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2023.12.22 偉大なリーダーの共通点

2023年3月に起きた衝撃の出来事を覚えているでしょうか?

それは、アメリカで相次いだ銀行破綻。

シリコンバレー最大の銀行やニューヨークの大手銀行が経営破綻し、アメリカの歴史に残るような事件となりました。

さて、アメリカ建国の父といえば、初代大統領ジョージ・ワシントンです。

彼に関しては、
「黒人奴隷を使っていた農場主」
「ネイティブ・アメリカンを殺戮した」
など、今の私たちから見ると“黒歴史”もあります。

その一方で、尊敬すべき点もあります。

ワシントンは、1775年~1783年まで続いたイギリスからの独立戦争で総司令官を務めました。

戦争に勝利したとき、側近の一人がワシントンに言いました。

「これは貴方の勝利です。アメリカの王様になればいいでしょう!」
と。

しかし、ワシントンは、そう進言した男に、
「二度とバカなことを言うな!」
と一蹴しました。

当時は王国が一般的でした。

仮にワシントンがアメリカの王になっても、決して変ではなかったでしょう。

しかし、ワシントンは王になることを望みませんでした。

1789年、アメリカ合衆国で初めての大統領選挙が実施されました。

ワシントンは、初代大統領に選出されています。

彼は、4年の任期を二期、つまり8年間大統領職を務め、3期目の出馬を拒否しました。

ワシントンの人気は絶大だったので、彼が望めば3期でも4期でも続けることができたでしょう。

終身大統領になることも可能だったに違いありません。

しかし彼は、2期目が終わると、さっさとバージニア州にある自宅のマウントバーノンに戻り、農園を経営したのです。

そして、国は違えど、もう一人尊敬される人物がいます。

日本で最も尊敬されている政治家といえば、台湾の李登輝総統でしょう。

中国本土から逃れてきた蒋介石、蒋経国親子の独裁国家だった台湾を民主化し、世界中で尊敬されています。

李登輝は1923年、日本統治下の台湾で生まれました。

1945年の敗戦の時、つまり22歳までは日本人だったので日本語ネイティブでした。

李登輝は1984年、蒋介石の息子で独裁者の蒋経国政権で副総統になります。

1988年、蒋経国の死後、総統に就任しました。

1996年、台湾で初めての直接選挙に勝利し、2000年まで総統を務めました。

問題は、その2000年に起きました。

次期総統選挙に、李登輝は出馬しなかったのです。

そのこと自体だけでも、既に立派なものですが、国民党から総統選に出馬したのは、李登輝の弟子にあたる連戦です。

ところが、出馬した連戦の総統選結果は3位でした。

次期総統になったのは、民進党の陳水扁だったのです。

台湾で初めて政権交代が実現した瞬間です。

連戦は、自分が不人気なので負けたわけですが、
「李登輝のせいで負けた!」
と、八つ当たりします。

この時、李登輝は台湾総統であると同時に、国民党の党首でもありました。

連戦は、李登輝に、
「敗北の責任を取って、党首を辞めてください!」
と要求しました。

あまりにも理不尽な要求ですが、李登輝は、
「そうか、ではそうする」
と言って、辞任したのです。

李登輝は翌日、記者から
「今の気持ちは?」
と聞かれ、
「人間というのは、権力の座に就く時もあれば、そこから退く時もある。これはあくまでも自然の摂理に過ぎない。どうということもない。とてもさっぱりしたよ」
と答えたのです。

もしも李登輝が、現在の習近平やプーチンのような人物だったらどうでしょうか?

恐らく連戦は翌日、発作を起こして亡くなったかもしれません。

偉大な指導者と独裁者の違い

さて、ワシントンと李登輝。

この二人の偉大な指導者の共通点は、“権力に執着しなかった”点でした。

一方、“独裁者”の習近平は2018年、国家主席の任期制限を撤廃する憲法改定を行いました。

それまでは、1期5年2期まで、つまり一人10年まででした。

今は誰でも、“習近平は終身国家主席になるつもり”であることを知っています。

そして、もう一人、現代を代表する独裁者といえばプーチンです。

彼は12月8日、来年3月に実施される大統領選挙に出馬する意向を表明しました。

なんと、5選目になります。

因みにロシアの憲法では、
<同一人物が大統領になれるのは2期まで>
と規定されていました。

そこでプーチンは、
2000年~2008年までの2期を務め、大統領から一旦身を引きます。

その後、メドベージェフが大統領になり、プーチンは首相になりました。

弟子のメドベージェフは、大統領1期の任期を4年~6年までに延ばす憲法改定をしています。

これは、もちろんプーチンが“させた”のです。

2012年、プーチンは、
「1期休んだから、また大統領になれる」
という強引なロジックで返り咲きました。

そして、2018年の大統領選挙に勝ち、4期目に突入したのです。

それでも飽き足らないプーチンは2021年、憲法改定を行いました。

憲法が新しくなったので、プーチンが今まで4期大統領を務めたことは“リセット”され、あと2期12年大統領に就いていられることになったのです。

あまりにも滅茶苦茶な論理なので呆れてしまいます。

これらの事実から分かるのは、
「プーチンは、何が何でも大統領で居続けたい」
と言うことです。

潔く権力を手放したワシントンや李登輝は、『偉大』と称される歴史的指導者になりました。

しかし、権力に固執し、国にあらゆる問題を起こしても権力に居座り続ける習近平とプーチンは、『悪の独裁者』として歴史に汚名を刻むことでしょう。

ワシントンと李登輝、そして習近平とプーチンの違いは何でしょうか?

ワシントンは、アメリカ独立のために働きました。

李登輝は、台湾が立派な民主国になるための改革を断行しました。

2人とも自国のより良い未来を願っていたのです。

一方、習近平は中国経済をボロボロにしています。

プーチンは、米英がいくらウクライナの後ろで糸を引いているとはいえ、無益な戦争を始め、ウクライナ人と自国民(ロシア兵士)の多くを犠牲にしています。

この2人の共通点は、
「国益よりも、自分が大事」
であること。

つまり、習近平とプーチンは、
【自国ファースト】
ではなく、
【自分ファースト】 
なのです。

だから、中国とロシアは初めは良くても、先に進めば進むほど状況が悪化していくのです。

世界はシンプルにできています。

最後までお読み頂きまして有り難うございました。

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