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2022.8.21 『マルクス史観』って何?

歴史の本を読んだり、歴史講座のYouTubeを視聴していると、よく耳にする言葉があります。

「マルクス史観」
「唯物史観」

という言葉です。

恐らく、貴方も一度は、この言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

その名の通り、経済学者のカール・マルクスが唱えた独特な歴史の見方であり、歴史を正しく読む上では、必ず知っておくべき大事な考え方です。

この『マルクス史観』なる歴史観。

一体どのような歴史観なのか、貴方はご存知でしょうか?

私は暫く調べたり、本を読んだりしたのですが、私の頭の理解度低いのか、あるいは書籍が小難しすぎるのか、理解できずにいました^^;

しかし、複数の本を読んでいくうちに、一つの結論に至りました。
それは、『マルクス主義』についての説明は、どれも難解な言葉が使われすぎていて、内容がとても難しい…。

なかなか理解が追い付かないのです…。

結局のところ、分かったような分からないような、なんとなくの理解で終わってしまっていたのです。

ちなみに、インターネットで調べてみると、このような解説がされています。

<マルクスの「唯物史観」とは、世の中の歴史は「物質」、つまり、生産や消費などの流れによって決まっているという考え方です。
つまり、社会の法律や国家、さらには文化もすべて、「物質的な生産や消費」という、いわゆる「経済」が土台となって作り上げられたという考え方です。>

つまり、世の中は『経済』が規定しているという世界観であり、経済の観点で考えた時に、以下のような“敵対関係”が常に成立するというのです…。

資本家・領主(支配する側)
   vs.
労働者・農奴(支配される側)

このような世界の見方が、マルクス史観であるようです。

ここまでの解説は、なんとなく理解はできるのですが、まだ『歴史観』とまで言われると、よく分からずスッキリとは理解できていませんでした。

しかし、つい先日、ある本を読んでいると、『マルクス史観』についてのとても分かりやすい説明を発見。

個人的には、その説明によって感覚的にスッキリと理解することができたので、今回は以下にご紹介したいと思います。

是非、ご覧下さい。


本郷和人著『空白の日本史』

唯物史観を重んじるマルクス主義的な歴史観は、
「貴族vs武士」
「武士vs民衆」
というように、階級的な闘争として歴史を見るという特徴があります。

それは、有名な武将や貴族ではなく、名もなき一人の農民などの庶民を「主人公」とした歴史のほうが大切であるという見方でもあります。

たとえば、奈良県にある「法隆寺」は世界最古の木造建築であり、日本人の宝です。

でも、極端なマルクス主義的な視点で考えるとこんな発想になります。

“「いやいや、法隆寺はブルジョアが作ったものだからダメ。法隆寺内には建築に携わった大工が残した落書きがあるが、そちらのほうが、当時の庶民の感覚を反映しているので、大事な遺物だと言える」”

これが、行き過ぎたマルクス主義的歴史観の考え方です。

日本の歴史観は、戦後に右(皇国史観)から左(マルクス史観)へと大きくシフトしていったと言えます。


もちろん、これは、イメージしやすくするためのとても極端な説明なので、『マルクス史観』をこのまま理解する訳にはいきませんが、法隆寺という文化遺産を例にすることで、

・権力や権威のある人たちの文化財(歴史)を低く評価
・階級的に低い立場の人たちの文化財(歴史)を高く評価

という『マルクス史観』なる歴史の見方がとてもイメージしやすくなるかと思います。

多くの知識人や大学教授が、戦後は『マルクス史観』が歴史教育の主流となっているということを述べていますが、確かに、このような歴史観が主流の見方になってしまっては、本当に“価値あるもの”が正しく評価されず、歴史が歪んでしまうということもよく理解できます。

実際に、マルクス史観が暴走して起きてしまった悲劇の事件が、中国の『文化大革命』です。

文化大革命では、中国の様々な歴史的遺物を
「ブルジョワの遺産である」
と見做して、徹底的に破壊しました。

そのため、今の中国には、日本の『国宝』や『重要文化財』に指定できるような建造物や美術品がほとんどありません。

本当に勿体ない話です…。

でも、これは日本も他人事ではありません。

戦後、日本でもマルクス史観が大学教授や知識人の間で普及し、それが歴史教育にまで影響し、美術や芸術作品などは、
「権力者(支配者)による遺産」
であると評価をしなくなり、次第に人々が『文化財』に価値を感じなくなっています。

ソ連の崩壊でマルクス主義が崩壊したにもかかわらず、『マルクス・唯物史観』が未だに続いている状態です。

これを払拭する手立てとして『文化史観』を打ち出し、現代世界にも文化と伝統が相変わらずあることをしっかり認識することが、今後必要となる歴史観です。

過去に私が、日本の『文化財』の重要性や良さを記事にしたのもここに当てはまります。

事実、日本には“世界一”と言える歴史的遺産がたくさん残っています。

私たち日本人一人ひとりが、このようなマルクス史観の正体をしっかりと認識することで、歪んだ歴史観に騙されずに、価値ある文化遺産や日本の伝統を後世にまで残し続けることができるでしょう。

是非、貴方も歴史を学ばれる際に、このマルクス史観という観点で考察してみては如何でしょうか。

本の著者の根底に、どんな歴史観があるのかも分かるようになり、読み比べもできて、歴史がもっと面白く読めるようになるかもしれません。

これからも、より多くの先人の叡智や現代の著名な方の書籍や正しい歴史認識生を皆様に届けられるように尽力していきます。

最期までお読み頂きまして有り難うございました。

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