発見されなかった事を指摘しています。

『慰安婦問題』は、次の目的に適う情報戦の傑作です。

・韓国内の反日運動を盛り上げ、同時に日本国内でも韓国の執拗な攻撃に反韓ムードを盛り上げる。

・米国で日本の“戦争犯罪”をアピールし、日米関係にひびを入れる。

即ち、“慰安婦”攻撃は、韓国を中国陣営に引き入れ、米国を日本から遠ざけ、日本を孤立させるための“情報戦”なのです。

ちなみに、日本国内で中共情報ピラミッドに内通しているのが、朝日新聞や毎日新聞、東京新聞などの偏向マスコミです。

『日本』情報ピラミッドは存在しません

こういう中国の“情報戦”にどう応戦するか。

『慰安婦問題』については、河野談話の検証がなされ、日本軍が強制連行したという事実は一切見つかっていない事が再確認されました。

自ら、
「慰安婦強制連行をした」
という吉田清治の証言が嘘であったことを、朝日新聞も漸く認めました。

上述のマイケル・ヨン氏の紹介した米政府調査とあわせて、今後、日本政府や民間が粛々と事実を発信していけば、『慰安婦問題』はプロパガンダだったということが判明するでしょう。

ただ、これは『慰安婦問題』という、中共情報ピラミッドからの攻撃の一つをかわしたというだけで、防戦だけでは勝てません。

北野氏も、
「『日本』情報ピラミッドは存在しません」
と言っていますが、情報戦においても“専守防衛体制”しか持っていない点が、日本最大の弱点なのです。

日本情報ピラミッド、それもプロパガンダではなく、事実と良識に基づいて国際社会が共感、納得できるような歴史観、世界観を発信する必要があります。

こうした日本情報ピラミッドによって、日本人も世界の人々も、中共情報ピラミッドの嘘を見抜けるようにすることが情報戦に勝ち、中国の属国に転落する道を避けられる戦略です。

「日本の自立」は、『私の自立』からはじまる

日本情報ピラミッドの雛型は既にあります。

それは、“日本はソ連や中共の全体主義の防波堤として戦ってきた”という史観です。

これは、アメリカ共和党陣営の中で脈々と伝えられている、
「第ニ次大戦でアメリカは戦う相手を間違えた」
という史観に通じます。

現在のアメリカ情報ピラミッドは、民主党系のマスコミが握っているので主流にはなっていませんが、第ニ次大戦中の資料の公開が進み、次第にこの史観が力を得ています。

そのあらましを述べれば、

⑴ルーズベルト政権内にソ連スパイが多数潜入しており、ハル・ノートなどで日本に無理矢理、開戦させるように仕向けた。
(日本側でも、尾崎秀實ほつみらソ連スパイが日本と蒋介石を戦わせるよう世論工作をしていた。)

⑵日本敗北後も、米政府の中に、蒋介石の足を引っ張り、中国大陸が中国共産党の手に落ちるにを助けた人物がいた。

⑶ソ連・中共は朝鮮半島全域の共産化を狙って朝鮮戦争を引き起こしたが、防波堤だった日本を破ってしまった事により、アメリカは直接戦わねばならなくなった。

この史観から見れば、現在も日米同盟が中国に対する“防波堤”となっていることが容易に見てとれます。

この史観を、日本国民が自らの頭でしっかりと理解・納得していく事ができれば、現代日本を欺いている中共やアメリカの情報ピラミッドから自立できます。

「日本の自立」は、『私の自立』からはじまる。

北野幸伯著『日本人の知らない「クレムリン・メソッド」世界を動かす11の原理』

北野氏は、これが、この本を書いた理由だと語っていますが、正に同感です。

最後までお読み頂きまして有り難うございました。
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