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2020.9.1 共同体の人生観が教育を真っ当にする⑦

天下は大物なり、一朝奮激の能く動かす所に非ず

現代の日本社会では、共感も利他の心も弱まっているようです。

とあるセミナー後の歓談で、海外渡航歴豊富な方や異業種の方と話をする機会があり、拙生の記憶に残っているものを幾つか紹介します。

〈シンガポールでは、50歳以下の人たちは席には座らず、50歳以上であれば、
「どうぞ、お座りください」
と席を譲ってもらえる。
色んな国を見てきたが、日本が一番なってない。
弱者を労わらない今の若者の気持ちが怖い。
どうしたら、このような風潮を変えられるだろうか?〉

〈他人の気持ちを汲む能力がない人と、どう付き合うべきか。
今や切迫した社会問題と化しています。〉

〈日本が衰退しているのは、利他の気持ちが希薄になっているからでは?
と感じます。〉

こういった話が記憶には残っていますが、拙生自身も即効性のある薬を持っているわけではありません。

ですが、こういう話を聞いたりすると、幕末の吉田松陰が『留魂録』に書き遺した言葉が脳裏に浮かんできます。

「今日の事、誠に急なり。然れども天下は大物なり、一朝奮激の能く動かす所に非ず、其れ唯だ積誠之れを動かし、然る後動くあるのみ。」

現代語訳にすると、
「今日の事態はまことに急迫している。しかし、天下は大物である。一朝の憤激で動かせるものではない。ただ真心を尽くすことが、これを動かす。そのようにして、ようやく動くのである。」

1980年代の頃は反国旗・反国歌運動が盛り上がって、オリンピック選手ですら、
「国のために頑張る」
とは言えず、
「楽しんできたい」
などと言っていました。

それからすると、40年近く経った今は、池江選手のような若い世代が周囲の人々に感謝しつつ、アスリートとして勇気や絆を与えるべき、という深い考えを淡々と語れる時代になりました。

こういった若者があちこちに出てきた事を希望として、池江選手より上の世代も各々の場で真心を尽くしていくべきですね。
それが、吉田松陰が遺した、天下を動かす道につながっていくのではないでしょうか。

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