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2021.10.26 アメリカ名門大で日米大戦を予言した日本人
皆さんは、朝河貫一著『日本の禍機』という本を読んだことがあるでしょうか?
『日本の禍機』は、アメリカにおいて、
「日露戦争後、対日観がどのように変わったのか」
が、よくわかる本です。
この本の著者、朝河貫一教授は1874年、福島県に生まれた歴史学者です。
1899年、アメリカ・ダートマス大学を卒業。
1902年、アメリカ・イェール大学院を卒業。
1907年、イェール大学の講師になり、その後は助教授、教授と進んでいきます。
朝河教授は、『日本人初のイェール大学教授』として知られています。
朝河教授が『日本の禍機』を出版したのは、今から112年前の1909年。
1905年に日露戦争で勝利して、日本がイケイケだった頃です。
この本は、本当に『予言書』と言えるでしょう。
1909年時点で、
・将来、日本と中国の戦争が起こる
・日本とアメリカの戦争が起こる
・その時、日英同盟は破棄されている
・その時、日本は私曲(不正な手段で自身の利益のみ追求する)の国として、世界的に孤立している
と予測しています。
朝河教授によると、日本とアメリカは日露戦争前の半世紀間、
「兄弟のごとく親交」
していたそうです。
そんなアメリカは、なぜ『反日』に転じたのでしょうか?
朝河教授の著書には、
<日本が日露戦争時の大義、約束を破ったことにある。>
とあります。
それは、何でしょうか?
世界一の陸軍国ロシアと戦う日本。
一国では勝てないので仲間が必要です。
日本の仲間は、日英同盟のイギリスと満洲利権に入りこみたいアメリカでした。
中国(当時は清)への進出が遅れたアメリカは当時、中国について、
「門戸開放」
「機会均等」
「領土保全」
を訴えていました。
日本は日露戦争を戦うにあたって、
「アメリカの主張を無視しているのがロシア帝国です。日本が勝てば、満洲の門戸開放、機会均等を実現します!」
と約束しました。
この約束をもって、アメリカから巨額の財政支援を取りつけました。
しかし、日本は戦勝後、満洲利権の独占に動きアメリカを排除しました。
これで、
「兄弟のごとし」
だったアメリカの対日感情は大いに悪化。
朝河教授は、
「日本は今後孤立し中国、アメリカと戦うことになるだろう」
と予想するに至ったのです。
ちなみに日中戦争は1937年、日米戦争は1941年に勃発しています。
つまり朝河教授は28年後に起こることを正確に予測していたことになります。
国際世論を知る重要性
私だけでなく、今や多くの若い世代が『脱自虐史観』の持ち主です。
日本は「悪い国」、日本人は「悪い民族」だとは思っていません。
ですが、当時の状況からすれば、朝河教授は
「自虐史観者だ」
と思うかもしれません。
私たちは『脱自虐史観』の持ち主ですが、
「日本が負けた原因」
を知りたいとも思っています。
それが分からないと、
「次に勝つ方法」
が分からないからです。
何度も記事で書いていますが、私たちは『善悪論』ではなく、今後は『勝敗論』で歴史を見ていかなければなりません。
だから、朝河教授の話も、
「1909年当時は、既にアメリカの対日感情は、これほど悪化していたのか」
と冷静に読むことができます。
当時、日本のリーダーたちが朝河教授の本を熟読し、参考にしていれば、日中戦争、日米戦争は回避されたでしょう。
しかし、当時の日本国のリーダーたちは、朝河教授の恐れる方向へと向かってしまったのです。
「国内世論と国際世論が全然違うと悲劇が起こる」
皆さんの記憶にも残っているかと思いますが、2014年3月、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナからクリミアを奪う決断を下しました。
これにより、ロシア国内はお祭り騒ぎ。
昨日まで『反プーチン派』だった者たちも、一夜にして、
「プーチンは歴史的英雄」
などと称賛し始めました。
国際世論とロシアの国内世論が、完全に正反対となった瞬間でした。
しかし、日本人の私からすると、
「国際連盟を脱退した松岡洋祐が、お国の英雄になった時もこんな感じだったんだろうな」
と思った瞬間でした。
そしてロシアは、
「これから制裁で大変なことになるのに、そのことが分からないのかな…」
と驚きました。
実際、欧米と日本はロシアに経済制裁を科し、7年間でロシア経済はボロボロになってしまいました。
今では、人口1億4000万人のロシアは、人口5000万人の韓国よりGDPが少ないのです。
問題は私たち
私たちは、過去の日本、現在のロシアについて、
「愚かだったなあ」
と、苦笑することもできます。
しかし、問題は、『今の私たち』です。
私たちは、国際世論を熟知しているでしょうか?
国内世論と国際世論は一致しているでしょうか?
もしこれが一致していれば、日本は孤立せず、安全に繁栄する道を歩むことができます。
しかし、国際世論と国内世論が完全に正反対であれば、再び孤立して破滅の道を進むことになるでしょう。
もちろん、国際世論が間違っている場合は糺す努力も必要でしょう。
問題は、私たちが国際世論を正確に知っているかどうかです。
「日本のマスコミは、正確な国際世論を伝えてくれている」
と確信できる人は、あまりいないでしょう。
ですから私たちは、日々学び続けなければなりません。
日本の『真の国益』を守るために。
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